2019欧州国際医学会研究旅行 第5日:3月3日(日)

行動目的:

(The 6th International Conference on PreHypertension &

Cardio Metabolic Syndrome)

 

第6回高血前圧症・高血圧症・代謝性疾患・循環器疾患国際会議

1)確実な出席

2)密度の濃い情報収集と整理

3)余裕のある移動

4)体調調整と翌日の学会出席の準備

5)今回の国際学会についてのまとめの準備

 

 

行動計画:

①朝食(06:30am~)

②ホテル・チェックアウト(~07:30am)

③学会(08:00~11:10am)

④ビリニュス国際空港へ(~00:15pm)

⑤ウィーン国際空港へ(メガネの問い合わせ)

⑥Hアナナスチェックイン(~04:00pm)

⑦Pablo先生の声楽レッスン(06:00pm)

⑧ホテルに戻り、翌日の学会準備

 

 

重要な活動予定の詳細:

(学会発表の演題には和訳を加えました)

 

行動成果: 

時差の誤認に気づく

ウィーンと東京の時差は8時間ですが、ヴィリニュスと東京の時差は7時間です。

これに気づかないままですと、ヴィリニュス発ウィーン行の飛行機の搭乗に間に合わなかった可能性がありました。思い込みというのは危ういものです。

 

そもそも、このホテルに到着したときの時間が想定外に早かったのですが気づきませんでした。窓から道行く人をながめては、この国の人たちはとても早起きだと思いましたが、それでも気づけませんでした。ホテルの朝食は6:30amからですが、実際には7:30amに摂っていました。ほとんど東洋人を見かけず、この国を訪れる欧州系の観光客は早起きだと感心していました。

 

初日の学会のプログラムが変更に次ぐ変更があったため、ここでも気づくチャンスを失いました。毎朝早めに学会会場に到着していたので、最初の発表を聞き逃すことはありませんでした。ただし、最終日にはチェックアウトを済ませてからギリギリの時刻に学会会場に到着したはずでしたが、すでに幾つかの演題の発表が終わっていました。ここでようやく時差の誤認に気づいた次第です。

 

 

08:30-10:30 Plenary Session 13: Selected Research(Abstracts)

   全体討論13:採択研究(要旨)

共同座長: Aleksandras Laucevicius, リトアニア,Carmel McEniery,英国

 

08:00 Assessing the Impact of Switching 

to the Tobacco Heating System on

Cardiovascular Events:

Translating Basic Science into Clinical Benefit

タバコ加熱システムへの切り替えが心臓血管イベントに及ぼす影響力の評価

Calin Pater,スイス

興味深い演題でしたが、遅刻のため聞き逃しました。

 

 

08:10 Effect of 8 weeks of Weight-Lowering Program

on LDL-and HDL-Cholesterol Subtractions and

Cardio metabolic Risk Factors

8週間の減量プログラムがLDLおよぼHDLコレステロールおよび心臓代謝リスク因子の減少に及ぼす効果

Adela Penesova,スロヴァキア

  これも聞き逃しました。

 

 

08:20 Blood Pressure and Glycaemic Control Improve

in Men with Hypogonadism and Type 2 Diabetes(T2DM)Receiving

Long-Term Treatment with Injectable Testosterone Undecanoate(TU)

血圧と血糖コントロールは長期間のテストステロン・ウンデカノエイトの注射を受けている性腺機能低下症で2型糖尿病の男性を回復させる

    Farid Saad,ドイツ

     これも聞き逃しました。

 

 

08:30 Renal Protective Effects of Topiroxostat and Febuxistat,

Newly Available Xanthine Oxidase Inhibitors, in the Hypertensive Patients

新規に導入されたトキサンチンオキシダーゼ阻害薬であるピロキソスタットおよびフェブキスタットの高血圧者の腎臓保護効果

       Fumitoshi Satoh,日本

     これは、最後のころに少しだけ、

    ただし、痛風医にとっては、すでに常識の話でした。

 

 

08:40 Prevalence and Hemodynamic Phenotype of

Arterial Hypertension, and Left Ventricular hypertrophy

in Children after Coarctation Repair

大動脈縮窄症術後の小児の動脈性高血圧および左室肥大の有病率および表現型

       Skaiste Sendzikaite,リトアニア

 

               〇小児外科、とりわけ小児心臓外科領域の未解決の課題

    質問:なぜこの疾患に高血圧症が多いのか?

