<はじめに>

 

 

前回は「難聴」についてお話しました。

 

 

「温溜(おんる)」は肘を直角に曲げたときにできるシワの中央と手首の親指 側にある骨との真ん中にあり、

 

 

「耳門(じもん)」は耳の穴の前にある突起(耳珠)のやや上にあるくぼみにあり、

 

 

「合谷(ごうこく)」は親指と人差し指の間にあります。

 

 

 

今回は「口内炎」についてお話しましょう。

 

 

<口内炎に効果のあるツボ>

 

2019-12-17 14-36

 

 

今回は「衝陽(しょうよう)」「太白(たいはく)」「女膝(じょしつ)」を紹介します。

 

 

「衝陽」は足の第二指と第三指の間で足の甲の出っ張りの真上にあります。

 

 

「太白」は足の親指の内側、骨が出っぱっているところの後ろにあります。

 

 

「女膝」は踵と足首の間のくぼみでアキレス腱のいちばん下にあります。

 

 

特に「女膝」は効果が高いツボです。熱さが伝わるまでお灸をするのが良いでしょう。

 

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

また昨年12月21日に、「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)に対する抗PD-1抗体ペムブロリズマブの単剤療法」が薬事承認されました。

 

膵がんにおけるMSI-Highの頻度は1~2%と低いものの、ペムブロリズマブの高い奏効率が期待できることから、同ガイドラインでも切除不能膵がんに対する二次化学療法の選択肢として「MSI-Highであればペムブロリズマブ単剤療法を提案」が加わりました。
 

 

さらに化学療法の継続期間については、局所進行例および遠隔転移例とも「投与継続困難な有害事象の発現または病態が明らかに進行するまで」の投与が"提案"されました(LC3、MC3)。
 

 

次回のガイドライン改訂に向けた課題として、がん遺伝子検査の適切な方法とタイミング、その結果に基づいた治療選択の明記が挙げられ、「切除不能膵がんの予後は、今なお不良のままです。

 

関連学会と連携し、理解を深め、ゲノム医療という新しい枠組みの中で診断~治療を定義することが重要である」ことが強調されています。
 

 

ただし、これらの臨床試験における治療成績は、全身状態の良好な限られた患者が対象となるため、実臨床での成績より良好な傾向があります。個々の患者の全身状態や合併症などにより、予後は大きく変わることを考えておく必要があります。

二次化学療法:局所進行、遠隔転移で同一ステートメント

 

前述したように、局所進行例(ステージⅢ)および遠隔転移例(ステージⅣ)の両者に対し、一次療法不応後の二次化学療法の施行が推奨され、レジメンのステートメントも同一としています(表4)。

 

4.切除不能膵がんに対する二次化学療法

表4

 

(表1~4とも『膵癌診療ガイドライン 2019年版』を基に編集部作成)


 

GEM関連レジメン後のフルオロウラシル関連レジメンとして、フルオロウラシル+フォリン酸(FF療法)+ナノリポソーム型イリノテカン(MM-398)併用療法が含まれています。

 

その根拠となったのが、GEMベースの一次治療を受けた転移を有する膵がん患者を対象に行われたオープンラベル国際第Ⅲ相ランダム化比較試験の成績です。

 

同試験では、MM-398単独療法、FF療法、MM-398+FF併用療法の3群で有効性を比較しました。全生存期間(OS)中央値において、FF療法群の4.2カ月に対し、MM-398+FF併用療法群では6.1カ月と有意な延長が認められました〔ハザード比(HR)0.67、95%CI 0.49~0.92、P=0.012〕。
 

 

このような複雑な医学研究の議論を傍観していると、少しでも早く膵がんの発見ができないものかと考えてしまいます。

 

そこで、膵がんの危険因子を調べてみたのですが、膵がんの家族歴、慢性膵炎、糖尿病および肥満などがリストアップされます。

 

