最新の臨床医学 3月26日(火)内科Ⅱ(循環器・腎臓・老年医学)

日本腎臓病学会のHPには、有益情報が満載されています。

 

そこで今回から、テーマは腎臓内科の慢性腎臓病(CKD)です。

「エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン2018」を紹介します。

 

最後に、杉並国際クリニックからのコメントを加えました。

 

慢性腎臓病(CKD)とは、何らかの腎障害が3ヶ月以上持続する場合と定義されています。症状が出現することはほとんどないため、永らく見落とされてきた新たな国民病であり、多くの皆様に関わってくる病気です。蛋白尿や腎機能異常(eGFRの測定)により診断されます。

 

慢性腎臓病のケアには栄養管理が不可欠です。具体的な推奨について理解を深めてください。

 

 

第5章 腎硬化症・腎動脈硬化症

CQ 1 

高血圧を伴う腎硬化症によるCKDに厳格な降圧は推奨されるか?

 

推奨 

高血圧を伴う腎硬化症によるCKDにおいて,特に蛋白尿A1区分では収縮期血圧120 mmHg未満への厳格な降圧は,AKIのリスクがあるため行わないよう提案する.降圧目標としては,140/90 mmHg未満への降圧を提案する

 

CQ 2 

腎動脈狭窄を伴うCKDに推奨される降圧薬は何か?

 

推奨 

片側性腎動脈狭窄を伴うCKDに対してRA系阻害薬はそのほかの降圧薬に比して降圧効果に優れ,死亡,CVD発症,腎機能低下を抑制する可能性があり,使用することを提案する.ただしAKI発症のリスクがあるため,少量より開始し血清CrとK値を投与開始から2週間を目安に確認しつつ注意深く用量を調節する必要がある.両側性腎動脈狭窄が疑われる際は原則として使用しない

 

CQ 3 

腎動脈狭窄症を疑うCKDステージG1~3に推奨される画像検査は何か?

 

推奨 

スクリーニング検査として腎動脈超音波検査をまず行い,次のステップとして単純MRアンギオグラフィを行うよう提案する. CT血管造影,ガドリニウム(Gd)造影 MRアンギオグラフィを実施する場合,造影剤腎症や腎性全身性線維症のリスクを十分に考慮する必要がある.これらの検査で診断に至らない場合や血管形成術の適応を検討する場合は腎動脈造影検査を行うよう提案する

 

CQ 4 

動脈硬化性腎動脈狭窄症を伴うCKDに血行再建術は推奨されるか?

 

推奨 

動脈硬化性腎動脈狭窄症を伴うCKDに対する血行再建術は,腎障害進行抑制やCVD発症のリスクを減少させないため,合併症のリスクを考慮し,原則として行わないよう提案する

 

 

杉並国際クリニックからのコメント

慢性腎臓病(CKD)は高血圧を伴いやすく、進行すれば腎硬化症・腎動脈硬化症を来します。その場合の降圧治療や、画像検査等には特別な配慮を要し、また血行再建術などの治療手段にも制限が加わります。結論が解り易くなるように再整理してみました。

 

CQ 1 

高血圧を伴う腎硬化症によるCKDに厳格な降圧は推奨されますか?

 

A1:

高血圧を伴う腎硬化症によるCKDにおいて,特に蛋白尿A1区分では厳格な降圧(収縮期血圧120 mmHg未満)は推奨されません。その理由は急性腎障害(AKI)のリスクがあるためです。

 

 

CQ 2 

腎動脈狭窄を伴うCKDに推奨される降圧薬は何ですか?

 

A2:

腎動脈狭窄を伴うCKDに対して片側性腎動脈狭窄の場合に限り、RA系阻害薬の少量からの投与が推奨されます。その理由は、他の降圧薬より降圧効果に優れ,死亡,CVD発症,腎機能低下を抑制する可能性があるからです。ただし、AKI発症のリスクに注意する必要があります。

 

 

CQ 3 

腎動脈狭窄症を疑うCKDステージG1~3に推奨される画像検査は何ですか?

 

A3: 

①スクリーニング検査として腎動脈超音波検査をまず行います。

②次のステップとして単純MRアンギオグラフィを提案します。

CT血管造影ガドリニウム(Gd)造影 MRアンギオグラフィを実施する場合,造影剤腎症や腎性全身性線維症のリスクを十分に考慮する必要があります。

④これらの検査で診断に至らない場合や血管形成術の適応を検討する場合は腎動脈造影検査を行うよう提案します。

 

 

CQ 4 

動脈硬化性腎動脈狭窄症を伴うCKDに血行再建術は推奨されますか?

 

A4:

動脈硬化性腎動脈狭窄症を伴うCKDに対する血行再建術は,原則として行わないよう提案します。その理由は、腎障害進行抑制やCVD発症のリスクを減少させないため,合併症のリスクを考慮する必要があるためです。