    これに正確にこたえるだけの情報が集積されていない。

 

 

08:50 

PULSE-COR REGISTRY: Left Ventricle and Arterial Stiffness

in the Cohort of Patients with essential Arterial Hypertension

脈拍-心臓登録:本態性高血圧患者のコホートでの左室および動脈の硬度

Olena Torbas,ウクライナ

 

〇一施設での登録

〇血圧、脈拍

〇左室:VAC、E/Ee’,CAVI,cfPWV

〇寝室-動脈相互作用が本態性高血圧症の拡張機能不全に影響を与える

〇この研究によって病態が解明されれば、病態に応じた適切な治療が可能になる。

 

 

09:00

Evaluation of Clinical Characteristics and Quality of Life

in Patients with Peripheral Arterial Disease(PAD) Treated

with Cilodtazol:The CI-Win study

末梢動脈疾患患者の臨床的特徴と生活の質(QOL)の評価

     Nicolaos Tentolouris,ギリシャ 

 

   〇CI-WIN study design

        〇Fontain Stage Classification

   〇mean pain free walking distance with/without Cilostazol

   〇minor or lack of adverse effect

       〇Brachial/Ankle blood pressure ratio の改善はわずか 

 

09:10-11:10 Plenary Session14:Arterial Hypertension,

Metabolic Disease and Cardiovascular Risk Prediction

Chairs: Carmel Mc Eniery, UK, Zaneta Petrulioniene, Lithuania

全体討論14:動脈性高血圧症、代謝性疾患、心血管系リスク予測

 

 

09:10

Body Composition and Cardiovascular Haemodynamics

in Young Adults

   若年青年の体組成および心血管系血行動態

Carmel Mc Eniery, 英国

 

   〇若年青年の収縮期血圧測定は重要

   〇若年期からの医学的介入によって高血圧への進展を防ぐ

   〇Enigma study

   〇体表面積と心拍出量は高い相関がある

   〇ボーダーライン高血圧と肥満は、心拍出量増加を伴う高血圧前症の2大要因

   〇同じ体表面積でも、体組成が異なれば、臨床的な意味も異なる

   〇Body sizeが増えれば、還流血流量の需要が増えるので、心拍出量は増える

    すると収縮期血圧が上昇することになる

   〇若年者では除脂肪体重(Lean Tissu Mass)は脂肪組織より心拍出量を増やす

   〇若年の肥満者が必ずしも高血圧者であるのではない

      血管抵抗性の調整機能が作動するためか

   〇ADAPT study

     〇 Overfeeding が及ぼす効果

   質問;若年青年にターゲットを絞ったわけ

   関心がもたれていない重要な年代だから

   座長からの質問:Healthy Obesityの背景は?

健康な肥満者は存在するのか、存在するとしたらその特徴は?

演者の回答:肥満者で健康な人は例外的だが存在する可能性がある。一般の肥満者とは異なる体組成であり、インスリン抵抗性や動脈の硬化の程度が異なっている可能性がある。

 

09:30

Home and Office Blood Pressure Measurements as

Determinants of Hypertension Mediated

Organ Damage: The Finn-Home Study

高血圧に影響を及ぼされる臓器傷害の評価法としての家庭および医療機関での血圧

Ilkka Kantola, フィンランド

 

〇家庭血圧測定の意義はすでに確立している

〇家庭血圧は再現性にすぐれ、白衣効果からも免れる

 

 

09:50

The Cardiometabolic Patient: how to Evaluate Risk?

心臓メタボ患者:どのようにリスクを評価するか?

Aleksandras Laucevicius, リトアニア

 

〇 高リスク戦略的予防(一次予防)プログラム

〇リトアニアでは肥満、メタボリックシンドローム、高血圧は、年次的に減少しつつある

〇Cohort study Framingham

〇Cardiometabolic risk:LDL-コレステロール高値、左室拡張不全、左室肥大

〇Early Vasculra Ageing(EVA):血管硬化、脈波速度の亢進、動脈内膜の傷害

〇大動脈波速度:CVD発生の予測因子

〇頸動脈-大腿動脈脈波速度はメタボリックシンドローム患者をモニターするうえで有用

〇動脈の硬度は可逆的である

〇有酸素運動による動脈硬化の改善の反応性は良好

〇SCOREシステム

〇超音波による頸動脈の内膜中膜厚の想定は有効

 

10:10

The Different Faces Of Cardiovascular Risk:

The Spectrum of Risk is Wider than Currently Accepted

and Therefore Prevention and Treatment should be

Tailored for any Individual Patient

心臓血管系リスクの異なる側面:

現在認識されていることより広範なリスクスペクトラムであるため予防と治療は個々の患者に応じてなされるべきである

Dov Gavish, イスラエル

 

〇第一次予防のための脂質コントロールの目標値は?

