2019欧州国際医学会研究旅行 第9日:3月7日(木)

行動目的:

ホテルと学会会場とを確実に行き来できるようになる

1)確実で安全で効率的な移動

2)学会会場で登録を済ませ、詳細プログラムを入手し、参加スケジュールを確定する

3)ポスターセッションでディスカッションする

 

行動計画:

①朝食(07:30am~)

②ホテル出発(08:30am)

③学会会場到着と登録(09:30am)

④学会参加

⑤Thursday, 7 March 2019

09:00 – 15:30 (9:00 AM – 3:30 PM)

13:30 – 18:00 (1:30 PM – 6:00 PM)

18:00 –19:00 (6:00 PM – 7:00 PM)

19:00 – 20:00 (7:00 PM – 8:00 PM)

20:00 – 21:30 (8:00 PM – 9:30 PM)

 

Pre-conference Teaching Institute

Submitted Symposia

Exhibits and Coffee Break

Fred Kavli Keynote Address by BJ Casey

Opening Reception and Poster Session

 

⑥ ホテルへ到着(10:00pmまで)

 

 

 

実際の活動成果:

①朝食(07:30am)

食堂は日本人の若者だらけ、男女のカップル(新婚旅行か?)と若い女性同士の組み合わせ、他愛もない日本語による日本人観光旅行者のコミュニティ、邪魔になりたくないし、目障りに映っているような印象を受けざるを得ませんでした。

 

こういう雰囲気はなぜか、落ち着かないものです。旅行会社を通して手配すると、往々にしてこんな感じになります。次回からは、自分で手配して、大人の雰囲気で落ち着いて朝食を摂りたいものです。

 

事前の情報で知ってはいましたがパリの朝食は非常にあっさりしたもので、ウィーンなどに比べると物足りない感じがしました。朝食を早めにしっかり摂取して、午前中から精力的に活動する作戦は、パリ向きではなさそうです。

 

②チェックアウト(08:30am)

まったく地理感覚がつかめないので、早めに出発して、どこかの地下鉄の駅にたどり着いたら、そこを起点に学会会場へ向かう、という作戦を実行しました。

 

ホテルから学会会場へ向けての方角はほぼ西向きなので、太陽の位置を目安にどんどん歩いて行くと、古い教会にたどり着き、その教会の名前をチェックしかけたら、地下鉄の入り口を発見しました。駅名はNotre-Dame de Lorette(ノートルダム・ドゥ・ロレット)。

 

後で確認したら、ずいぶんと北へ歩いていたようです。パリの道はまっすぐに伸びていることが少ないため、ぼんやりと道なりに歩いていると方角がずれやすいことを学びました。

 

とにかく地下鉄に乗り込んでしまえば、何とか目的地にたどり着くだろうと、東京の感覚で安易に考えてながら、案内板を眺めてみたら、とてもややこしく感じられました。そこへ老婦人が声をかけてくれて、目的地を伝えたら、一緒に案内板で探してくれました。そして<この路線でConcorde(コンコールド)まで乗って、そこで1番線に乗り換えれば大丈夫>ととても上品なフランス語で丁寧に教えてくれたのは有難かったです。

 

とにかく、パリの地下鉄網はよそ者には厄介ですが、そのかわり親切な人たちに恵まれているようなのが幸いです。地下鉄に乗って驚いたのは、女性の声で「すりが多いので十分に気をつけてください。」という日本語のアナウンスが流れることです。英語やドイツ語までであれば驚くに値しますが、パリの地下鉄で日本語のアナウンスが流れようとは予想外でした。

 

 

③ 学会会場到着と登録(10:00am)

かなりしっかりとした、読み応えのあるプログラム冊子が渡されました。これのプログラムをうまく使いこなせれば、効率的に動けそうなことは、すぐにわかりました。しかし、ようやく使い方に慣れるには、丸一日を要しました。

 

 

④ 学会参加

10:25~11:25am 分散開催セッション

ここがパリであるということを忘れてしまうくらいの英語一色の世界でした。

発表者も質問者もアウトバーンを走る自動車のようで、むしろ悠長に話してはいけないような雰囲気がありました。

 

11:45am~12:45pm 教育機関ポスターセッション

いくつか、興味深い発表があったのでディスカッションしながら、英語の口と耳の慣らしをしました。

 

