<東洋医学の話をしよう2ー氣・血・津液(7)ーまとめ >

 

<はじめに>

前回まで氣・血・津液・臓腑の触りの部分までお話しました。

たくさんの用語が出てきて、混乱された方もいらっしゃるかと思いますので、

ここで一旦、今までの話を復習しましょう。

 

 

 

 

<(鍼灸)東洋医学の話をしよう1ー人体を構成する3つの要素>

では、

 

東洋医学では人体が3つの要素で構成されていることをお伝えしました。

人体を構成する3つの要素とは

 

氣(き)」、「五臓(ごぞう)」、「経絡(けいらく)」であると言うお話でした。

 

 

<東洋医学の話をしよう2ー氣・血・津液・精・神(1)>

では、

 

「氣」の作られ方について解説しました。

 

・「氣」は「精(せい)」が変化したもので、

 

・「精」は「先天の精(せんてんのせい)」「後天の精(こうてんのせい)」の2つの種類があり、

 

・「先天の精」は両親から受け継いだのもで「腎」に蓄えられ、

 

・「後天の精」は飲食物から消化器官である「脾・胃」で作られ「先天の精」を補充する

 

というお話でした。

 

 

 

<東洋医学の話をしよう2ー氣・血・津液・精・神(2)>

では、

 

「氣」の身体内の働きによって4つに分類され、

 

・氣には働き方によって「元氣(げんき)」、「営氣(えいき)」、「衛氣(えき)」、「宗氣(そうき)」に分類され、

 

・「元氣」は生命活動の原動力であり

 

・「営氣」は全身を栄養を送り

 

・「衛氣」は身体を病原体などから防衛し

 

・「宗氣」は心肺機能を支えて氣や血(けつ)(血液)や津液(しんえき)(水)を循環させる

 

というお話をしました。

 

 

 

<東洋医学の話をしよう2ー氣・血・津液・精・神(3)>

では、

 

氣の役割についてお話しました。

 

・氣には5つの役割があり

 

推動(すいどう)作用ー臓腑、経絡の活動、血液を巡らせ、

 

防御(ぼうぎょ)作用ー身体を病原体や外部の環境から守り、

 

固摂(こせつ)作用ー体液が無駄に出てしまうのを防ぎ、

 

気化(きか)作用ー氣が*血や*津液に変化させ、

 

温煦(おんく)作用ー全身を温める

 

というお話をしました。

 

 

 

<東洋医学の話をしよう2ー氣・血・津液・精・神(4)>

では、

 

血(けつ)」と「津液(しんえき)」について説明しました。

 

・「血」は血管内の赤い液体で「営氣」とともに流れ、

 

・「津液」は体内の水分の総称で無色透明であり

 

・「血」「津液」は体内を循環して栄養を運び身体を潤す

 

というお話をしました。

 

 

 

<東洋医学の話をしよう2ー氣・血・津液・精・神(5)>

では、

 

「五臓」と「血」(血液)の関係についてお話しました。

 

・「氣」から「血」が作られる(氣化(きか)作用)

 

・「氣」と「心」の働きによって「血」は身体を流れる(推動(すいどう)作用)

 

・「氣」と「脾」の働きによって「血」が体外に漏れない(固摂(こせつ)作用)

 

・「肝」は「血」を貯蔵する

 

というお話でした。

 

 

 

<東洋医学の話をしよう2ー氣・血・津液・精・神(6)>

では、

 

    「津液」と「氣」の関係についてお話しました。

 

・「氣」が変化して「津液」になる(気化作用)

 

・「氣」は「津液」を身体中に巡らせる(推動作用)

 

・「氣」は「津液」を身体から漏らさない(固摂作用)

 

    というお話でした。

 

     それぞれの表題をクリックすると、該当するページに飛びますので、読んでみて下さい。

 

      来週から、臓腑の話が始まります。よろしくお願いします。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

三和生薬株式会社のHP「よくあるご質問」をご紹介しております。

 

Q

漢方薬をオブラートに包んで服用しても良いですか?

 

A

漢方薬は、本来その香りや味も重要な薬効の一つです。しかし、どうしても苦手な人がいるのも事実です。止むを得ない場合はオブラートに包んで服用しても問題ありません。胃の中で早く溶けるように少し多めの白湯(さゆ)を一緒に飲むのを忘れずに!