〇どのような人がハイリスクなのか?

〇FH:家族性高脂血症のLife cycle expectation

〇CVD,CHDMortalityはLDLコレステロール100㎎/dl未満が最も優れている

〇米国のガイドラインは議論の多いところ

〇冠状動脈の石灰化はCVDの良い予測因子

〇LDLコレステロールは70㎎/dlが至適

〇Timi risk score2

質問:すべてのリスク患者の動脈が石灰化するわけではない

回答:その場合であっても家族歴の聴取、超音波検査の実施が有効

 

 

10:30

From Moderate to Very Hig Cardiovascular Risk

: Patient’s Journey, Primary Health Care Provider Possibilities

中等度から超高度の心血管系リスク:患者の旅行、プライマリケア医の責任

Gediminas Urbonas, リトアニア

 

〇プライマリケア医の責任は重い

〇症例提示:ドキサゾシン、ラミプリルで治療

〇メタボリックシンドローム:この疾患概念の欠点は、各疾患を個別をそれぞれ個別に治療することと大差ない点である

〇LDLコレステロール低下療法を開始するタイミングは?

〇アポリポプロテインB,高感度CRPなどの新しい推奨指標はプライマリケアでは導入しずらい

質問:小児のメタボリックシンドロームの治療指針は?

回答:小児科の専門医でないのでしっかりした回答は用意できない

 

 

10:50

New Guideline for Statin Treatment in Primary Prevention:

     The Contribution of Coronary Atherosclerosis Imaging

第一次予防におけるスタチン治療のための新ガイドライン

冠状動脈硬化症への貢献

     Joeseph Shemesh,イスラエル

 

〇北米ガイドラインではリスクの層別化を行い高度なリスクををもつもののLDLコレステロールのコントロール目標値は<70㎎/dlである

〇喫煙者、糖尿病者、ASCVDの濃厚な家族歴を持つものでない限り、ただちにスタチンを開始することは差し控えられるべき

〇スタチン非推奨群、スタチン考慮群、スタチン推奨群、高容量スタチン推奨群などはリスクの大きさによって分類される

〇CTであれば、動脈硬化症ではすべてに石灰化を検出することができる

〇低線量CTで冠状動脈のscoringを行うことが新しいstragedy

〇LDLコレステロールが統治であっても動脈石灰化を認めない患者にスタチンを投与する必要はない

〇リスクで最大なのは加齢である、それは加齢に伴い動脈の石灰化が進行するからである

〇北米ガイドラインは実際には低リスクの患者にもスタチンを推奨してしまうことになる、44%もの対象者には石灰化がみられないからである。

〇そのかわりsubclinicslCAD

   Coronary Artery Calcification(CAC)scoringは需要な予測指標である

    3年ごとに低用量CTでチェックすべきである。

 

 

11:10‐11:30 Coffee Break

学会会場のフロントにてタクシーを呼んでもらい、そのまま空港へ

ビリニュス国際空港からウィーン国際空港へ無事到着。

 

再び時差の話題に戻すと、

2月28日ウィーン発10:00am、ヴィリニュス着00:45pm(形式的所要時間2:45)

これに対して

3月3日ヴィリニュス発01:35pm、ウィーン着02:25pm(形式的所要時間0:50)

羽田から出発前に、往復の所要時間の違いにはすでに気が付いていて不思議に思った段階で時差に気が付く人は気が付いていたはずです。

そこでパリと東京の時差を再確認してみましたが、これはウィーンと同じ8時間でした。

 

ウィーン国際空港では、逸失物取り扱い窓口にてメガネを受け取ろうとしましたが、逸失日から2日までは、空港内の通常の窓口で預かっているが、その後は別の場所に移管されるという説明を受けました。

 

その窓口は、空港ロビーからいったん外に出て、別の建物の中に入ったところにありました。そこの女性職員は、ほとんど英語を解さないのでドイツ語でやりとりするとスムーズでした。彼女は大きなケース(プラスティック製のざる)をもってきて、裸のメガネに数字を記入した小さいカードが、まるで値札のようについていました。

 

