最新の臨床医学 7月1日(月)内科Ⅰ(消化器・肝臓)

便秘症の薬物療法(2)

 

慢性便秘(症)は、大腸がんなどによる器質性狭窄性の原因を鑑別した後、症状のみによって、排便回数減少型と排便困難型に分類します。

 

排便回数減少型において排便回数を厳密に定義する必要がある場合は、週に3回未満です。

しかし、日常臨床では、その数値はあくまで目安であり、排便回数や排便量が少ないために結腸に便が過剰に貯留して腹部膨満感や腹痛などの便秘症状が生じていると思われる場合は、週3回以上の排便回数でも排便回数減少型に分類してよいことになっています。

排便困難型は、排便回数や排便量が十分であるにもかかわらず、排便時に直腸内の糞便量を十分量かつ快適に排出できず、排便困難や不完全排便による残便感を生じる便秘です。

ただし、複数の病態を併せ持つ症例も存在することに留意する必要があります。

 

機能性便秘で腸管弛緩を疑うときには、副交感神経刺激薬のパンテチン、ネオスティグミンなどを用います。

腸管痙攣を疑うときには副交感神経遮断薬のメペンゾラートやチキジウムなどを用います。

 

便秘と下痢を繰り返す過敏性腸症候群(IBS)には、消化管運動調整作用のあるトリメプチンも使いやすい薬です。IBSに伴う便秘は不定愁訴を伴う場合も多く、自律神経調整薬(グランダキシン®)、抗不安薬(セディール®)、抗うつ薬などを併用します。

 

毎回の診察時に、快食・快便・・・ですか?と質問しますが、その場合には、便秘について十分意識してご回答ください。一口に便秘といっても、いろいろな原因があることを説明しましたが、本当に<快便>であるためには、いろいろな条件をクリアしていなければならないことをご理解いただけたでしょうか。