4月27日(月)月曜日:中国語旅行

台湾の近代医学の発展過程と台湾の中医学No2

 

新型コロナウイルスの正式名称はSARS-CoV-2とされ、疾病名称はCovid-19とされていますが、民間にはなかなか定着していないようです。私は、「武漢ウイルス」と呼ぶのが判りやすいと思います。これに対する極東各国の伝統医学の専門家は、それぞれのガイドラインにより、具体的な処方を提案しています。私たち日本人にとっては、中国のガイドラインより、台湾のガイドラインの方が使いやすいかもしれないという印象を持ちました。

 

今回、ご紹介する、桂枝加黄耆湯や桂枝湯には、甘草という生薬が含まれていますが、1日1~2方程度であれば、予防薬として比較的長めに安心して服用できます。

 

台湾の伝統医療ガイドライン

台湾は,3月10日に台湾国家中医薬研究所・蘇奕彰所長の作成したガイドラインがあります。中国,韓国のガイドラインに比し,予防の処方に関して具体的な薬方が記載されています。

 

それによると,健康な人で地域感染がなければ,食事・運動など健康を維持する努力を続けるように書かれています。しかし,慢性疾患患者や免疫機能低下がある人,職場で不特定多数の人と接触しなければならない人は,疾病や個人の体質に合わせ体質調節の処方を作成する必要がある,とした上で,具体的な処方を挙げています。桂枝加黄蓍湯から芍薬を去り,荊芥・桑葉が加わった処方で,表を固める処方として例に出されています。

 

桂枝加黄蓍湯(けいしかおうぎとう)という処方薬剤は、わが国でも保険適応になっています。最大手のツムラにはありませんが、東洋というメーカーが(TY-026)というナンバーで細粒を製造しています。体力が衰えている方で、寝汗やあせもがみられる方にはぴったりの処方です。体質的には虚証・寒熱中等証といって、体力・防御力が弱いが、冷えや火照りはあまり感じないタイプが対象です。


構成生薬は6種で、桂枝、芍薬、大棗、生姜、黄耆です。

漢方薬の原始的レシピとされる桂枝湯(桂枝、白芍薬、大棗、甘草、生姜)に黄耆が一味加わったものと考えることができます。
桂枝湯(けいしとう)という処方薬剤は、ツムラ(45)顆粒、コタロー(N45)細粒が保険で処方できます。体力が衰えた時の風邪の初期に処方されますが、この処方が向くのは体調的に虚証・熱証といって、体力・防御力が落ちていて、熱感があり、じんわり汗ばんでいるタイプが対象です。

 

医療スタッフなどハイリスクの人向けの予防処方として,先ほどの処方に薄荷,板藍根,魚醒草を加えたものが推奨されています。台湾においては板藍根がよく用いられています。C型肝炎治療薬や風邪薬として幅広く用いられている生薬です。魚醒草はドクダミの全草で,わが国では十薬とも呼ぶ。清熱解毒の薬であり,台湾では多用されます。薄荷も発汗を促す作用があります。
台湾のガイドラインの特徴はエキス剤と生薬末の組み合わせも示されていることです。台湾は生薬末を組み合わせて処方を作製します。

煎じ薬ほど手間がかからず,急な対応が可能です。

そして,ウイルス潜伏期,発病期(ウイルス増殖期,サイトカインストーム期),回復期に分けてそれぞれの処方およびエキス剤を示しています。西洋医学の医師でも理解できるように伝統医療の表現を少なめにして,予防の段階から記述してあるのも特徴です。