12月23日 厄介な頭痛No1

緊張型頭痛(抗うつ剤と水氣道のイキイキ体操が有効であった症例)

 

緊張型頭痛とは、片頭痛とともによくみられる一次性頭痛の代表です。これは頭の周りや首の後ろから肩、背中にかけての筋肉が緊張するために起こる頭痛です。 痛みは後頭部を中心に頭の両側や首筋にかけて起こり、「頭をバンドで締め付けられているよう」とか、「頭に大きな荷重がかかっているような感じ」などと表現されます。

 

緊張型頭痛に対する治療は、①急性期(頭痛発作時)の頓挫療法と、②発作間欠期も含めた予防療法に分けられます。

 

① の頓挫療法としては、鎮痛薬あるいは非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の頓用が行われます。ただし、これだけを続けていくと、鎮痛剤の使用方による頭痛である薬物依存性頭痛をもたらすおそれがあるため、①単独での対応はお勧めできません。そこで、

 

② の予防療法が意味をもってきます。予防療法には、薬物療法と非薬物療法とがあります。
杉並国際クリニック受診中の緊張型頭痛の患者さんに多いタイプは、すでに過労状態に陥っていて頭部ばかりではなく全身におよぶ慢性の筋緊張を伴い、本人も自覚していない程度の抑うつ傾向があり、入眠困難などの不眠症を伴うものです。

 

 

そのようなケースでは、まず、薬物療法をはじめます。三環系抗うつ薬であるトリプタノール®(アミトリプチリン)からはじめると奏功することが多いです。

この処方で、うつ傾向や不眠症が解消すると頭痛が軽減します。

 

筋緊張が持続する場合は、筋弛緩剤としてテルネリン®(チザニジン)の処方を加えると効果的です。

 

抗うつ薬から筋弛緩剤単独で症状が軽快するようであれば、漢方薬とビタミン剤の組み合わせに変更することが多いです。頭痛の漢方薬としては、五苓散、釣藤散が有効であり、虚弱で冷え性の方には、呉茱萸湯、さらにめまいを伴う場合には半夏白朮天麻湯が使いやすいです。

 

ビタミン剤としてはビタミンB群を併用すると、慢性的な疲労感が軽減し易いです。そして、薬物療法の治療評価には3カ月(最大6カ月)を目安に判断し、投薬の続行か中止あるいは変更などを考慮することが一般的です。

 

しかし、実際のところ3カ月も待ってくれるような患者さんはほとんどいません。そこで、大きな助けになるのが非薬物療法です。

 

 

非薬物療法としては、筋電図バイオフィードバック療法(推奨度A)、頭痛体操(推奨度B)があります。杉並国際クリニックで現在も実践中の水氣道®の準備体操であるイキイキ体操は頭痛体操のスキルも盛り込んでいるためか、筋緊張性頭痛には著効をしめします。

 

また、鍼灸療法と併用すると効果出現までの時間が短縮できます。

 

水氣道は陸上でのエクササイズとは異なり、水中で行うため様々な感覚を刺激し、フィードバックを容易にすること、集団で行うため、対人緊張に伴う緊張性頭痛の寛解・治癒にとても役に立ちます。

 

半年ほど定期的に継続参加することによって、抗うつ薬や筋弛緩剤を減らしたり、終了したりすることも難しくはありません。

 

 

緊張性頭痛の非薬物療法としては、水氣道®、鍼灸療法の他に自律訓練法もお勧めです。いずれも杉並国際クリニックにおいて経験と実績のある統合的メソッドです。