2月28日 造血器悪性腫瘍の緊急初期対応を要する局面(No.5)

‐脊髄圧迫‐

 

脊髄圧迫は、神経病変であるがゆえに治療効果を期待することができるゴールデンタイムが限られているため治療開始のタイミングが問題となります。

 

診断(神経学的所見、MRIなどの画像診断)から集学的治療(ステロイド療法、放射線療法、整形外科的治療まで)含めた集学的な治療を48時間以内という短時間内に必要とする病態です。

 

とりわけ、初期対応が重要であり、神経症状が出現した場合、可及的速やかに(数時間以内に)デキサメサゾンの静脈注射を行ない、その後も時間ごとに追加します。

 

ゴールデンタイムが限られているため画像診断に先行して、この治療を開始せざるを得ないこともあるため、院内での協力・連携体制の確立が重要です。
 

 

 

髄圧迫の原因は、椎体への転移によるものが最多です。

その他に、硬膜下および髄腔内への直接浸潤などによっても脊髄が圧迫され、高度の疼痛と脊髄麻痺が生じます。原因疾患としては、肺癌、前立腺癌、乳癌といった固形癌によるものが多いが、多発性骨髄腫、多発性リンパ腫によるものもあります。

 

診断は、神経学的所見とMRIが最も有用です。脊髄圧迫が疑われる場合、神経学的所見から画像診断の必要性を考慮します。

 

治療的目的は、歩行能の維持と疼痛コントロールによる患者のQOL(生活の質)の維持です。神経症状が出現した場合、可及的速やかに(数時間以内に)デキサメサゾンの静脈注射を行ない、その後も時間ごとに追加します。その後、疼痛コントロールと神経学的所見の改善を目的として局所放射線療法を行なうことが多いです。
 

 

3カ月以上の予後が期待される全身状態の良好な、転移性悪性腫瘍による脊髄圧迫患者では、圧迫箇所が1か所の場合、手術による減圧と放射線療法を併用することが多いです。