11月6日 脳心血管病予防における慢性腎臓病(CKD)の考え方

 慢性腎臓病(CKD)の診断は、以下の①②のいずれか、または両方が3カ月以上持続することで診断します。

 

尿異常、画像診断、血液、病理における明らかな腎障害の存在。

 

特に0.15g/gCr以上の蛋白尿(30㎎/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要とされます。

 

杉並国際クリニックで行う尿検査試験紙検査では(±)以上に相当します。この場合、必要に応じ尿生化学検査で厳密に測定して確認します。

 

糸球体濾過量(GFR)<60mL/分/1.73m²

 

ただし、日常診療では血清Cr値、年齢、性別から日本人のGFR推定式を用いて算出した推定糸球体濾過量(eGFR)で代用します。

 

杉並国際クリニックで行う血液生化学検査では、血清Cr値は基本項目であるため必ずチェックしています。年齢、性別を入力しておくことによって、検査会社からeGFR値が報告されるシステムになっています。

 

このCKDの診断に直接役立つのが、<慢性腎臓病重症度分類>シートです。初回の判定のみでは診断が確定しませんが、3か月後の再度の判定で診断することができます。

        

CKDの重症度は、上記の腎機能(GFR)、蛋白尿・アルブミン尿の他に原疾患にも基づいて分類評価されます。

         

<慢性腎臓病重症度分類>シートでは、糖尿病のみ尿アルブミンを測 定し、その他(高血圧、腎炎、多発性腎嚢胞、移植腎、不明等)は尿蛋白を測定します。 

         

縦軸(CKDステージG3b~G5)は末期腎不全や心血管病のリスク因子です。

         

横軸(蛋白尿・アルブミン尿)は排泄量が増加するにつれて、末期腎不全や心血管病のリスクが上昇します。

         

なおCKDには、IgA腎症やループス腎炎などの腎疾患が含まれるため、血尿を見落とさないようにします。

 

 <明日に続く>