2月24日 造血器悪性腫瘍の緊急初期対応を要する局面(No1)

―急性白血病初発‐血液検査で白血球数が5万/μL以上の場合

 

先月も水泳の池江選手の話題にも触発されて、白血病について解説しましたが、急性白血病の診断が公表されてから気になっているのは、染色体検査の結果や腫瘍細胞数、増殖速度などの情報です。

 

デリケートな個人情報なので、今後も公表されることはないかもしれませんが、急性白血病における単独で最も重要な予後因子が、実は染色体異常なのです。

 

また、染色体異常のなかでも、たとえばフィラデルフィア(Ph)染色体陽性白血病ならチロシンキナーゼ阻害薬、5q-症候群ならレナリドマイドという特効薬が有効です。

 

しかしながら、一般的に言って、腫瘍細胞が多く、その増殖スピードの速い若年急性白血病患者に対しては、可及的速やかに寛解導入療法を開始することが重要なのです。

 

急性骨髄性白血病(AML)および急性リンパ性白血病(ALL)は診断後可及的速やかに寛解導入療法を開始する必要があるとされてきました。

 

特に、初診時白血球数5万/μL以上で白血病細胞が多い場合、早急な治療を要するとされます。しかしながら治療開始に先立って有用な情報であるはずの染色体検査は、専門の検査機関に外注した場合、結果判明までに2~3週間を要します。

 

初診時白血球数5万/μL以下の急性骨髄性白血病(AML)患者において、60歳未満では診断から寛解導入療法開始まで6日以上かかると全生存率が悪化します。