診察室から「運動器症候群(ロコモ)」

運動器症候群(ロコモ、と略す)対策としての水氣道

 

ロコモの概念

以下の原因により、歩行障害をきたし、生活活動制限、社会参加制限、要介護

に至る病態を指します。

 

Ⅰ:局所の形態障害

  1. 体を支える部位(骨粗鬆症)⇒ 易損性・易骨折性 ⇒ 組織損傷・骨折
  2. 曲がる部位(変形性膝関節症、変形性腰椎症)⇒ 疼痛、可動域制限
  3. 動かす/ 制御する部位(骨格筋萎縮症:サルコペニア
  4. ⇒ 筋力低下、筋拘縮、バランス低下

 

Ⅱ:全身の機能障害

A 神経障害 ⇒ 易損性・骨折、疼痛、可動域制限、筋力低下、筋拘縮

B バランス低下 ⇒ 歩行障害 ⇒ 生活活動制限、社会参加制限、要介護

 

 

日本整形外科学会公式、ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト

「ロコモチャレンジ」

 

 

ロコモの診断法:「ロコモチェック」

1)片足立で靴下がはけない

2)家の中でつまずいたり滑ったりする

3)階段を上るのに手すりが必要である

4)横断歩道を青信号で渡りきれない

5)15分くらい続けて歩けない

6)2㎏程度の買い物(1リットルの牛乳パック2個程度)をして持ち帰るのが困難である

7)家の中のやや重い仕事(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)が困難である

 

1つでも当てはまると「ロコモ」です。

 

現在の移動能力評価:「ロコモ度テスト」

1)下肢筋力:立ち上がりテスト

2)歩幅:2ステップテスト

3)身体状況・生活状況:ロコモ25

 

テストの結果を「該当せず」「ロコモ度①」「ロコモ度②」で判定します。

 

ロコモ度①:移動機能の低下が始まっている状態

筋力やバランス力が落ちてきているので、ロコトレ(ロコモーショントレーニング)を始めとする運動を習慣づける必要があります。

また、十分なたんぱく質とカルシウムを含んだバランスの取れた食事を摂るように気をつけましょう。

 

ロコモ度②:移動機能の低下が進行している状態

自立した生活ができなくなるリスクが高くなっています。

特に痛みを伴う場合は、何らかの運動器疾患が発症している可能性もありますので、

医療機関の受診をお勧めします。

 

 

立ち上がりテスト・2ステップテスト

 

ロコモ25

 

トレーニング法:「ロコトレ」片足立・スクワット

 

 

 

ロコモの予防の具体的方略:『水氣道®

水氣道の稽古(トレーニング)内容は、体の支え、関節、動作および運動の制御、神経機能の回復・強化、バランス機能の向上という、ロコモの原因となるすべての要素を万遍なく鍛錬します。

 

水中で多様な歩行訓練を行うため、陸上での通行の歩行機能の向上のみならず、転倒防止訓練にも役立ちます。

 

なお、水氣道は集団稽古(グループ・エクササイズ)であるため、参加者の生活活動制限、社会参加制限を直接解消し、要介護に至るプロセスを強力に阻止することができます。

 

したがって、水氣道はロコモ予防に対する理想的な方略であるということができます。