01:00~02:00pm 分散開催セッション

From Mental Faculties to the Predicting Brain:

A New Way to Teach Psychological Science

これはタイトルに期待して参加したのですが、最後までよくわかりませんでした。

 

 

02:10~03:15pm 合同開催閉幕セッション

Why Good Teaching Evaluations Might Reward Bad Teaching

この演題はとても面白く、<なるほど> と大いに溜飲を下げることができて良かったです。私が短大で客員教授をしていたときに、不愉快だったのが学生による教員の評価システムでした。このシステムの欠点を実証的に論じた発表でした。

 

この学生評価システムを多くの大学で導入した結果、学生が課題に取り組む時間が減り、そうした学生は最小の努力で最良の成績がとれる講座を選択する傾向が顕著になったため、学生の学力レベルが顕著に低下したという結果が示されました。とくに学費の高い私学ではより顕著な傾向があり、教師も学生の評価が勤務評定や昇進に影響を及ぼすようになったため、とっつきやすい課題が中心となるなど、しっかり時間をかけて理解し、論理的な文章で回答させるような本格的課題を避けざるを得なくなったという報告です。

 

日本に導入される頃には、すでに結論が出されていたとは皮肉な話です。より民主的で革新的な考え方を求めて目新しさに飛びつき、<他でも始めたからバスに乗り遅れるな>といった安易な考えで制度を導入してしまうことは、よくありがちです。しかし、良さそうに見える事柄でも、その後に実証的な検証を加え、データを集積して検討を加えない限り、悪循環になるということの典型的教訓だと思いました。

 

 

03:00~04:45pm ワークショップ

Negotiating Challenges to Scientific Advancement Disappointments,

Delays, and Declines

*Organized under the auspices of Women in Cognitive Science (WICS)

 

このワークショップはすごかったです。何がすごいかというと、認知科学に従事している女性研究者擁護団体が主催するワークショップだからというのではなく、女性しか発言を認めないワークショップだったからです。

 

ワークショップの趣旨からして、4人のパネリストが全員女性であったことや、参加者のおよそ9割が女性であっても不思議はありません。しかし、発言に参加しようとしたたった一人の男性(私ではありません)の発言をあからさまに無視していました。

 

こうした討論の進行方法に対して、女性研究者の一人が異議を述べたところ、彼女の提案は、激しい口調で完璧に封じられました。全員が超特急のような英語でスピーチするのは、このセッションに限りませんが、女性であることが研究者としてのキャリアを積む上でいかにハンディキャップになるかを一方的にぶちまけるのはワークショップの名に値しないのではないかと思いました。

 

こうしたワークショップに参加する男性研究者は、女性研究者の敵ではなく、むしろ協力者の可能性が高いのではないかと思います。フロアからバツイチを自任する年配の女性のヒステリックで攻撃的な英語を聞かされましたが、この女性の元の亭主は相当に寿命を縮めたのではないか、という憶測を呼ばざるを得ませんでした。とても残念で愚かな団体です。教養は正しく身につけないと、とんでもない人格が形成されてしまいかねないという貴重な勉強をさせていただきました。

 

 

04:30~05:50pm 分散開催セッション

Quantitative and Qualitative Analyses of Drawing Tests:

Development, Personality, and Culture

座長:Yuko Yato(矢藤優子)、立命館大学

 

このセッションはとても刺激になりました。座長のYato先生は、立命館大学のProfessorであるという紹介がありました。ホテルで検索したところ、たしかに、矢藤先生は立命館大学の総合心理学の教授で、比較発達心理学、乳幼児心理学の専門家であることが確認できました。乳幼児期の子どもの行動発達について、周りの環境(養育者、家族、地域、文化など)とのかかわりに重点を置いて研究しているとのことです。

 

フランス留学のご経験があるためか、現在もフランス研究者とともに、行動計測機器としてデジタルペンを用いた乳幼児の書字・描画研究を続けているとのことです。今回の発表も、このデジタルペンを用いて子供が「何を描いたか」だけでなく、筆速、筆圧、描き順など「どのように描いたか」という情報を分析して、自らご発表をされました。

 