これらに該当する患者さんに対して、造影CT検査を実施することは現実的ではないにしても、腹部超音波検査を入念に行うことは有意義であると考えます。

遠隔転移の一次化療:2レジメン推奨、3レジメン提案
 

膵がんの確定診断後、病期診断を行いますが、まず切除可能か否か、切除不能であれば、遠隔転移があるかどうかで病期が決定します。

 

遠隔転移を有する膵がん(ステージⅣ)の一次化学療法としては、抗癌化学療法のみで、抗癌化学放射線療法の選択肢はありません。

 

FOLFIRINOX療法およびGEM+nab-PTX併用療法の2レジメンを"推奨"、GEM単独療法、S-1単独療法、GEM+エルロチニブ併用療法の3レジメンを"提案"としました(表3)。

 

表3.遠隔転移膵がんに対する一次化学療法

表

 

明日への提言では、「患者年齢や腫瘍のバイオマーカーなど客観的な患者情報に基づいて、最も益と害のバランスの取れた治療法を推奨」することを課題としました。

 

また、GEM+nab-PTX併用療法およびFOLFIRINOX療法(modified FOLFIRINOX療法を含む)について、「どちらを優先するべきか」が不明であり、「現在、わが国で比較試験が実施されている」ことも記載されました。ちなみに、この「比較試験」に該当するのがJCOG1611 です。

 

同試験では、遠隔転移を有するまたは再発膵がん患者を対象に、GEM+nab-PTX併用療法、modified FOLFIRINOX療法、S-1+イリノテカン+オキサリプラチン併用療法(S-IROX療法)の有効性と優越性が検証されます。

 

ただし、FOLFIRINOX療法は、日本人の第Ⅱ相試験において、骨髄抑制が強く、特に発熱性好中球減少症が22.2%と高率に発現しました。また、悪心・嘔吐などの消化器毒性、四肢のしびれなどの末梢神経障害など副作用も強いです。

 

そのため、フルオロウラシル急速静脈注射を削除し、イリノテカンを減量した第Ⅱ相試験を行ったところ、発熱性好中球減少症が8.7%と低下し、奏効割合や生存期間の有効性もほぼ同様であるため、そのレジメンを代替法として用いる選択肢があります。
 

このように、平均余命が1年に満たない切除不能膵がんの患者さんに、これほどの激しい副作用で苦しめる治療法しか選択肢がない、という現実と向き合っていくことは、甚だ辛く切ないことです。

 

局所進行の一次化療法:4レジメン提案
 
 

膵がんの予後として、2012年の日本膵臓学会の全国集計による国際対がん連合(UICC)ステージ別の生存期間が報告されています。
 

生存期間中央値はそれぞれ、

ステージⅠa, Ib:100~120カ月

ステージⅡa,Ⅱb:15~24カ月

ステージⅢ(局所進行切除不能):9.3カ月

ステージⅣ(遠隔転移):5.3カ月
 

 

また、5年生存率はそれぞれ、

ステージⅠa, Ib:60~68%

ステージⅡa,Ⅱb:13.3~30.2%

ステージⅢ(局所進行切除不能):4.7%

ステージⅣ(遠隔転移):2.7%
 

 

切除不能膵がんの予後が極めて不良であることがわかります。

膵がんの診断を受け、切除不能とされた段階で、平均余命は1年にも満たないという事実は、とてもショッキングなはずです。

 

今回、局所進行切除不能膵がんに対する一次化学療法として、GEM単独療法、S-1単独療法、FOLFIRINOX療法、GEM+nab-PTX併用療法(表2)の4レジメンが"提案"されました。

GEM+エルロチニブ併用療法が推奨から除外されました。

 

その理由は、海外で行われた局所進行膵がんに対する第Ⅲ相試験LA-07の結果、GEM単独療法よりむしろ成績が劣っていたためです。

 


表2.切除不能局所進行膵がんに対する一次化学療法

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このCQに対する"明日への提言"では、「PSなどの全身状態が良好であれば、FOLFIRINOX療法やGEM(ゲムシタビン)+nab-PTX(ナブパクリタキセル)併用(GnP)療法が優先的に選択されているのが現状」と記載しており、今後は「どのような患者にどの治療を選択すべきかを明らかにしていく必要がある」とされた。
 

