4月9日(木)昨今の関節リウマチ診療No4

目標達成に向けた新しい寛解基準
 

関節リウマチ(RA)は、新しい臨床的寛解基準が発表されました。CDAI(腫脹関節数、圧痛関節数、医師全般評価ならびに患者全般評価の総和)、これにCRPを追加したSDAIあるいはBoolean基準(先述の4項目がいずれも1を切る)の3つが新しい寛解基準として満足すべき指標であることが提案され、次第に広く用いられてきています。

 

 

CDAI(シーダイ)

 

CDAI(Clinical Disease Activity Index)は、腫脹関節数、圧痛関節数、患者VAS、医師VASで病状を示します。

 

CDAIは、血液検査なしで算出できる数値です。

CDAI=圧痛関節数 + 腫脹関節数 + 患者VAS + 医師VAS 

 

※VAS:10㎝VAS

 

※関節対象の関節:上記28関節

 

CDAIによる活動性の評価

疾患活動性 CDAI

寛解基準 CDAI≦2.8

低度 2.8<CDAI≦10

中等度 10<CDAI≦22

高度 22<CDAI

 

 

SDAI(エスダイ)

SDAI(Simplified Disease Activity Index)は、圧痛関節数、腫脹関節数、患者VAS、医師VAS、急性期反応物質(血液検査でわかるCRP)によってリウマチの活動性を表します。

 

SDAI=圧痛関節数 + 腫脹関節数 + 患者VAS + 医師VAS + CRP(mg/dl)

※CRP (mg/dl)、VAS: 10㎝VAS

※関節対象の関節:上記28関節

 

SDAIによる活動性の評価

疾患活動性 SDAI

寛解基準 SDAI≦3.3

低度 3.3<SDAI≦11

中等度 11<SDAI≦26

高度 26<SDAI

 

 

Boolean法による寛解基準

以下の4項目が全て1以下

* 腫脹関節

* 圧痛関節

* 患者さんによるVAS(ビジュアル アナログ スケール:単位はcm)

* CRP値

 

 

杉並国際クリニックの見解
新寛解基準(アメリカリウマチ学会(ACR)・欧州リウマチ学会(EULAR)について
今後は、臨床試験などで薬剤の効果を見るには、この基準を達成しているかが国際的に求められることになります。例えばBoolean法では、腫脹関節も圧痛関節も、いずれも1個以下でなくてはならない、というのは、従来の寛解基準に比較して非常に厳しいものです。

 

実際に、DAS28<2.6を満たした患者さんが、SDAIが3.3以下を満たすのは26%、Boolean法での基準を満たすのは22%しか存在しない、と報告されました。

 

当クリニックでは、これまでDAS28-CRPを採用してきましたが、本年度より、新寛解基準にしたがい、新しい評価法を導入します。3つの新しい寛解基準のうち、SDAIはCDAIにCRPを追加したものなのでCDAIではなくSDAIを採用します。そして、これにBoolean基準を加えることにします。

 

先述の4項目がいずれも1を切ることを要求するBoolean基準の達成は、従来よりも厳しい到達目標となります。しかし、皆で力を合わせて治療を進めていくことによって、この厳しい臨床的寛解基準をクリアすることができれば、その先にある「構造的寛解」や「機能的寛解」を達成することが可能になるのです。