第2週:循環器・腎臓病 10月7日(月) 脳心血管病予防のための血圧管理(管理目標を中心に)

1) 正確な血圧値の診断とは?

 

血圧管理の基本は正確な血圧値の診断です。正確な血圧値の診断のために必要な情報は、まず問診による家庭血圧の聴取です。ただし、そのためには、患者さん自身が家庭で血圧を測定する習慣があることが前提となります。とくに、身体所見としての診察室血圧が正常値以上である場合は、可能な限り早期に家庭血圧測定を勧めることが大切です。

 

血圧の測定は、家庭血圧と診察室血圧が基本ですが、起立時血圧の測定も推奨されます。また、追加評価項目として24時間自由行動下血圧があります。

 

このように血圧測定にはいろいろな条件で測定することが必要ですが、正確な血圧値とはいったい何なのでしょうか。

 

そのためには、仮面高血圧をきちんと診断し、白衣高血圧を除外することから始まります。「高血圧治療ガイドライン2019」(JSH2019)でも、診察室高血圧に加え、家庭血圧を用いた診断を推奨しています。その理由は、診察室血圧と家庭血圧の両方ともに高血圧である場合だけではないからです。たとえば、診察室血圧が正常域でも家庭血圧が高い高血圧のタイプがあります。これは仮面高血圧と呼ばれ、脳心血管病のリスクが高いため治療の対象になります。
       

逆に、家庭血圧が正常域であれば、診察室血圧が高血圧であれば、白衣高血圧と診断します。このタイプでは原則として経過観察でよいのですが、それでも高血圧合併症は見落とさないようにしておかなければなりません。

 

 <明日に続く>