最新の臨床医学 4月15日(月)内科Ⅰ(消化器・肝臓)

日本肝臓病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、日本肝臓学会ガイドラインとして、8件が掲載されていました。

 

その中で、杉並国際クリニックの患者さんに情報提供すべき優先順位から考えて、NASH・NAFLDの診療ガイド2010

を採り上げることにしました。

 

そこで、Q&Aをご紹介した後、杉並国際クリニックの立場から、解説を加えてみます。

 

Q3

NAFLD/NASHはどんな症状がでるのでしょうか?

 

A3 

肝臓はよく“沈黙の臓器”といわれるように、多少の負担がかかってもすぐには症状があらわれませんですから、脂肪肝では自覚症状は何もない人がほとんどです。なかにはだるさを訴える人もいますが、肝臓に特有の症状というわけではありません。

 

たとえNASHになっていても、かなり病気が進行しない限りほとんど症状はないので、自覚症状だけで単なる脂肪肝(NAFL)とNASHを区別することはできません。

 

NASHが肝硬変に進行すると、黄疸や足のむくみ、腹水がたまることによる膨満感(お腹が張った感じ)などがあらわれることがあります。

 

 

杉並国際クリニックの立場から

高円寺南診療所30年の診療史をふり返ってみて、軽症のNASHにはほとんど遭遇しませんでした。その背景をふり返ってみると、ほとんどが脂肪肝止まるであり、また肝硬変に進行してしまった例は、わざわざNASHとせず肝硬変という診断をしていたからです。実際上も脂肪肝炎の段階で確定診断をするためには肝生検をしなければならないのですが、これを希望する方は皆無でした。

 

杉並国際クリニックの役割としては、早期発見・早期治療を主軸とすべきであると考えています。症状のない患者さんは、自分が病気であるとは考えたがらないものです。病気でないと勝手に信じ込みたい方に限って、検査を恐れます。それでも、今後は、従来以上に、脂肪肝であるNAFLの段階で発見して、適切な対応ができるように心がけたいものです。