11月21日 脳心血管病予防のための脂質管理(管理目標を中心に)

4) 生活習慣改善

わが国において、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が増加している最大の要因として、食生活、運動不足などの生活習慣の悪化が第一に挙げられています。

 

これを受けて、脂質異常症においても一次予防、二次予防を問わず管理の基本は、食事を含む生活習慣改善です。とりわけ、脂質異常症の改善には、適正なカロリーの摂取、肥満の是正、飽和脂肪酸、コレステロール制限が必要です。

 

高トリグリセライド血症(高TG血症)がある場合には、上記に加え、アルコール、ショ糖、果糖の制限も必要です。

 

また、運動習慣の確立も重要です。運動習慣はTG低下、HDLコレステロール増加などの血清脂質値の改善や、血圧降下、インスリン抵抗性改善などのリスクファクターの改善とともに動脈硬化性疾患の予防に効果的です。

 

運動は安全で長期にわたって継続しうることが重要です。

 

この観点から、全天候型といって、天候や気象などの影響を受けにくい屋内で、かつ、一般の陸上あるいは床上の運動より、高齢者や虚弱者にとっても長期に継続しやすい水中での恒常的な保護的環境(室温、水温ともに30℃程度)という諸条件を満足する運動として、室内温水プールを主として活用する水中運動である水氣道®が誕生しました。

 

脂質異常症の治療のためには、中強度の有酸素運動を1日30分以上行うように指導することとなっていますが、実際に、一人で単独でこれを正しく理解して実践できる人は限られています。

 

そこで、様々な工夫を凝らして生涯学習型で心身共に成長することができるシステムの構築と維持・発展が必要なのだと思います。

 

血清脂質の管理目標値は、あくまでも目安であるとはいえ、臓器障害を有する糖尿病やコントロール不良の糖尿病、二次予防が必要な患者など高リスク群では、確実な管理目標値達成を目指すべきです。

 

これらの患者さんにとって、安全で、確実な陸上での運動を単独で実施することが困難なことがあります。

 

水氣道®であれば、ベテランから初心者までがそろった集団運動であり、プール施設には監視員等の人的資源に囲まれているので安全・安心な環境で、無理なく楽しく効果的な運動を続けていくことができます。

 

こうした非薬物療法開始後は2~3カ月ごとに、治療の効果を確認することが必要です。杉並国際クリニックでは、フィットネス・チェックと医学検査を、概ね3か月ごとに実施しています。

 

脂質異常症の治療は、食事、運動の他に禁煙も必須です。こうした、生活習慣改善と、その改善された習慣の維持が鍵になります。

 

<明日に続く>