現在、この提言に呼応する形で、局所進行膵がん患者を対象にmodified FOLFIRINOX療法とGEM+nab-PTX併用療法の有効性および安全性を検討する第Ⅱ相ランダム化比較試験JCOG1407が進行中です。

この試験の研究代表者は「将来的には化学放射線療法も加え、より有望な治療法の検討を行っていきたい」と述べています。


つまり、現在の医学水準では、切除不能膵がんに対しての治療は決して満足のいく結果が得られていないということになります。

今月のテーマ/切除不能膵がんへの化学療法

 

膵癌診療ガイドラインが3年ぶりに改訂

 

膵がんは膵臓から発生した悪性腫瘍です。膵管上皮から発生する浸潤性膵管癌(腺癌)が、その90%を占めます。

 

我が国における膵がんの年間罹患数は2013年で3万4,837人、年間死亡数は2016年で3万3,475人であり、罹患数と死亡数がほぼ同数です。

 

膵臓の厚さは2㎝程度なので、小膵がんとされる最大径2㎝以内の膵がんであっても、膵外組織に容易に浸潤してしまっている可能性があります。ですから、小膵がんであってもすでに進行がんである可能性があります。

 

切除可能な膵がんでは約3:1の割合で頭部に多いのですが、実際に膵がんの発生部位は頭部より体尾部に多いため、超音波検査で検出して早期発見することも容易ではありません。

 

一般的に膵がんでは膵管閉塞所見および尾側膵管の拡張がみられます。通常型膵管癌は乏血性(血流に乏しい)であるため造影CT検査で低吸収域となることは知られていますが、積極的に早期に検査を実施するための条件が整うことは期待できません。

 

 

以上の背景もあり、膵がんの多くは切除不能(切除不能膵がん)で診断され、切除可能例は20~30%にすぎません。切除例と非切除例を含めた5年生存率は10%未満であり、悪性腫瘍の中でもきわめて予後不良の疾患です。

 

 

2019年7月に『膵癌診療ガイドライン 2019年版』(日本膵臓学会編)が第50回日本膵臓学会の開催に合わせて3年ぶりに改訂されました。

 

第50回同学会の特別企画「膵癌診療ガイドライン2019-膵癌診療の進歩と明日への提言」では、特に改訂点が多かった化学療法の領域に関して、最近数年のエビデンスが色濃く反映された一次化学療法を中心に各クリニカルクエスチョン<臨床質問>(CQ)とステートメント<回答>について解説されました。

 

切除不能膵がん局所進行(臨床ステージⅢ)遠隔転移(臨床ステージⅣ)に分類します。

 

ステージⅢは、おもに病変が主要血管(腹腔動脈幹もしくは上腸間膜動脈)へ浸潤している場合です。化学放射線療法または化学療法が一次治療となります。

 

化学放射線療法は2年以上の長期生存率が高い傾向にあり、さらに放射線治療による局所制御や疼痛緩和の効果が期待できますが、治療が煩雑で、胃・十二指腸からの消化管出血のリスクがあるなどの不利益もあります。

 

 

ステージⅣは、遠隔転移例であり、化学療法が一次治療となります。『膵癌診療ガイドライン 2019年版』の化学療法のCQも両者を分けて設定しています。一次化学療法(LC1とMC1)では両者は個別に設定されました(表1)。

 

表1

 

 

では、なぜ一次化学療法で局所進行(LC1)と遠隔転移(MC1)のステートメントが個別に設定されたのでしょうか。

 

その理由はエビデンスの差にあります。

 

切除不能膵がんの一次化学療法の有効性について、2007年にゲムシタビン(GEM)単独療法とGEM+エルロチニブ併用療法を比較した第Ⅲ相試験、2013年にはGEM単独療法、S-1単独療法、およびGEM+S-1併用療法を比較したGEST試験の成績が報告されたが、ともに「局所進行例と遠隔転移例」を評価対象としていました。