メガネを機内に忘れる人は予想以上に多いことが分かりました。多数の中から、一つ一つ点検し、一つだけ似ているメガネがありましたが、明らかに私のものとは違っていました。メガネの回収はあきらめざるを得ませんでした。

 

ウィーン空港からタクシーで定宿に向かいました。ウィーン、ベルリン、ヴィリニュスのタクシーについて私が経験した限りでしったことは、タクシーの運転手さんには移民がとても多いということです。

 

彼らは英語圏やドイツ語圏の出身でないことがほとんどなせいか、英語で話しかけると、英語はまったくわからない、と断るドライバーも珍しくありません。そこで頼りになるはずのドイツ語ですが、これも相当に癖のある訛った発音である場合があります。彼らの仕事が成り立っているのは、ドイツ語圏の客であれば、それでも何とか通じるのでしょう。ただし、たまたま、タクシーの運転手になったばかり、というケースもあり、ある程度の覚悟が必要でしょう。

 

この日の運転手さんのドイツ語はかなり怪しい代物でした。それでも彼らは商売熱心です。「せっかくだから、ウィーンの街を案内しましょうか、それともホテルにディレヒトで向かいますか」と尋ねてきました。私は、ウィーンは何回も来ているので直行(ディレクト: direct)してください」と答えました。

英語でもダイレクト(direct)といいますが、ディレヒトという発音の仕方は、ドイツ語風に発音しているつもりなのかもしれませんが、困りものです。運転中は、ずっと備え付けのスマホで、いろいろな新車のモデルをクリッして眺めながらの運転で感心しませんでしたが、ひょっとすると車の買い替えを検討していたのかもしれません。

 

ホテルの前で降車の際に、多少のチップを渡したところ、大げさに喜んで思わずGrazie mille!(どうもありがとう:イタリア語)、そして最後にTschüs!(じゃあね!:ドイツ語口語)ということでした。

 

外国語が苦手な一人旅の観光客はスマホを最大限に有効活用しているのではないかと思います。残念ながら、私はスマホを持っていなくてもメガネを置き忘れてきてしまう程度の人間なので、これからもスマホなしの人生を楽しもうと考えています。

 

外国語といえば、ホテルのフロント係はたいてい流暢な英語を話し、母国語のドイツ語も訛っているようなことはほとんどないので、安心して会話ができます。ビリニュスのホテルのフロント係にはとてもお世話になり、名残惜しいくらいでしたが、チェックアウトのときは短時間でしたが英語での話題が盛り上がったものでした。

 

ウィーンの定宿のフロント係も、私が常連であることを知っている様子で、最初からドイツ語です。慣れない頃は、私のドイツ語は通じにくかったのを覚えています。私のドイツ語は本場では通じないのかと訝っていたこともありましたが、単に相手の耳のチャンネルが英語のチャンネルになっていたためだということに気づきました。日本人がまともなドイツ語を話すはずがないという先入観があると、聞き逃されてしまうことがあるようです。そのためには、最初に、はっきりと丁寧にドイツ語で挨拶してから、要件を伝えるとよいようです。

 

今回は、ウィーンのホテルアナナスのフロント嬢には、チェックインとリトアニア出張中に預けてもらっていたトランクの受け取りと、声楽レッスンに向かうためのタクシーの手配など、いろいろ手際よくこなしてもらいました。「あなたのドイツ語は完璧ですね」というお世辞付きでした。

 

部屋に入り落ち着く間もなくネットを繋ぎましたが、伴奏ピアニストの今泉さんからの伝言が届いていました。06:00pm予定のレッスンを06:30pmに変更できないか、ということなので、もちろんOKしました。

 

Pablo Cameselle先生のレッスンは、まず発声練習から。短時間で声が変わるマジックがあります。去年のレッスンの際には、次回は必ずヴォイス・レコーダーを持参するようにアドヴァイスを受けたので、今回はすべて収録しました。聖楽院のレッスン生のために、要所ごとに今泉さんが日本語でコメントを入れてくれたのはありがたいと思います。

 

帰りに、地下鉄の駅で72時間乗り放題チケットを買いました。今泉さんのアドヴァイスで地下鉄とバスを組み合わせると、ホテルの前までバスで行くことができました。

 

部屋に到着したら、一気に疲労感と眠気と空腹感がいっぺんに襲ってきました。

そこで、ホテル内のレストランで簡単な食事を摂って、明日の学会に備えて早めに休むことにしました。