2月18日 パーキンソン病とその周辺(No2)

パーキンソン病の早期発見は誰が担当すべきか?

 

パーキンソン病の早期診断のためにも神経内科専門医の受診が望ましいのですが、実際的ではありません。

 

たとえば、便秘はありふれた症状なので、大多数の方は、これを軽くみて受診しません。

受診したとしても一般内科や消化器内科がほとんどのはずです。

嗅覚障害があれば耳鼻咽喉科を受診するでしょう。

うつや不安があれば、心療内科や精神神経科というふうに、なかなか神経内科にはたどり着けません。

 

そのなかでも心療内科専門医を受診した方は幸運である可能性があります。

専門医の資格をもつ心療内科医は、内科医としての基礎資格を有して内科の診療を継続していることが条件になっているため、パーキンソン病の早期診断に最も活躍できる環境にあるといってよいと考えております。

ですから、神経内科専門医がパーキンソン病の早期診断に最も貢献できるはずだというのは幻想にすぎないのです。

 

かつて他の内科疾患で診させていただいた患者さんの中で、パーキンソン病の疑いがある方が通院されていました。

 

その方の症状は、便秘とうつと不安が主でしたが、水氣道®に参加していただいていたのでパーキンソン病の可能性が高いことに気づくことができました。

 

そこで、神経内科専門医をご紹介したところ、紹介先の専門医が早期診断に驚いていたそうです。

 

つまり、専門医は病気が進行してからの患者さんを診ることがほとんどなので、早期の症例を診る機会は意外に少ないのだそうです。

 

また、別の患者さんは、パーキンソン病の診断をしたところ、さる大学病院の脳神経内科に3カ月に1回程度受診することが決まった直後から、当方への受診は中断されました。

 

以前は、姿勢反射障害もほとんど見られませんでしたが、残念なことにそれ以降も病状が進行していました。

 

水氣道の稽古をすると調子が良くなることを経験したためか、稽古だけは熱心に続けていましたが、水中歩行では上半身が右側に大きく傾いてしまい、ピサ症候群(斜め徴候)であることが早期に判明しました。

 

ピサ症候群とは、まるでピサの斜塔のような姿勢となるパーキンソン病の姿勢反射障害の一つであるため、神経内科の主治医に報告するように伝えましたが、私が神経内科の専門医ではないという理由で信用していただけず対応が遅れてしまったことは残念でした。


パーキンソン病の早期発見は誰が担当すべきか?が問題なのではなく、誰が担当できるのか?が問題なのです。

 

神経内科専門医が、必ずしも早期発見する環境にないこととともに、パーキンソン病の診療実践があるにもかかわらず、神経内科専門医ではないからとの理由で現実のお役に立てない事例を紹介させていただきました。皆様はいかがお考えでしょうか?