4月27日(月)特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』第1症例5-①

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

 

第1症例(その1)

 

NHKの優れた取材能力と患者の貴重な4つの証言(症例)は、今後の新型コロナウイルス対策のための確かな戦略のための有力なヒントになるはずです。そこで、杉並国際クリニックの3つの戦略と3つの作戦をどのように活用することができるのか、検討をはじめたいと思います。

 

昨日の記事、緊急対策:新型コロナウイルス感染予防戦略No7

これを可能であればダウンロードして参照しながらお読みいただけると理解しやすいかと思います。

 

そして、このサイトの読者の皆様自身も、自らが作戦参謀になったつもりで私たちと一緒に考えてみてください。そして、実際に前線を指揮する指揮官にもなって、対コロナ戦を戦い抜きましょう。以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は赤い文字として区別しました。

 

感染 治療なき入院 20代女性が語る

3月12日、27日取材(札幌放送局 北井元気)


    
新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

20代の女性は3月5日に感染が確認され、20日間近く入院しました。「自分が感染するとは全く思っていなかった」という女性。あまり知られていなかった症状や入院中の日々などを語りました。

 

第1節:新型コロナウイルスとは疑いもしなかった

 

女性が発症したのは3月1日。しかし一緒に暮らす母親の感染が確認されるまで、新型ウイルスによる症状だとは全く考えなかった。

 

3月1日日曜日に、『朝起きて頭が痛いなというのと軽いせきがコンコン続くようになったな』(普通感冒と共通する新型コロナウイルス感染症の初期症状です。コンコンと出る咳は、痰の少ないケースに多く、乾性咳嗽といいます。胸膜炎や間質性肺炎、咳喘息、百日咳などを疑いますが、今後は、コロナ肺炎の初期症状の可能性があることも警戒する必要があります。)というのが最初の印象です。

ふだん、せきはしないので『変だな』(貴重な気付きの能力の持ち主です。戦略1・2;戦術1・2開始⇒本人はこの時点で直ちに玉弊風散・金羚感冒散、毎日各1包ずつの内服開始、同居の家族には、玉弊風散を勧める)と思いました。その後に<のどの痛みが追加>(金羚感冒散を1日2包に増量する)『あ、かぜひいたな』(当時としては妥当で良い判断です。しかし、今後は『変だな』と感じた段階で、少なくとも感染症を疑ってください。)と思って、<熱も測ったんだけどそんなに高い熱が出るわけでもなく、37度5分が1回出たくらい>で。

『普通のかぜだ』(検温するのは賢明な防衛行動です。妥当な判断と賢明な行動の結果、この女性は危篤状態に陥らずに済んだものと推測します。)と思ってました。


テレビで見ていたら、「37度5分以上が4日間続いたら新型コロナウイルス」(発熱はおろか、全く無症状の感染者が多数存在しています。⇒戦略1・戦術1)というふうに言われていたので、それが全くなかったので、『あー普通のかぜだな』(その当時は、已むを得ない判断だったのでしょう。しかし、現在は違います。⇒戦略1・戦術1)と思っていました。

<身近に感染者がいなかったら、たぶん私は病院にかかることもなかった>(不幸中の幸いでした。今後は、⇒戦略1・2;戦術1・2)と思います。


その4日前の2月26日、母は仕事から帰ってきて、「のどに少し違和感がある」(今後は、このような場合は、お母さんの治療も直ちにケアを始めるべきでしょう。戦略1・2;戦術1・2⇒この段階でお母さんには、直ちに玉弊風散・金羚感冒散、毎日各1包ずつの内服開始を勧め、同居のご本人は、玉弊風散を1日2包を開始するのがよいでしょう。)と言っていたんです。

『もしかしたら疲れもあるのかもしれないし、かぜかもしれないね』(妥当な判断です。)ということで、<あったかくして寝たほうがいいよと言って食べて寝た>(妥当な行動です。)んですけど、<次の日に熱と体の異常なだるさがあるというので昔からのかかりつけの病院に行って>(妥当な行動です。)【抗生物質と普通のかぜの時に出してもらう薬と、あと点滴もしてもらって】(残念ながら、抗生物質は感受性のある細菌感染症にしか有効ではありません。この方は賢明な方なので、みずから医師に抗生剤の処方を要求することはなかったのではないかと推測します。患者が感冒様症状を訴えるとき、直ちに抗生物質や解熱剤を処方することは好ましくありません。また、経口摂取可能な場合で、脱水症状の徴候もない段階であれば、点滴もお勧めできません。むしろ、自己満足を導き警戒感を損ないかねないので好ましくないとさえ言えるでしょう。)帰ってきたんです。


<次の日になっても症状が全然改善されない>ので、【もう一度点滴をしに行った】(この方自身も、どうやら点滴信仰をお持ちのようです。戦略1;戦術1⇒このような場合には、玉弊風散と藿香正気散を大至急内服することです。)んですが、<トイレに行くのもやっとみたいなくらいの熱>が出てきて。

【解熱剤を飲んでも下がらない、抗生物質を飲んで】(これは、かえって病態を悪化させ、長引かせてしまう可能性があります。発熱は抗炎症物質を生み出すために必要な自己治癒メカニズムが作動していることを示唆するものだからです。苦痛がひどい場合でも、最少限度にすべきでしょう。ましてや、抗生物質は論外です。)るも<全く効いていない様子、どんどん体調が悪化している>(残念ながら、当然の結果でした。)のが見えたので、『もしかして』と、そこで思いました。


それで妹が保健所に電話をして、「コロナウイルスに感染している方と接触したかもしれない」と話すと、保健所の方が「じゃあ病院で検査してもらってください」と言うので連れて行った(正しい判断と妥当な行動です。この時期には保健所も病院も崩壊していなかったので幸運だったと思います。現在では、最短でも5日以上を要する見込みです。しかも、死亡のリスクは、検査自体ではなく、初動の手当の遅れが決定的な要因となります。)んですけど。


<その間はほとんど食べられないという状態>(点滴が必要となるのは、このような状態のときです。ただし、事前に点滴しておく意味はありません。このような消化器機能低下に陥らないようにすることはとても大切なことであって、消化機能低下は免疫能低下に直結するため、肺炎を来した場合には重篤化に繋がります。予防で重要なのは、消化管機能を維持して免疫を保持するために無症状の段階から備えておくことに限ります。戦略1:戦術1により、玉弊風散の内服を推奨する根拠は、まさに、ここにあります。)ですね。だから《人によって本当に症状が違うんだな》と思いました。