最新の臨床医学 7月7日(日)心療内科・統合診療科の実践

不安症の種類

以前は神経症というカテゴリーでしたが、WHOが作成したICD-11(国際疾患分類第11版)では、不安または恐怖関連症候群、強迫症、ストレス関連症、解離症群などに分かれました。

 

不安または恐怖関連症候群やストレス関連症と同様に、精神科医に限らず、一般内科医を受診しているケースが多いです。その理由は、身体疾患を伴っていたり、身体症状が前面に表れてきたりすることが少なくないからです。こうした広い意味での心身症をより専門的に扱うのが心療内科専門医です。

 

つまり、総じて心理的要因によって心身の症状が引き起こされた状態を指し、パニック症、身体症状症、また適応反応症なども該当します。

 

身体症状症とは、器質的に異常がないのに身体症状が出現するものであり、また適応反応症とは大きなストレスに適応できないため不調となるものです。

心身医学に精通している心療内科専門医こそが、しっかりとした対応をすべき責任があるものと考えています。
 

 

不安の診療に心療内科医が活躍できる背景としては、例えば、社交不安症(社交不安障害)を例として説明できるかもしれません。
社交不安症の愁訴としては、公衆の面前や人と関わる状況において、不安、緊張、恐怖、羞恥、無力感などとともに、これらの感情に関連する身体反応として赤面、震戦、発汗、顔のこわばり、声の震えなどが出現すること、あるいはそのような心身の反応が起こることへの強い予期恐怖が一般的です。

こうした社交不安症に特異的な検査は存在しないので、類似の症状を呈する身体疾患との鑑別疾患が大切になります。これは日常診療において身体疾患を診ている内科医にとっては難しいことではありません。

 

甲状腺機能亢進症などとの鑑別のためには血液検査が必要ですし、またパーキンソン病との鑑別のためには神経学的検査を実施することが望ましいとされます。内科医としての経験と基礎資格があることを前提としている心療内科専門医は、こうしたケースに対しても的確に鑑別診断手続きを取ることができるという点で強みを持っていると自負しています。