「BCGはCOVID-19を予防する」は本当か?No2

そこで原著論文にあたってみました‼

Q1.

BCGを定期接種している国ではCOVID-19患者と死亡者が少ないですか?

 

A2.

はい。BCGを定期接種にしている国(日本、中国、韓国、香港、シンガポールなど)は感染者が少なく、接種をしていない国(イタリア、スペイン、米国、フランス、英国)の感染者は多いように見えます。

中国は、感染者は多いですが、現在は抑制できています。確かに、相関関係はあるように見えます。


医学専門雑誌に掲載すべきかどうかの審査を査読といいますが、その査読前の論文を掲載するmedRxivというサイトに、『BCGを定期接種にしている国と、COVID-19の症例数と死亡数が少ない国との間に相関関係が見られる』、という論文が掲載されました。


Correlation between universal BCG vaccination policy and reduced morbidity and mortality for COVID-19: an epidemiological study.


それを受けてか、オーストラリアなど複数の国で、既にBCGによるCOVID-19予防効果を見る臨床研究を開始する動きがあります。

 

 

Q2.

そもそもBCGとは何ですか?


A2. 

BCGは結核を予防するワクチンの通称です。このワクチンを開発した研究者の名前はBacille Calmette-Guerin(カルメットとゲランの菌)の頭文字を取ったものだそうです。Mycobacterium bovisという牛型結核菌を、殺さずに時間をかけてその毒性を弱らせてワクチンにした生ワクチンです。ですから、BCGは弱毒生ワクチンに分類されています。

 

 

Q3.

BCGの本来の使用法と効果は?


A3. 

まずBCGワクチンは結核を予防するためのワクチンです。日本では、生後1年の間(通常生後5カ月から8カ月の間)に接種することになっています。

BCGの効果は、乳幼児期にBCGを接種することで、結核の発症を70%程度、そして結核性髄膜炎や粟粒結核という重篤な病態を80%程度予防できると報告されています(Rodrigues LC,et al. Int J Epidemiol.1993;22:1154-8.)。

 

 

Q4.

BCGには副作用がありますか?


A4。

はい、あります。ただし、ここでは副作用という言葉は避けて、副反応という言葉を用いることにします。

まず一般的なワクチン接種後にみられることのあるアナフィラキシー反応、発熱、接種部位の腫れなどの副反応があります。

それに加えて、BCGならではの副反応としては、接種からおよそ2週間後に針の痕に一致して発赤や硬結が生じ、その後化膿してかさぶたを作ることがあります。

また、牛型結核菌による感染症である骨炎や全身性BCG感染症がごくまれに起こります。生ワクチンですので、免疫が弱っている方や妊婦さんは接種することができません。

 

<明日へ続く>