 

その一方で、2011年にはFOLFIRINOX療法(オキサリプラチン、イリノテカン、フルオロウラシル、レボホリナートカルシウムの4剤併用療法)、2013年にはGEM+ナブパクリタキセル(nab-PTX)併用療法の有効性が示されましたが、それらの評価対象はいずれも「遠隔転移例のみ」でした。

 

以上のように、膵がん治療において、評価対象の違いから、局所進行(LC1)と遠隔転移(MC1)の一次化学療法ではエビデンスに乖離が生じています。

 

最近の臨床試験の結果では、GEMベースの化学療法と化学放射線療法の生存率に差はなかったとされています。

<はじめに>

 

前回は「頭痛」に効果のあるツボを紹介しました。

 

 

「列缺(れっけつ)」は手首の後ろの高い骨のそばにあります。

 

 

「陽陵泉(ようりょうせん)」は膝の外側下にある骨の出っ張りのすぐ下の凹んだところにあります。

 

 

今回は「難聴」に効果のあるツボを紹介します。

 

 

<難聴に効果のあるツボ>

2019-12-10 15-04

2019-06-06 00-15

 

 

今回は「温溜(おんる)」「耳門(じもん)」「合谷(ごうこく)」を紹介します。

 

 

「温溜」は肘を直角に曲げたときにできるシワの中央と手首の親指側にある 骨との真ん中にあります。

 

 

「耳門」は耳の穴の前にある突起(耳珠)のやや上にあるくぼみに位置します。

 

 

「合谷」は親指と人差し指の間にあります。

 

 

 

特に「耳門」を指圧してみてください。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

職員

〇  医療事務(受付)を募集します

 

「勤務開始」

令和2年3月より

 

「勤務時間」
月曜・火曜、午前9時~12時

 

「給与」

時給1,100円(研修期間3ヶ月、1,050円)

 

「その他」

白衣貸与

未経験者可

徒歩又は自転車で通勤可能な方

 

メールでお問い合わせください

 

担当:野口

メール:suikido1@gmail.com

 

 

〇 心理カウンセラー
主任心理士1名(心療内科指導医・専門医パートナー)

当クリニックの運営理念に賛同し、チーム医療を推進するための協力を惜しまない方。

 特に、医師の診療に支障を生じないように、面談の報告書を一定の期間内に責任をもって提出してくださる方。
  

プロフェッショナルとしての責任を放棄せず、敬意をもって誠実に患者クライエントの皆様に接遇することができる方。

 

一人一人の特性や背景に応じた対応を可能とするため、特定の心理療法の技法のみに固執せず、当クリニックが培ってきた各種の心身医学療法(自律訓練法・交流分析・行動療法ならびに水氣道®療法、聖楽療法等)を積極的に習得し、かつ、実践しようという意欲と柔軟性のある方。

 

労働衛生や産業カウンセリングに興味があり、また、将来において英語によるカウンセリングを行なえる心理士となることを目指したい方。

 

当クリニックの主任心理士として、若手心理士の育成支援やスーパーバイズ等にも意欲がある方。

 

およそ3カ月程度のボランティア・カウンセラーとしての事前研修を厭わない方。

 

採用試験(履歴書、推薦書、職業倫理に関する作文、
臨床心理学および心身医学に関する英文読解、面接)

 

 

研修生:
〇 鍼灸師若干名:

漢方専門医の包括的指導監督のもとで、当クリニックの主任鍼灸師が実践している線維筋痛症をはじめとする難病治療のための技法を公開します。

 

当クリニックの運営理念に賛同し、指導医や主任鍼灸師の指導を謙虚に受け入れることができる資質と人柄を兼ね備えている方。
  

プロフェッショナルとして責任と敬意をもって誠実に患者クライエントの皆様に接遇することができる方。
  

週1回半日以上の鍼灸治療実習および自律訓練法実習(個人および集団)、さらに定期的な水氣道®稽古の参加が可能な方。

 

 

