1月21日 心源性脳塞栓症について

内科の重要な領域の一つである神経病学は、先日のテーマでも触れましたように、循環器病学と切り離して扱うことができません。それは、脳血管疾患において明らかです。

 

日本では高齢者が要介護となる原因の第1位は脳血管疾患です。中でも重症度が高いとされるのが、心房細動(AF)に起因する心原性脳塞栓症です。日本のAF患者数は増え続けており、来年(2020年)には105万人を超え、その後もさらなる増加が予測されています。

 

日本では70万人以上が心房細動を持っているといわれています。特に、心臓病や高血圧、慢性の肺疾患、甲状腺機能亢進症のある人に多くみられますが、心臓に病気のない人でも精神的ストレスや睡眠不足、アルコールやカフェインの摂りすぎ、不規則な生活などが原因となって引き起こされます。
 

 

また要介護原因の第4位(約12%)が骨折・転倒です。転倒は60歳を超えると急増し、転倒・転落による死亡者数は交通事故死を上回ります。転倒・転落による外傷で最も注意すべきは頭部外傷であり、65歳以上の重症頭部外傷患者の約30%が抗血栓薬を服用しています。65歳以上の重症頭部外傷患者における転帰良好の割合は約15%、死亡率は約44%にものぼるので、65歳未満に比べて明らかに転帰不良です。
 

 

頭部外傷の原因で最も多いのも転倒です。では、転倒場所はどこが多いでしょうか。

東京消防庁のデータによると、圧倒的に自宅内が多いです。家の中での転倒は、滑り止めや手すりを付けることで防げるかもしれません。 

ご本人やご家族の努力により少しでも救命率が上がる可能性があるため、家の中での転倒を防ぐことができれば、そもそもけがをせずに済むかもしれません。

 

杉並国際クリニックが水氣道®を主宰し、積極的に推奨しているのも、有酸素運動による動脈硬化予防(心臓病や高血圧による心房細動の予防を含む)のために、単なるパワーやスタミナ増強だけではなく、平衡感覚を訓練して、転倒防止等をも視野に入れているからなのです。