3月28日(土)新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に効く漢方No4

<土曜日特集:統合医学(心身医学・漢方医学)カンファランス>

今月の第一週に中国で新型コロナウイルス肺炎のガイドライン第6版(新型冠状病毒肺炎诊疗方案(试行第六版)が発表している文書をご紹介し、第2週と第3週は医学観察期に推奨される漢方処方について説明いたしました。

今回は臨床治療期(感染確認症例)における推奨処方例の一部について紹介いたします。

なお推奨処方は複数あり、臨床像によって使い分けています。

 

2. 臨床治療期(感染確認病例)における治療について

2.1 清肺排毒湯

適用される患者の範囲:軽度、中度、重症患者。

危篤患者の救急については実際の状況に応じて合理的に使用すること。

 

基礎方剤:

麻黄 9g、炙甘草 6g、杏仁 9g、生石膏 15~30g(先煎)、 桂枝 9g、澤瀉 9g、猪苓 9g、白術 9g、茯苓 15g、柴胡 16g、黄芩 6g、姜半夏 9g、生姜 9g、紫菀 9g、冬花 9g、射干 9g、細辛 6g、 山薬 12g、枳実 6g、陳皮 6g、藿香 9g。

 

服用法:

生薬を水で煎じ、毎日 1 剤、一日 2 回朝晩(食後 40 分) に分けて温服する。3 日を 1 クールとする。

条件が整っている場合は、服用後に茶碗半杯分のおかゆ、舌が乾燥して、津液(消化液)が不足している患者には一杯を飲ませる。(注:発熱のない患者については生石膏の用量を少なくし、発熱や高熱の場合は容量を増やす。)

 

症状が改善してきていてもまだ完治をしていない患者については 2 クール目を行う。

ただし、特殊な事情や持病を持っている場合は、実際の状況に応じ 2 クール目の処方箋を調整し、症状がなくなった時点で投与を終了することとする。

 

 

杉並国際クリニックの分析

推奨された処方は21の薬味から構成されています。

麻黄 、炙甘草 、杏仁 、生石膏 (先煎)、 桂枝、澤瀉 、猪苓 、白術 、茯苓 、柴胡 、黄芩 、姜半夏 、生姜 、紫菀 、冬花 、射干 、細辛 、 山薬 、枳実 、陳皮 、藿香

 

処方箋の出所:

国家衛生健康委弁公庁 国家中医薬管理局弁公室≪中西医結合で新型コロナウィルス肺炎の治療における「清肺排毒湯」の推薦についての通知≫(国中医薬弁医政函(2020)22 号)

 

上記のうち、紫菀(しおん)キク科アスターの根、冬花(款冬花?)キク科フキタンポポの花蕾、射干(やかん)アヤメ科檜扇の根、藿香(かっこう)シソ科川緑の4種を除く17の生薬は、日本の保険漢方でも使用されています。

 

そこで来月の<土曜日特集:統合医学(心身医学・漢方医学)カンファランス>

 

のテーマは、引き続き、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に効く漢方
を発信します。

 

わが国の保険診療で処方可能な方剤について解説します。