4月3日(金)腎障害と痛風・高尿酸血症No3

慢性腎臓病(CKD)における高尿酸血症

高尿酸血症が末期腎不全(ESKD)や脳血管障害(CVD)の危険因子であることは知られています。

しかし、腎機能低下に伴う高尿酸血症の病態的意義の詳細は不明です。すなわち、高尿酸血症が腎機能低下の結果に過ぎないのか、腎機能低下に寄与しているのかという疑問は解決していません。

 

腎機能が低下すると、アロプリノール(ザイロリック®)では重篤な副作用の頻度が高くなりますが、新たな尿酸生成抑制薬フェブキシスタット(フェブリク®)およびトピロキソスタット(トピロリック®、ウリアデック®)は肝排泄型なので、腎機能の低下した慢性腎臓病(CKD)でも安全に使える可能性があります。

 

以下に、痛風治療薬の一覧を示します。使用禁忌や、他の薬剤との併用禁忌が複雑であることがお分かりいただけると思います。

これは、「認定痛風医」ばかりでなく、痛風の診療を担当するすべての医師が把握しておくべき情報ですが、専門的な経験を重ねていても常に意識して注意を喚起しておかなければならないことであると同時に、患者さんにも十分把握しておいていただくべき情報でもあります。

 

尿酸排泄促進薬

プロベネシド(ベネシッド®)禁忌:高度腎障害(GFR≦30では無効)、腎結石、
血液障害、2歳未満
 

ブコローム(パラミジン®)禁忌:肝・腎障害、血液異常、消化性潰瘍、アスピリン喘息
 

ベンズブロマロン(ユリノーム®)禁忌:高度腎障害、腎結石、肝障害、妊婦

 

尿酸生成抑制薬
 

アロプリノール(ザイロリック®)禁忌:なし
 

フェブキソスタット(フェブリク®)併用禁忌:

<抗悪性腫瘍薬>メルカプトプリン、

<免疫抑制剤>アザチオプリン(骨髄抑制)
 

トピロキソスタット(トピロリック®、ウリアデック®)併用禁忌:

<抗悪性腫瘍薬>メルカプトプリン、
<免疫抑制剤>アザチオプリン(骨髄抑制)
 

 

尿酸分解酵素薬 

ラプリカーゼ(ラスリテック®)

禁忌:G6PD欠損またはその他の赤血球酵素異常

警告:重篤な過敏症⇒症状発現時は中止し、投与終了後も観察

溶結性貧血、メトヘモグロビン血症⇒G6PD欠損またはその他の赤血球酵素異常の有無を問診

 

選択的尿酸再吸収阻害薬
ドチヌラド(ユリス®)

 

 

杉並国際クリニックの見解

痛風治療薬の一覧を示しましたが、使用禁忌や、他の薬剤との併用禁忌が複雑であることがお分かりいただけたかと思います。

これは、「認定痛風医」ばかりでなく、痛風の診療を担当するすべての医師が把握しておくべき情報ですが、専門的な経験を重ねていても常に意識して注意を喚起しておかなければならないことであると同時に、患者さんにも十分把握しておいていただくべき情報でもあります。
 

さて、今年から尿酸排泄低下薬のなかでも選択的尿酸再吸収阻害薬という新しいメカニズムの薬剤であるドチヌラド(ユリス®)の使用が可能となりました。肝障害や薬物相互作用の懸念が少ない薬剤として期待されます。

 

今年の2月に開催された痛風尿酸核酸代謝学会でも、まださまざまなメリットのある薬剤なので今後の有力な選択肢となることが期待され、臨床的安全性が十分確認され次第、杉並国際クリニックでも早期に採用する予定です。