特集シリーズ:COVID-19疑い例の診療に関する留意点/日本医師会通知(3月12日)

「インフルは検査控え、臨床診断で処方を」 No1

 

第1節:迅速診断実施による感染リスクを考慮

 

3月11日、厚生労働省は、全ての患者について鼻腔や咽頭から検体採取をする際にサージカルマスクや眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、ガウン、手袋を装着するよう求める通知を出しました。

これを受けて日本医師会・釜萢 敏氏(同会感染症危機管理対策室長)は、「新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点について」記者会見で説明し、一般の医療機関においても十分な周知を求めました。

 

日本医師会は同日、インフルエンザなどの検査のために検体を採取する際に新型コロナウイルスに感染する可能性があるため、検査をせずに臨床診断によって治療薬を処方するよう求める通知を都道府県・郡市区医師会へ発出しました。釜萢敏氏は「これは大変強い、大きなメッセージだ。一般の医療機関に来た患者が新型コロナか分からない中で、防護具が今、手に入らない。迅速検査は難しくなってきているという認識だ」と述べた。医療機関が防護具を用意できている場合は検査可能で、厚労省とも協議の上で決めた方針であることのことです。

 

釜萢氏は、地域の各医療機関の外来に共通する感染予防策として、基本的に誰もが新型コロナウイルスを保有している可能性があることを想定し、すべての患者の診療において、標準予防策であるサージカルマスクの着用と手指衛生の励行を徹底するよう指示しました。患者が発熱や上気道症状を有するなどの場合であっても、検体採取やエアロゾルが発生する可能性のある手技を実施しないときは、標準予防策の徹底で差し支えないとのことです。

 

 

杉並国際クリニックの現状

インフルエンザの診療の診断には、検査キットが必要不可欠であると考える方にとっては、このメッセージは、とてもショッキングなメッセージかもしれません。しかし、便利の蔭には魔物が棲んでいるものです。

 

杉並国際クリニックは以前からインフルエンザの治療のために検査キットは不要と考えて導入してこなかった経緯があります。たしかに診断のためには診断キットは一定の意義はあります。

 

しかし、インフルエンザに感染していても検査が陽性になるとは限りません。その場合は、インフルエンザの治療薬を処方することが実際上不可能になるばかりでなく、感染者は家庭や職場あるいは交通機関でウイルスを拡散させてしまうおそれを生じます。

 

また、検査結果が陽性だった場合に、1回の内服で治療が完了するとされるゾフルーザ®という薬が処方されるとさらに問題が大きくなることを予測していました。

当クリニックではこの薬剤に関しては一切処方いたしません。

その理由は、この薬が効かない(抵抗性)の耐性ウイルスが存在することに加えて、1錠内服して薬物療法自体は完了しても、感染性は直ちに消失しないと考えられるからです。中には直ちに職場に復帰し、場合によっては広範な営業活動をして感染を蔓延させているような方も少なくないものと推測しておりました。

 

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症では、自覚症状のない・あるいは乏しい感染者でも他人を感染させ発症させることがあること、検査キットで陰性でも後に陽性になるケースが報告されています。

 

インフルエンザも同様に考えておくのが良いと考えます。自分はインフルエンザに罹ったことがない、あるいは罹ったとしても風邪程度だから、という理由でインフルエンザワクチンを接種しない方針の方が若干いらっしゃいます。

 

しかし、そうした方こそ、身近な大切な人々のためにも、今年の10月にはワクチンを接種していただきたいと願っております。

 

有事に対する備えの意識が高い杉並国際クリニックでさえ、一般のマスクのみを何とか確保しているのみで、サージカルマスクに至っては、すでに欠如しています。つまり、標準予防策ですら完備できる見込みがないことを懸念しています。

 

そこで、杉並国際クリニックとしては、確かな情報収集と独自の分析をもとに、継続的に実行可能な対策を独自に立案し、可能なことから速やかに実施するこれまでの方針に則って診療を継続していくことにしています。

 

それは感染リスクが高い『新患および再新患(受診中断後2カ月以上経過した方)』の受付を事前予約制として、定期受診者との接触を減らすことです。

 

日頃の健康管理の指針としては、杉並国際クリニックでは、第一に日頃の鍛錬(禁煙水氣道®など)、第二に事前の予防(ワクチン接種など)、第三に罹患後の一定日数の養生が必要であることを宣言し、推奨しています。