最新の臨床医学 6月27日(木)リウマチ・膠原病・運動器疾患

関節リウマチ(RA)初期治療における治療アルゴリズム

 

<杉並国際クリニックでの関節リウマチ早期対応モデル>

 

 

関節リウマチ(RA)の早期診断には2010ACR- EULAR分類基準が有用です。これを簡単に説明してみましょう。

 

大切なのは、少なくとも1関節に明らかな滑膜炎(腫脹)が存在することです。

これが、すべての始まりなのですが、早期診断は必ずしも容易ではありません。

 

たとえば、X線(レントゲン)画像は骨や関節の障害を評価することに適していますが、炎症を直接観察することはできません。またリウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体、CRPや血沈といった血液検査は、たしかに、2010ACR- EULAR分類基準による診断基準に含まれてスコア化されていて、治療の参考にはなりますが、これらの数値が高い(低い)ことが関節リウマチである(ない)、活動性が高い(低い)ことを断定することにはなりません。

 

 

そこで、威力を発揮するのが関節エコー(超音波)検査です。

 

関節超音波(関節エコー)検査は、関節リウマチがひきおこす滑膜の炎症を直接観察する画像検査です。炎症を起こしている関節滑膜は健常な場合と異なり厚みをもち関節液が増加した状態となるため、パワードプラ―法という機能によって内部に異常な血流信号を観察することができます。

 

リウマチ専門医は注意深い診察により関節の評価を行ったうえで、これらの検査を参考にして診療を行っておりますが、診察や血液検査では捉えきれない炎症の有無やX線画像では検出できない細かい骨の変化を観察するために、杉並国際クリニックでは必要に応じてパワードプラ―法を併用した関節超音波検査を実施します。

 

より早期に関節リウマチを診断するため(早期診断)、よりしっかり関節の炎症が抑えられていることを確認するため(寛解判定)に関節超音波検査は有用です。また関節リウマチのみならず、痛風その他の関節疾患においても有用であり、積極的に活用しています。

 

ひとたび関節リウマチ(RA)と診断できたら、メトトレキサート(MTX)の禁忌がない限り、MTXを抗リウマチ治療薬として選択します。その後の3か月で改善がみられなければ、治療を見直し、従来型の抗リウマチ薬を併用します。短期間のみ少量のステロイドを追加することは認められています。

 

さらに治療開始後は、少なくとも6カ月で治療目標を達成することが求められています。治療目標としては、まず臨床的寛解をめざすが、達成できない場合でも低疾患活動性を目指します。寛解に至るまでの間は1~3か月毎に、複合指標を用いた疾患活動性の測定を行います。寛解導入が成功した場合は、寛解の維持に努めます。治療開始から6カ月以内に治療目標が達成できない場合には、PhaseⅡ(主に生物学的製剤、JAK阻害薬の使用)に進みます。その後も3~6カ月毎に疾患活動性を評価します。

 

生物学的製剤は感染症に注意すれば臓器障害の副作用の懸念は、一般に低分子薬よりも少ないことがわかってきたので、今後は、杉並国際クリニックでも実施症例が増えることが予想されます。