最新の臨床医学 5月23日(木)リウマチ・膠原病・運動器疾患

今年の日本リウマチ学会総会・学術集会は、これまでの中で、もっとも大きな収穫がありました。それは、学術集会に先立つアニュアルレクチャーコースで最新の専門知識がアップデートできたこと、関節エコーライブ&ハンズオンセミナーといって、超音波検査の専門実習(参加者限定)で実践的なスキルアップができたこと、それに加えてMeet the Expertといって、特殊領域のエクスパートのレクチャーに続き、その講師を囲んで臨床に即した質疑応答(参加者限定)に参加でき、日常診療における専門的な課題の克服に大いに役立つ経験ができたからです。

 

そこで今月の木曜日のシリーズは4月14日(日)に開催された日本リウマチ学会総会2019アニュアルコースレクチャーの内容を、講義録のメモ〔講義録メモ〕をもとに要点を少しでもわかりやすく<まとめ>皆様にご紹介することにいたします。

 

アニュアルコースレクチャーは、2006年より、日本リウマチ学会の学術集会に併せて開催されています。リウマチ学会の中央教育研修会の中心となる7つの講演で、丸一日をかけて1年分のリウマチ医学の最新情報を得ようとするものです。

 

昔から難病とされてきた関節リウマチではありましたが、日進月歩の医学の発展により、関節リウマチの疾患活動性のコントロールも充分に可能な状況となりつつあります。そして、寛解状態を目指すことが現実的な治療ゴールになってきました。

 

とりわけ、関節リウマチの薬物療法の進歩は大学病院のみならずリウマチ専門医が勤務する地域のクリニックで高度な対応ができる時代になってきました。

しかし、そこで重要なことは、やはり、早期に診断し、速やかに治療を行うことです。

 

医師免許や博士号などの学位とは異なり、専門医のタイトルは、常にアップデートな情報に触れ、新しい知識を取得しておくことが必須の条件になっています。また、社会環境の変化も重要です。なぜなら、社会が医療に求める内容は、日々めまぐるしく変わって、より高度で有益で安全なものが求められていくからです。それについても、絶えずアップデートされた知識や技術が求められていることを実感しています。

 

 

〔講義録メモ〕 

<日本リウマチ学会総会2019アニュアルコースレクチャーのリポート④>

4月14日(日)

13:10~14:10am

ACL5:リウマチ性疾患におけるリハビリテーション治療

演者:酒井良忠(神戸大学リハビリテーション機能回復学)

 

 

<2015年リウマチ白書>

リウマチ患者の70.3%がリハビリテーション治療を受けていない。

 

患者も医師もリハビリテーションの導入方法を見失っている。

 

その理由は、介護保険へシフトさせる医療政策のため、外来でのリハビリテーションの保険医療が極端な不採算部門と化してしまったことによる影響が大きい。

 

外来診療が中心となる関節リウマチ患者においては、とくに外来リハビリテーションを受けることが困難になってしまった。このように、極めて厳しい環境となってしまったが、関節リウマチ患者にとってトータルマネージメントを行う上でとても重要であることには変わりがない。

 

 

<関節リウマチのリハビリテーション治療>

治療効果のエビデンス:

多数の研究があり、評価のエビデンスレベルは高い。

 

痛みについて、患者教育、関節保護指導、レーザー治療、パラフィン浴以外の温熱療法は効果なし。

運動療法、コンディショニングは効果あり⇔水氣道®は鎮痛効果あり。

 

機能改善について、患者教育は短期的機能改善がみられる。

長期的機能改善は不明確⇔水氣道®では機能改善の長期的効果が観察されている。

関節保護指導には高い保護効果あり

運動療法は効果あり

作業療法では、3か月の自宅での手指の動作訓練は、手指機能を向上する.

 

 

関節破壊・変形について

運動療法は関節破壊の進行には影響しない

理学療法(運動療法と物理療法)

作業療法

嚥下障害

装具治療

 

基本は有酸素運動療法や筋力訓練が推奨⇔水氣道®は有酸素運動かつ筋力訓練

 

筋力訓練と有酸素運動(持久力運動)の複合運動コンビネーションで週2回80分行えば、疼痛改善、一般健康状態改善、筋力・久力増加、体重・体脂肪減少がみられる。

 

2週間に3回程度の低頻度のトレーニングでも、筋力、歩行速度、最大酸素摂取量の改善を期待できる。

 

最近では、コンディショニングエクササイズが注目させる。

これは、筋力訓練、有酸素運動、プライオメトリクス、

柔軟、実生活動作をベースとした複合的なメニューである。

 

システマチックレビューが一つある

健康状態(AIMS-2)、痛みの改善に有効である。

 

 

<まとめ>

多くを解説する必要がないくらい、具体的で有益な情報が集まっています。

 

ただし、残念なことは、現在の日本の保険医療システムのもとで、これらの研究の成果を活用することが事実上不可能であるということです。これらの最新の医学的知見に適合し、かつリウマチ専門医自らが参加して20年の実績を積み重ねてきたリハビリテーションメソッドは、水氣道®をおいて他にないということを自負しております。水氣道®にどれだけの意義と価値があるのかについては、継続的に参加されている会員に直接お尋ねいただくのが何よりだと思います。