発表者は他に中国出身の女性Ji Yuanhong先生(立命館大学所属)のバウムテストでの日中の子供たちの描画の特徴の比較、デジタルペンの開発者のPhilippe Wallon先生の日仏の子供たちの描画データ解析の発表は圧巻でした。Wallon先生はご高齢で、ちょうど将棋の加藤一二三氏(ひふみん)を彷彿させる容貌の方でした。フランス人らしく、独特なアクセントの英語ですが、話し方がまた(ひふみん)そっくりなので親しみを感じました。このデジタルペンは優れもので、これまで定性的にしか分析できなかった事柄を、定量的数値データとして解析できるので、今後の研究や臨床の場での活用が期待できます。

 

このセッション終了後、さっそくWallon先生から、デジタルペンの資料をいただきました。

 

 

07:00~08:15pm 基調講演

ICPS 2019 Fred Kavli Keynote Addresses Abstracts

Learn more about what the Keynote speakers will be presenting on at the ICPS 2019!

 

07:00PM-08:15PM

Arrested Development or Adaptive?

The Adolescent and Self Control

 

20190308

BJ Casey, Department of Psychology, Yale University, USA

BJ Casey is widely known for her skillful use of brain imaging to examine developmental transitions across the life span, especially during adolescence. Her work is grounded in translational studies from genetically altered mice to humans, leading to the development of treatments for several mental health problems that affect millions of young people. Her studies have begun to inform when and how to target treatments to the individual based on age and genetic profile, and they have implications for juvenile justice and mental health policy reform. An APS Fellow, Casey is the recipient of numerous awards, and she was named by Thomson Reuters as one of The World’s Most Influential Minds in 2015. [Full Abstract]

 

Adolescence refers to the transition from childhood to adulthood that begins with the onset of puberty and ends with successful independence from the parent. A paradox for human adolescence is why—during a time when the individual is probably faster, stronger, of higher reasoning capacity, and more resistant to disease—there is such an increase in mortality relative to childhood. The increase in fatalities at this age is due not to disease but, rather, to preventable forms of death (accident, suicide, and homicide) associated with adolescents putting themselves in harm’s way, in part because of diminished self-control—the ability to suppress inappropriate emotions, desires, and actions. In this lecture, empirical findings will be presented on how self-control can vary as a function of age, the situation, and the individual. Evidence for dynamic reorganization of the brain that coincides with apparent lapses in self-control during adolescence will be discussed in the context of evolution based biological constraints on the brain that may enable the adolescent to adapt to the many unique challenges of this exciting developmental phase of life.

 

この基調講演の会場はオペラやバレーなどの劇場も兼ねることができる大ホールでした。この時間まで、数百人の参加者が熱心に参加しているのも驚きでした。しかし、演者に先立って、この学会の共同大会長の女性からの型通りの長めのメッセージを聴いている間に徐々に眠気が襲ってきて、このレクチャーの詳細までは正確には覚えていません。

 

ただし、口演の趣旨は、青春期から成人になる過渡期の不安定な時期の心理状態についての言及でした。両親から独立しておとなになっていく時期で、身体的な病気で死亡する可能性は最も低いにもかかわらず、事故や自殺あるいは殺人などで命を落としてしまうケースが問題となっています。この時期には、それまでよりも急激に自己制御力が要求されても、脳が活発に成長することによって乗り越えることができますが、不適切な情動、欲望、行動などを制御することが難しくなる過渡期でもあります。そのあたりの背景についてのスピーチで興味深いものでありましたが、不覚にも途中で意識が途絶え、盛大な拍手によって目を覚ましたという有様でした。

 

 

⑤ホテル到着(09:30pm)

パリの鉄道は行き先によって乗車駅が異なることは知っていましたが、同じ駅でも路線が違うと別の入り口なので、慣れないと手間取ります。ただし、地下鉄の駅の区間は東京の丸ノ内線と比べてずっと短いことを実感しました。ホテルの最寄り駅のGrands Boulevardsと隣のBonne Nouvelle駅とはHaussmann通りを歩いてみた感じでは、新高円寺駅と東高円寺駅まで青梅街道沿いを歩いた身体距離感の3分の1以下でした。心理学的には、慣れない土地のほうが距離が長く感じられるはずなので、実際にはもっと至近距離なのかもしれません。そういうわけで、

 

パリの市街地図を改めて眺めてみると、最初の印象の3分の1くらいの感じになりました。

 

 

本日入手した学会の詳細プログラムの検討と参加プランニングのため、国際線維筋痛症学会2日目の報告は、この学会終了後といたします。乞う期待!