最新の臨床医学 5月14日(火)内科Ⅱ(循環器・腎臓・老年医学)

家庭血圧を測定しましょう‼ー仮面高血圧のはなし

 

家庭血圧を測定しないと仮面高血圧や白衣高血圧を見逃してしまいます。

 

実際には高血圧であるにもかかわらず、診察室で正常域を示す場合があります。この場合でも、家庭血圧測定により、高血圧であることがわかれば、仮面高血圧とされます。

 

仮面高血圧では、高血圧性臓器障害や心血管イベントのリスクが、正常域血圧のみならず白衣高血圧に比べて有意に高く、持続性高血圧によるリスクと変わりません。仮面高血圧の一つが早朝高血圧です。

 

 

ヒトの血圧は、一日を通じて変動します。夜間から早朝にかけて上昇します。早朝に高血圧を呈すれば早朝高血圧ですが、その評価は家庭血圧で評価するのが実際的です。家庭血圧での高血圧の基準は135/85㎜Hg以上です。早朝高血圧は、心血管イベントの引き金になることが知られています。

 

また、これとは反対に、早朝血圧が135/85㎜Hg未満で、就寝前血圧が135/85以上を就寝前高血圧、両者とも高い場合を持続性高血圧といいます。これらは正常血圧と比較して脳卒中のリスクが高いです。特に治療中の高血圧患者において、早朝高血圧であると脳卒中のリスクが明かに高くなります。

 

杉並国際クリニックの対応は、早朝血圧が他の時間帯よりも高い(就寝時の血圧が正常域で早朝血圧が高い早朝高血圧もしくは就寝時血圧よりも早朝血圧が15㎜Hg以上高い)場合には、就寝前の降圧薬の処方を検討します。

 

杉並国際クリニック誕生以前の高円寺南診療所30年の臨床経験において、新規脳卒中患者をほとんど発生させず、予防に成功できたことは、目立たない地味な実績ではありますが、ささやかながら確かな実感を伴う誇りとしております。

 

そこで、皆様にアドヴァイスがございます。それは家庭血圧の測定習慣をもつことです。

 

記録のための血圧手帳を差し上げますので、診察のたびごとに血圧手帳をご持参ください。その都度チェックして具体的なアドヴァイスをします。

 

そして正しく家庭血圧を測定する際には、若干の注意点があるのでご紹介いたします。

 

①早朝血圧測定のタイミング:起床後1時間以内、排尿後、朝食前、服薬前

 

②早朝血圧測定ではリラックス状態の確保を:背もたれのある椅子に座り、1~2分の安静後に測定

 

なお、就寝前血圧の測定は、食事、服薬、入浴などにかかわらず測定することができます。