第4週:内分泌・代謝病・神経病 10月21日(月) 脳心血管病予防のための血糖管理(管理目標を中心に) 1

1)糖尿病大血管症と糖尿病治療の目的・意義

 糖尿病は脳心血管病のリスクを2倍程度上昇させます。そして、2型糖尿病患者の冠動脈疾患及び脳卒中の発症リスクは、HbA1cが1%上昇する毎に約1.1%上昇します。しかし、わが国の糖尿病患者のうち4人に1人は受診していません。

 

糖尿病の患者さんには脳心血管病や末梢動脈病(PAD)等の動脈硬化症を伴いがちです。これを糖尿病大血管症といいます。これは、糖尿病の細小血管合併症である三大合併症(網膜症・腎症・神経障害)に対して第四の合併症と呼ばれることがあります。

 

糖尿病最小血管症は、糖尿病発症後5~10年経過してから出現するのに対して、糖尿病大血管症は、すでに耐糖能異常の自記からリスク上昇がみられるという特徴があります。わが国では糖尿病予備軍とされる境界型を含む耐糖能異常者が2,000万人に達していることを考えると放置できない問題です。

 

さて、糖尿病治療の目的は、合併症予防を通じて患者さんの健康寿命や生活の質を、糖尿病でない健康人のそれに可能な限り近づけることにあります。糖尿病の合併症である大血管症は生命予後や要介護状態に直結するため、大血管症の予防は重要です。

 

 <明日に続く>