(鍼灸)東洋医学の話をしよう3ー臓腑(4) ー 脾

<東洋医学の話をしよう3ー臓腑(4) ー 脾>

<はじめに>

 

 

前回は「」の働きを解説しました。

 

 

(1)「心」は血液を体全体に送り出す役割を担う

 

 

(2)「心」は「精神活動の源」

 

 

(3)「汗」、「舌」と関係が深い

 

 

というお話でした。

 

 

今回は「脾」の働きを見ていきましょう。

 

 

(「氣」についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

(「肝」についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

 

<西洋医学での脾臓の働き>

 

 

脾臓は腹部の左上で肋骨のすぐ下にある臓器です。

 

 

脾臓の働きは以下の3つあります。

 

 

(1)赤血球を破壊するー赤血球は酸素を体中に運ぶ働きをしています。寿命を迎えた赤血球をの破壊処理をします。

 

 

(2)免疫器官としての働きー脾臓には身体の4分の1程のリンパ球があり侵入してきた異物や細菌を処理します。

 

 

(3)血小板を貯蔵するー血小板は出血時に血液を凝固させ止血するときに働きます。脾臓には体内の血小板の3分の1ほどが蓄えられています。

 

 

<東洋医学での脾の働き>

 

 

(1)運化(うんか)ー食べ物を消化吸収し水穀の精微(すいこくのせいび)をつくる

 

 

(2)昇清(しょうせい)ー水穀の精微を心肺へと昇らせる

 

 

(3)統血(とうけつ)ー血の脈外への漏出(出血)を防ぎます

 

 

(4)生血(せいけつ)ー水穀の精微から血を生成する

 

 

西洋医学と比べると、ずいぶん働きが違います。

 

 

東洋医学では「胃」が食べ物の初歩的な消化を担当し「脾」が本格的な食べ物の消化を担当します。

 

 

また、「脾」は「肌肉(ひにく)」「唇」「涎(よだれ)」「思(し)」と関係があります。

 

 

「肌肉」は筋肉のことで「脾」の働きが良いと、食べ物の消化能力が良くなることから身体の栄養状態が良くなり「肌肉」の状態も良くなることから「脾」と関係があると考えたのでしょう。

 

 

「脾」の状態は「唇」に現れます。「唇」の色艶が良ければ「脾」の状態が良いと考えたようです。

 

 

「涎」と関係があると考えたのは、食べ物を食べる時、唾液が出ることから「脾」に関係あると考えたのでしょう。

 

 

「思」とは、「思考」、「思慮」のことです。思慮過度や思いが遂げられないと気の運動に悪影響を及ぼし、食欲不振、食欲亢進の症状が出ることから「脾」に関係があると考えたようです。

 

 

<まとめ>

 

 

「脾」の働きは

 

 

(1)運化(うんか)ー食べ物を消化吸収し水穀の精微(すいこくのせいび)をつくる

 

 

(2)昇清(しょうせい)ー水穀の精微を心肺へと昇らせる

 

 

(3)統血(とうけつ)ー血の脈外への漏出(出血)を防ぎます

 

 

(4)生血(せいけつ)ー水穀の精微から血を生成する

 

 

「脾」は「肌肉(ひにく)」「唇」「涎(よだれ)」「思(し)」と関係がある。

 

 次回は「肺」の話をします。お楽しみに。

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