 

 

<杉並国際クリニックからのメッセージ>

漢方薬がどうしても苦手な人には、治療の必要性があっても、敢えて内服を勧めません。その理由は、不快な有害反応が若干発生しやすくなるからです。

 

しかし、何とか漢方薬を服用できそうな方には、治療の必要性があれば、積極的にお勧めしています。今まで内服の経験の無い方ばかりでなく、これまで漢方薬を我慢して内服していた方であっても、お薬に慣れて内服が苦でなくなり、あるいは習慣になり、また効果が出始めると、親しみを感じて美味しく感じられるという方もいらっしゃいます。

 

漢方薬の飲み方については、クラシエ薬品のウェッブサイトが役に立つと思いますので、紹介します。

 

クラシエ薬品が運営する医療用医薬品ウェブサイト

 

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会のホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

 

最後に杉並国際クリニックからのメッセージを加えています。

 

蕁麻疹②

Q2 

蕁麻疹にはどのようなタイプがありますか

 

A

蕁麻疹は、大きく4つのグループに分けられます。明らかな原因がなく自発的に症状が現れる特発性の蕁麻疹、特定の刺激により症状が出る刺激誘発型の蕁麻疹、目や口などの皮膚、粘膜が腫れ上がる血管性浮腫、そして蕁麻疹関連疾患です(表)。刺激誘発型の蕁麻疹の中には、特定の食べ物や薬などで症状が現れるアレルギー性の蕁麻疹、アレルギーではない薬剤による蕁麻疹、特定の物理的な刺激により現れる物理性蕁麻、発汗刺激により起こすコリン性蕁麻疹などがあります。物理性蕁麻疹では、皮膚が擦れた時に現れる機械性蕁麻疹、冷たいものに触れて起こる寒冷蕁麻疹、日光に曝されて起こる日光蕁麻疹などが主な病型です。なお、これらは一つだけが現れる他に、患者さんによっては複数の蕁麻疹の病型を併せ持っていることも少なくありません。

 

 

杉並国際クリニックからのメッセージ

蕁麻疹の特徴は個々の皮疹の経過にあります。つまり、痒みを伴う紅斑が24時間以内に出没することが確認できればほぼ蕁麻疹と考えて良いということです。しかし,その対処のしかたは蕁麻疹の種類により大きく異なり,緊急性の判断と正しい病型診断が重要です。

 

また,蕁麻疹の発症機序,膨疹出現の直接刺激,およびその他の臨床的特徴は多岐に亘り,かつそれらが必ずしも1対1に対応しないのが問臨床上での困難な点です。

 

「蕁麻疹診療ガイドライン2018日本皮膚科学会ガイドライン」の分類(表2)は,主として臨床的な特徴に基づくもので,症例によっては二つ以上の蕁麻疹の病型が認められることがあり,また,必ずしもこれらの分類に当てはまりにくいものもあります。

 

それゆえ,診察に際しては個々の症例における蕁麻疹の全体像を捉え,各病型の特徴を踏まえてゴールに至るための道筋を見いだすことが大切です。

 

なお、今回のガイドラインの改訂により、急性蕁麻疹と慢性蕁麻疹の境界を発症後1カ月から6週間に変更し,血管性浮腫の病型が改定されました。

 

 

表2 蕁麻疹の主たる病型

Ⅰ.特発性の蕁麻疹 spontaneous urticaria

1. 急性蕁麻疹 acute spontaneous urticaria(発症後6週間以内)  

2. 慢性蕁麻疹 chronic spontaneous urticaria(発症後 6週間以上)

 

Ⅱ.刺激誘発型の蕁麻疹(特定刺激ないし負荷により皮疹を誘発することができる蕁麻疹)inducible urticaria※

1.アレルギー性の蕁麻疹 allergic urticaria  

2.食物依存性運動誘発アナフィラキシー FDEIA  

3.非アレルギー性の蕁麻疹 non-allergic urticaria  

4. アスピリン蕁麻疹(不耐症による蕁麻疹)

aspirin-induced urticaria(urticaria due to intolerance)  

5. 物理性蕁麻疹physical urticaria

(機械性蕁麻疹mechanical urticaria,寒冷蕁麻疹cold urticaria,

日光蕁麻疹solar urticaria,温熱蕁麻疹heat urticaria,

遅延性圧蕁麻疹delayed pressure urticaria,

水蕁麻疹aquagenic urticaria)  

6.コリン性蕁麻疹cholinergic urticaria  

7.接触蕁麻疹contact urticaria

 

Ⅲ.血管性浮腫 angioedema  

1.特発性の血管性浮腫 idiopathic angioedema  

2. 刺激誘発型の血管性浮腫 inducible angioedema

(振動血管性浮腫 vibratory angioedemaを含む)  

3. ブラジキニン起因性の血管性浮腫

bradykinin mediated angioedema  

4.遺伝性血管性浮腫 hereditary angioedema(HAE)

 

Ⅳ.蕁麻疹関連疾患 urticaria associated diseases  

1.蕁麻疹様血管炎urticarial vasculitis  

2.色素性蕁麻疹 urticaria pigmentosa  

3.Schnitzler症候群およびクリオピリン関連周期熱症候群

 

