号外2月8日 新型コロナウイルス感染症、“疑い例”の定義について/厚生労省

新型コロナウイルス感染症蔓延の状況刻々と状況が変化し続けています。

医療機関としての最重要情報は、確立した診断基準です。

突発的な新規の感染症は、治療法がありません。

そのため予防対策の確定が最優先課題です。

予防法と密接に関連するのは早期発見です。

こうしたなかで、厚生労働省は「臨床的特徴」や「感染が疑われる患者の要件」について、適時アップデートしています。

 

 

“濃厚接触”とは?・・・初めての具体的定義
 

厚生労働省は、2月4日付の感染症法に基づく届出基準の一部改正について都道府県宛通知1)しました。

そこで同感染症の「臨床的特徴」および「感染が疑われる患者の要件」を下記のように定義しています。

 

通知1)感染症の予防及び感染症の患者に関する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について(一部改正)(2020年2月4日掲載)

 

 

<臨床的特徴(2020年2月2日時点)>
臨床的な特徴:潜伏期間は2~10日であり、その後、発熱、咳、全身倦怠感等の感冒様症状が出現する、としています。

一部では、主に5~14日間で呼吸困難等の症状を呈し、胸部 X 線写真、胸部 CT などで肺炎像が明らかとなります。

とくに高齢者及び基礎疾患を持つものにおいては重症化するリスクが一定程度あると考えられています。

 

<感染が疑われる患者の要件>
患者が次のア、イ、ウ又はエに該当し、かつ、他の感染症又は他の病因によることが明らかでなく、新型コロナウイルス感染症を疑う場合、これを鑑別診断に入れます。
ただし、必ずしも次の要件に限定されるものではありません。

 

ア)発熱または呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈する者であって、
新型コロナウイルス感染症であることが確定したものと濃厚接触歴があるもの

 

イ)37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域に渡航又は居住していたもの

 

ウ)37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内にWHOの公表内容から
新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域に渡航又は居住していたものと濃厚接触歴があるもの

 

エ)発熱、呼吸器症状その他感染症を疑わせるような症状のうち、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、集中治療その他これに準ずるものが必要であり、かつ、直ちに特定の感染症と診断することができないと判断し
(法第14条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症に相当)、
新型コロナウイルス感染症の鑑別を要したもの

 

 

※濃厚接触とは、次の範囲に該当するものです。

 

・ 新型コロナウイルス感染症が疑われるものと同居
あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があったもの

 

・ 適切な感染防護無しに新型コロナウイルス感染症が疑われる患者を
診察、看護若しくは介護していたもの

 

・ 新型コロナウイルス感染症が疑われるものの
気道分泌液若しくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高いもの

 

 

 

杉並国際クリニックの見解:
新型コロナウイルス感染を疑う上で、臨床症状は参考程度にしかならないということを肝に銘じておくべきでしょう。

発熱その他の症状が現れていなくても、流行地の渡航歴や居住歴、あるいは流行地から来訪した人々との接点がある場合は、感染の可能性を完全に否定できないということになります。