最新の臨床医学 4月10日(水)内科Ⅲ(糖尿病・内分泌・血液・神経)

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。

薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。

私は、糖尿病専門医ではありませんが、生活習慣指導、食事療法、運動療法、認知行動療法など集学的な診療体制を構築して、口頭のみではなく実際に体験していただく経験を積み重ねてきました。

薬の処方ばかりに終始しているタイプの糖尿病専門医よりは、糖尿病の外来診療について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

日本糖尿病学会ホームページから

 

糖尿病診療ガイドライン2016 糖尿病診断の指針 4 運動療法では、運動療法について、とても有益な5つのQ&Aが掲載されています。

 

これを抜粋して紹介したあとに

【杉並国際クリニックの実地臨床からの視点】

でコメントを加えてみました。

 

 

 

Q4-2 

2型糖尿病患者に運動療法は有効か?

 

【要点】

有酸素運動が、血糖コントロール・インスリン抵抗性・心肺機能・脂質代謝を改善し、血圧を低下させます。

(合意率100%)<推薦グレードA>

 

 

有酸素運動とレジスタンス運動は、ともに血糖コントロールに有効であり、併用によりさらに効果があります。運動療法は、食事療法と組み合わせることによって、いっそう高い効果が期待できます。

(合意率100%)<推薦グレードA>

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

 

2型糖尿病の患者さんは、インスリン抵抗性や肥満、高血圧、脂質代謝異常、慢性炎症を伴っている場合が多いことが知られています。こうした2型糖尿病の患者さんには運動療法によって血糖コントロールが改善されるとともに、これらの異常が改善します。一般的には、糖尿病治療において運動療法は食事療法と組み合わせることにより、さらに高い効果が得られます。

 

近年、レジスタンス運動の有用性が注目されています。レジスタン運動では、筋量や筋力を増加させるとともにインスリン抵抗性を改善し、血糖コントロールを改善します。一般的には週2~3回、主要な筋肉群を含んだ8~10種類のレジスタンス運動を10~15回繰り返す(1セット)ことより開始し、徐々に強度やセット数を増加させていくことが推奨されています。

 

レジスタンス運動は有酸素運動との併用によりHbA1c低下において有効性が高まることが示されています。なお高齢者においても有効性を示すエビデンスがあります。

 

 

水氣道®は、有酸素運動とレジスタンス運動を系統的に組み合わせた運動であるうえに、親水航法をはじめ10種類以上の様々な運動テクニック(形)によって、主要な筋肉群をはじめとして、全身の筋肉をくまなくトレーニングしています。水を利用した自然なレジスタンス運動を1セットで10~15回程度繰り返して行うことも取り入れています。

 

一般的な注意事項としては、高強度のレジスタンス運動についてです。高齢者や狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患などの合併症のある患者さんには高強度のレジスタンス運動は不適切です。

 

レジスタンス運動における最低限必要な強度と量については、最近、持続的血糖値モニタリングを用いた研究があります。

短時間の高強度運動を2週間続けた試験において血糖値の低下と骨格筋ミトコンドリア機能の増加が報告されています。

なお、高強度運動は運動量を少なくしても、運動適応により遺伝子発現の変化を介して代謝機能を改善することが示されています。ただし、高強度の運動は、定期的な運動習慣がある患者さんのみに考慮されるべき方法です。

 

水氣道®でも、このような考え方に則り、定期的な運動習慣が形成されている階級である初等訓練生(水氣道6級)以上の会員では、徐々に段階的に高強度の運動参加に導いています。入門者である体験生(級外)・特別体験生(水氣道7級)の方には中強度以下のプログラムとしています。