1)肺炎の現状

 

わが国は、世界に類を見ないスピードで超高齢社会となってきました。

それを反映して65歳以上の肺炎罹患率は、特に男性では急激に増加しています。

 

そして、肺炎は我が国の死因の上位を占めていますが、その多くが誤嚥性肺炎です。

 

誤嚥性肺炎は、かつての診療ガイドラインで適切とされてきた抗菌薬療法が必ずしも予後を改善させないことが明かとなりました。

 

それを受けて日本呼吸器学会から「成人肺炎診療ガイドライン2017」が刊行されました。

新しいガイドラインでは、適切な抗菌薬療法を推奨し、治癒を目指すための方略の他に、人生の終末期における高齢者肺炎の対応といった臨床倫理ガイドラインの2つの側面を持っています。

 

しかし、それでも高齢者肺炎の両側面におけるエビデンスは不十分であるため、多くの臨床上の問題点は未解決のままです。

 

いきなり、「人生の終末期」という言葉を登場させる新しい診療ガイドラインとは、いったいどのような内容なのでしょうか?

 

<明日に続く>