4月24日(金)糖尿病診療の実際No5

糖尿病高齢者の血糖コントロール(その3)

 

「高齢者糖尿病診療ガイドライン2017」

 

糖尿病高齢者の血糖コントロールはカテゴリー別に詳細な目標が推奨されています。
さらに、重症低血糖が危惧される薬剤の使用により2分類されます。

 

重症低血糖が危惧される薬剤とは、インスリン製剤、SU類、グリニド類などです。

なお、α-GI、SU類、速効性インスリン分泌促進薬、インスリン(アナログも含む)治療中の場合は、低血糖症状について十分に理解を深めると同時に、外出時には必ずブドウ糖などの糖質を携帯するようにしていただきます。

 

重症低血糖が危惧される薬剤を不使用の場合の血糖コントロール目標

カテゴリ―Ⅰ・Ⅱ⇒HbA1c<7.0%

 

カテゴリ―Ⅲ⇒HbA1c<8.0%

 

 

重症低血糖が危惧される薬剤を使用の場合の血糖コントロール目標

 

カテゴリ―Ⅰ:65歳以上75歳未満⇒<7.5%(下限6.5%)
       75歳以上⇒8.0%(下限7.0%)

 

カテゴリ―Ⅱ⇒HbA1c<8.0%(下限7.0%)

 

カテゴリ―Ⅲ⇒HbA1c<8.5%(下限7.5%)

 

 

最後に、糖尿病患者のシックデイについて説明します。

食事摂取が不十分なシックデイには、適切な対応法に関する患者教育が必要です。

 

インスリン療法中で食事を摂ることができない時にはどのように対処するか(シックデイルール)を予め確認しておきましょう。

インスリン頻回注射療法(MDI)中は、食事が摂れない時には食前に速効型・超速効型インスリンを注射しないことのみで多くの場合は対処可能です。

インスリンあるいはインスリン分泌を促進する薬物と併用する際には、それらの併用薬の減量や休薬するなどを適切に行うことが必要です。

 

経口血糖降下薬服用患者の場合、個々の血糖降下薬を中止あるいは減量すべきか否かの対応は、個々の患者さんの使用する薬剤や病態などにより異なります。

もし、SMBGを行っている場合には、その血糖値は有用な情報となります。いずれにしても自己判断をせず、事前に医療機関を受診することが望ましいです。

 

・α-GIおよび速効型インスリン分泌促進薬は食事摂取後の血糖上昇抑制を目的としているので、食事を摂れない場合には服用しないよう指導しています。

 

・SU類は血糖の高低に関わらずインスリン分泌を促進するので、食事摂取ができない時に服用すると低血糖のリスクがるので注意してください。

 

・BG類も食事摂取ができずに、代謝失調を来しうる状況では服用には注意していただきます。

 

<糖尿病高齢者の血糖コントロール・完>