(鍼灸)東洋医学の話をしよう3ー臓腑(6) ー 腎

<東洋医学の話をしよう3ー臓腑(6) ー 腎>

<はじめに>

 

前回は「」について解説しました。

 

 

「肺」の働きには

 

 

(1)呼吸器系の機能を司る

 

 

(2)氣をつかさどる

 

 

「清氣」と「水穀の精微」を組み合わせて「氣」を作ります。

 

 

(3)宣発(せんぱつ)と粛降(しゅくこう)

 

 

 宣発作用と粛降作用によって全身に氣を巡らせます。

 

 

(4)水道通調作用ー水分を全身に行き渡らせます。

 

 

(5)皮毛、鼻と関係がある

 

 

というお話でした。

 

 

今回は「腎」についてお話します。

 

 

(「」についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

(「」についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

(「」についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

(「」についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

 

<西洋医学での「腎」の働き>

 

 

腎臓は、そらまめのような形をした握りこぶしくらいの大きさの臓器で、腰のあたりに左右対称に2個あります。

 

 

腎臓の働きは

 

(1).老廃物を排出する

 

 

 

 

腎臓は血液を濾過して老廃物や塩分を尿として体の外へ追い出してくれます。

 

 

また、体に必要なものは再吸収し、体内に留める働きをしています。

 

 

(2).血圧の調整

 

腎臓は、塩分と水分の排出量をコントロールすることによって血圧を調整しています。

 

 

血圧が高いときは、塩分と水分の排出量を増加させることで血圧を下げ、血圧が低いときは、塩分と水分の排出量を減少させることで血圧を上げます。また、腎臓は血圧を維持するホルモンを分泌し、血圧が低いときに血圧を上げます。

 

 

(3).赤血球をつくるホルモン(エリスロポエチン)を分泌

 

赤血球は血液細胞のうちの一つで体中に酸素を運びます。

 

 

赤血球は骨髄の中にある細胞が、腎臓から出るホルモン(エリスロポエチン(EPO))の刺激を受けてつくられます。

 

 

腎臓の働きが悪くなると、このホルモンが出てこなくなってしまうため、赤血球が十分につくられず貧血になることがあります。

 

 

(4).体液量・イオンバランスを調整する

 

腎臓は体内の体液量やイオンバランスを調節したり、体に必要なミネラルを体内に取り込む役割も担っています。

 

 

腎臓が悪くなると体液量の調節がうまくいかないため、体のむくみにつながります。 また、イオンバランスがくずれると、疲れやめまいなど、体にさまざまな不調が現れることがあります。

 

 

(5).強い骨をつくる

 

カルシウムを体内に吸収させるのに必要な活性型ビタミンDをつくっています。

 

 

腎臓の働きが悪くなると活性型ビタミンDが低下し、カルシウムが吸収されなくなって骨が弱くなるなどの症状が出てきます。

 

 

<東洋医学での の働き>

 

(1).「精」の貯蔵

 

「精」とは腎に蓄えられているエネルギーのことで、両親から受け継いだ「先天の精」と「脾」で消化吸収してできた「後天の精」があります。

 

 

「腎」はそれらを貯蔵します。

 

 

夜間に寝ることで貯蔵が進みます。夜眠ることは健康のため大切であることがわかります。

 

 

(2).成長・発育・生殖をつかさどる

 

「精」は成長、発育のために使われます。「腎」の機能が弱いと成長が遅くなります。

また、生殖にも関係します。

 

 

英雄色を好むといいますが(ケ○ディ大統領、毛○東、伊○博文、エカ○リーナ2世などは有名ですね)、生殖の能力が強いということは別の言い方をすればそれだけ生命力があるということになります。

 

 

(3).骨や髄をつかさどり脳を栄養する

 

年齢とともに「腎」の働きは低下していきます。

 

 

骨粗鬆症、物忘れなどの症状は、「腎」の衰えが関係しています。

 

 

(4).尿道・生殖器、聴力、骨と関係する

 

尿量の調節や排泄など、膀胱の機能に影響を与えます。

 

 

また、排卵や月経、精子、妊娠などの生殖機能をつかさどります。

 

 

耳が遠くなったり、髪が白くなるのも「腎」の衰えと関係があります。

 

 

(5).水分の代謝。

 

体内の水分を管理して尿を排泄する働きがあります。

 

 

(6).納気(のうき)をつかさどる

 

納気とは

 

「肺」によって取り込まれた大気中の清気を「腎」が収める機能のことをいいます。

 

 

呼吸は主に「肺」が関わっていますが、吸気に関しては「腎」の納気の機能が深く関わっています。納気の機能が低下すると深い呼吸ができなくなります。

 

 

東洋医学では「腎」を生命力の象徴と考えているように思います。

 

 

「腎」が骨の生育に関係することを2000年以上も前に把握していたことに驚きを感じます。

 

 

<まとめ>

「腎」の働きは、

 

 

(1).「精」の貯蔵

 

 

(2).生長・発育・生殖をつかさどる

 

 

(3).骨や髄をつかさどり脳を栄養する

 

 

(4).尿道・生殖器、聴力、骨と関係する

 

 

(5).水分の代謝

 

 

(6).納気(のうき)をつかさどる

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