ボランティア 
〇 事務職員:

事務長・事務次長その他事務職員の指揮・指導の下で令和時代の実践的医療事務の実務を経験したい方。週2回半日程度、3カ月での習得を目安とします。

 

〇 外国語通訳(アジア系言語)

ニューモシスティス肺炎

 

30代男性。1週間程前から37℃台の発熱で発症。その後に体温は38℃を超え、咳もひどくなったため感冒薬の処方を希望しての初診となりました。

 

問診によると、咳には痰が混じらない咳(乾性咳嗽)でした。これは、間質性肺炎を疑うべき症状の一つです。

 

身長175㎝、体重53㎏、BMI17.3体温38.9℃、血圧102/64㎜Hg、脈拍104/分・整呼吸数28/分。低栄養と発熱に伴う頻脈および頻呼吸を考えましたが、結膜に軽度貧血を認めました。咽頭発赤や頸部リンパ節を蝕知せず、上気道炎(かぜ)の所見は得られませんでした。

 

また、胸部で心雑音・肺副雑音は聴取せず、気管支炎・肺炎あるいは明らかな心疾患を疑わせる所見もありませんでした。ただし、腹部で脾臓を2横指蝕知しました。四肢・皮膚・神経系にも異常は見られませんでした。

 

発熱、貧血、脾腫の所見を認めたため血液検査と胸部エックス線検査を実施しました。

 

直ちに胸部エックス線写真を確認すると、一見正常に見え、特別な異常所見は認められませんでした。

 

しかし、乾性咳嗽という症状が続く限り、間質性肺炎の可能性は完全に否定できません。たとえば、間質性肺炎の中でもニューモシスチス肺炎という疾患では、胸部エックス線検査では正常像を呈しても、より感度の高い胸部CTやガリウムシンチグラフィーで診断がつくことがあるからです。

 

そこで、以上のことを説明した上で紹介先の病院で精密検査をすることを提案しました。

 

すると、後日になって患者さんから重要な医療情報の提供がありました。すでに1年前にニューモシスチス肺炎を発症し、エイズと診断されていたそうです。

 

ST合剤などいろいろな治療を行ったが、いずれも副作用があるため、月1回のペンタミジン吸入で予防中とのことでした。エイズの治療も開始していて安定しているという説明を担当医から受けていたそうです。

 

ペンタミジン吸入によるニューモシスチス肺炎の予防は有効ではありますが効果はやや不良であるとされています。

 

そして、ペンタミジン吸入中に発症したニューモシスチス肺炎は、典型的な画像所見が得られにくく、今回の胸部エックス線で検出できなかった要因の一つであると考えました。

 

その後、エイズ治療で通院中の病院に入院し、胸部CTやガリウムシンチグラフィーに加えて、呼吸器由来検体から病原体を特定したところニューモシスチス・ジロヴェチであることが判明しました。

 

この病原体は空気感染により伝播が起こるので、免疫不全の患者とは隔離する必要があります。

 

エイズの患者さんの日常診療では標準予防策で十分ですが、採血をする場合には、手袋を着用する必要があります。

 

今回は、患者さんからエイズである旨の告知を受けていなかったため、手袋なしで採血しましたが、針刺し事故などは起こらず幸運でした。

 

医師の側から免疫不全を疑っても、いきなり「あなたはエイズにかかっている可能性はありませんか?」とまでは質問することは不可能です。

 

エイズ患者に対する偏見は避けるべきではありますが、新しい医療機関を受診する際にはきちんと告知する勇気を持っていただきたいと思いました。

 

以上をまとめますと、エイズに合併しやすいニューモシスティス肺炎の予防のためペンタミジン吸入継続中であったエイズ(HIV)感染者に発熱、咳嗽が出現し、肺炎を発症した症例でした。

 

ペンタゾシン吸入によるニューモシスティス肺炎の予防は不十分であったことになります。なお、患者さんからの報告によるとCD4陽性Tリンパ球数は300/μL未満で、極度の細胞性免疫不全の状態でした。