松本力(つとむ)さんは、令和2年1月30日に79歳でお亡くなりになりました。
松本さんは、水氣道創設以前からの第1号会員として20年以上の永くにわたって、水氣道と共に歩み続けてきました。
当初から、進行した糖尿病で、糖尿病特有の合併症(腎症、神経障害など)の他、左下肢の糖尿病性壊疽を来しかかった状態で、それまでの主治医から左足切断、腎透析を言い渡されていました。
そのうえ持病の気管支喘息の発作にもたびたび苦しめられていました。
薬物療法のみでは限界があり、針通電療法その他の物理療法を併用することによって、壊疽による足切断は免れました。
運動療法を推奨しましたが、糖尿病性神経障害に伴う感覚鈍麻と神経痛、そして筋力低下のため陸上での歩行にも支障をきたし始めていたため、温水プールでの水中歩行をはじめていただくことになりました。
運動嫌いの松本さんでしたが、次第に稽古を楽しみにしてくれるようになるにつれて、陸上歩行も可能になりました。腎透析の導入もそれから10年程先延ばしにすることもできました。
その後も、糖尿病による動脈硬化を主因とする狭心症・心筋梗塞や一過性脳虚血発作・脳梗塞など、たびたび生命の危機に曝されましたが、そのつど業病を乗り越え、水氣道の稽古に復活されました。
誰とはなく「不死身の松本さん」と御声掛けするようになりました。
しかし、水氣道を杖として歩んでこられた長きにわたる闘病生活も最後の入院の時を迎えました。1月26日(日)にお見舞いに伺うと、「2月(の水氣道の稽古に)は行けん」と寂しそうに語る松本さんの姿を見たのが最後になりました。
松本さんとともに歩んだ水氣道の20年で確かに学んできたことがあります。
それは、他の方法では決して得ることができない固有の癒しの力を水氣道が確かに持っているということです。
そして、多くの皆様が水氣道を楽しく取り組んでいただくことにより、水氣道が、そうした皆様の生涯にわたって良き伴侶のように寄り添い続けてくれるであろうということです。
松本さんは、10年以上もの間、水氣道2級(中等修錬生)として地道な稽古を続けてこられました。
そうした松本さんの業績を顕彰するために、昇級審査委員会の総意に基づき、本年の元旦付けで水氣道名誉1級(特別高等修錬生)を贈呈させていただきました。
松本力さんのご冥福を、心からお祈り申し上げます。
日本水氣道協会
創始者 飯嶋正広
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