聖楽療法 2月23日(日)

第一部 心身医学療法における聖楽療法理論のコンテクスト(その2)

 

第2章 心身医学療法における理論

 

 

従来の心身医学療法における理論の役割

 

心身医学療法の適応は、心身症とされています。心身症とは「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。

ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」(“心身医学の新しい診療指針”日本心身医学会教育研修委員会編、1991)と規定されています。

 

 

心身症とは独立した疾患単位を指すのではなく、身体疾患の中で心身相関の病態が認められる場合をいいます。つまり、心身症というのは病態であって病名ではないということです。

 

心身症には、現実的なストレス環境に由来する「現実心身症」と、むしろストレスの受け止め方、対処の仕方など、本人の性格特性に由来する「性格心身症」に大別されます。両者に共通するのは病気の発症や、その経過に種々のストレッサーが大きく関与していることです。

こうした疾患はストレス関連疾患と呼ばれ、以下のような広範な器官系統に病状が現れます。

 

〇 消化器疾患:

急性胃粘膜病変、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、発作性腹部膨満症、慢性膵炎

 

〇 呼吸器疾患:

気管支喘息、過換気症候群

 

〇 循環器疾患:

不整脈、本態性高血圧症

 

〇 代謝疾患:

特発性低血糖症

 

〇 アレルギー性疾患:

コリン性蕁麻疹

 

〇 膠原病:

全身性エリテマトーデス、関節リウマチ

 

〇 神経系疾患:

片頭痛、自律神経失調症

 

〇 骨筋肉系疾患:

顎関節症、頚肩腕症候群

 

〇 全身疾患:

慢性疲労症候群、線維筋痛症

 

〇 婦人科疾患:

更年期障害、月経痛、骨盤内うっ血症候群、月経異常、無月経、卵巣機能不全

 

 

いかがでしょうか。ストレス関連疾患は上記のリストの他に、ほとんどの生活習慣病とも重なり合っています。

 

これらの病気と全く無関係に過ごしているような方に巡り合うことはむしろ少ないです。
 
 

聖楽院における聖楽療法も、こうした病気の治療に役立てることを目的としていますが、聖楽療法の特記すべき特色は、レッスン生はレッスン中に自分自身が患者であるという意識をもつ必要はなく、むしろ聖楽院のレッスン生であるという認識の上で楽しくレッスンを続けて芸術的に開花していただくことを目標としていただければ治療目的を達成することができることにあります。