診察室から:ICU(国際基督教大学)からの謎の問い合わせ

ICU(国際基督教大学)からの謎の問い合わせ

 

 

ICU:

「そちらのクリニックでは、アメリカの医師免許を持った先生はいらっしゃいますか?」

 

杉並国際クリニック:

「おりません。申し訳ございません。」

 

 

ただそれだけの問い合わせだったそうですが、少し気になる点があります。

 

電話の記録から、確かにICUからの問い合わせであることは確認できました。

 

気になるのは、問い合わせの目的です。

 

単純に考えれば、<ICUの学生さんを紹介したいのだが、杉並国際クリニックでアメリカの医師免許をもった医師の診察は受けられるか?>ということなのだろうと思います。

 

 

杉並国際クリニック(Suginami International Clinic)を称しているので、米国医師免許を有する医師がいる可能性を期待したのかもしれません。高円寺南診療所30年の歴史において、ICUから問い合わせがきたことは一度もないからです。

 

 

すると、次に疑問に思うのは、そもそも、問い合わせの主であるICUの担当者の所属部署は、どのような機能を持っているかということです。

 

これは、ICUのホームページで検索できました。

 

どうやらHealth Care Officeという名称の保険管理室があるようです。

 

それはYoutubeの動画でも紹介されています。

 

すると、ICUのHealth Care Office(保健管理室)にはschool physician(校医)が配されているが、薬局や診療所ではないことが案内されていました。

 

 

そして、

Our English might not be perfect, but we are all happy to support international students!

(私たちの英語は完璧ではないかもしれませんが、一同よろこんで外国人学生を支援させていただきます。)

というコメントが示されていました。

 

保健管理室のスタッフは、どうやら英語のネーティブではなさそうな気配です。

 

必要に応じて、近隣の医療機関を紹介する業務も行っているようですが、近隣の三鷹市、武蔵野市などにも、米国医師免許をもつ医師が見つからなかったのかも知れません。それは、当然のことです。米国医師免許をもつ医師はほとんどが米国で勤務しているからです。逆に米国留学経験者が多いことが常識となっている日本の医学部の教授を例に挙げるならば、彼らのうちで米国医師免許保持者は皆無に近いのが現状だと思われます。

 

そもそも、日本で受診する医療機関を決めるに際して、なぜ米国医師免許保持の有無が決め手になるのでしょうか。仮に米国医師免許をもっていても日本の医師免許がなければ、医療行為をすることはできないので、当然、ダブルライセンスということが前提でしょう。

 

英語での医療コミュニケーション能力の目安でしょうか、それとも日本の医師免許しかない医師は信用するに値しない、ということでしょうか。もし、後者であるとすれば、我々日本人医師としては、とても残念な思いです。

 

英語での日常診療が当たり前の環境を整備していかない限り、外国人の方に安心して受診していただけるようにはならない可能性があります。