※国際ガイドラインでは,6週間以上続く蕁麻疹は刺激誘発型の蕁麻疹を含めてchronic urticariaに分類されます。

木曜日のテーマ:骨粗鬆症についてQ&A

 

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

以下のHPで確認することができます。

http://www.jpof.or.jp/

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。

 

しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。

 

そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

 

Q8

アメリカ人と日本人のカルシウム摂取量について

 

日本人のカルシウムの摂取量が、アメリカ人よりも少ないといわれているのはなぜでしょうか。日本人の方が、魚類などからカルシウムをとっていると思っていたのですが

 

A

日本人と比較して、アメリカ人は牛乳をはじめとする乳製品の摂取量が多いといわれています。また、魚や海草など、日本の伝統的な食材にもカルシウムは多く含まれていますが、牛乳と比較すると、一度に大量に摂取しにくいことも原因の1つと思われます。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

カルシウムの摂取量とカルシウムの吸収率との違いを認識して議論しないとちぐはぐなやりとりになってしまいかねません。

 

<日本人と比較して、アメリカ人は牛乳をはじめとする乳製品の摂取量が多いといわれています。>

その通りですが、牛乳をはじめとする乳製品のカルシウム吸収率は概ね40%にのぼります。

これに対して、<魚や海草など、日本の伝統的な食材>のカルシウム吸収率はおよそ20ないし30%に過ぎません。

 

食材の違いによるカルシウムの吸収率の違いについては、もっと注目すべきではないかと思います。これら日本の伝統的な食材の摂取量が乳製品に比べると少量しか摂取できないか、というと個人差はありますが、必ずしもそうとまではいえないのではないでしょうか。

 

それでは、アジア人はカルシウム摂取量が少ないのに、乳製品の大消費者であるアメリカ人よりも骨粗鬆症や骨折の発症率が少ないのはなぜでしょうか?

 

アジア人は乳製品摂取量が少なく、カルシウム摂取量も少ない(500mg以下/ 日)こと、平均的に大腿骨(骨盤)骨折の発生率が欧米人よりも低いことは事実です。 このことは次のように説明されます。

• 遺伝:骨密度の高さと関連する遺伝子はアジア人に多く見られる

• 体型:アジア人の背が低い(つまり低い高さから転ぶ)、大腿骨の頸部の形が 異なり、外傷性全身症状に抵抗性が高い

• 環境:体を動かすことがアジアではヨーロッパ人よりも大切なこと(また、しゃがむという姿勢が骨への有効性を高めると考えられる)。たとえば、香港や シンガポールでは骨折の発生率は、米国よりもわずかに少ないだけである。

• ビタミンD:アジア人は一般的に脂肪身の魚からより多くのビタミンDを摂取しています。

 

日本では脊椎骨の圧縮が頻繁に見られる。寿命の延長に伴い、骨粗鬆症に関連する骨折は、多分、アジアでは高い速度で増加しています。これは多くのアジア諸国で骨粗鬆症は公衆上の健康問題となっています。

 

政府当局者は、予防策を訴えるとともに、アジア人にとってのカルシウムと乳・乳製品摂取の重要性と利点を示す最近の研究成果を訴えています。 *コーカサス系人種(白人)と同様、アジア人の骨密度は、カルシウム摂取量に依存しています (摂取量が多いほど骨密度が高くなる)が、アジア人のリスク要因は活動量の不足、 カルシウム摂取不足と転倒です(カルシウム不足の人ではリスクが2、3倍高くなる)カルシウム摂取の増加は、骨密度の増加を伴います(3つの介入試験、子供対象 1件、成人対象2件により示されています)。

 

カルシウム摂取と水氣道(体を動かす活動性の増加、しゃがむ動作、転倒を防止する平衡感覚の鍛錬など)は、骨粗鬆症対策にとっては理想的なコンビネーションであることが理解できるものと思われます。

 

当クリニックは、新時代の要請にこたえることにとどまらず、その一歩先の未来を見据えたモデルクリニックを目指しています。

 

そして、この杉並国際クリニックのHPの新着情報は、当クリニックからの一方的なメッセージの発信ばかりであってはならないと考えています。

 

皆様の声をいただき、この<読者の声>を通して、私たち全員の共有財産にしていくことができればとても素晴らしい展開が期待できると思います。

 

 

そこで、杉並国際クリニックのHPの新着情報は、現在、当クリニックを継続受診されていない方にも開放させていただいております。

 

高円寺南診療所時代(平成元年7月~平成31年4月)の受診者の方で、

全快して無事卒業された方はもちろん、遠方に転居されて受診されていない方、

今後、当院の受診を検討されている方など、いずれの皆様も大切な存在です。

 

現代医療制度の問題、健康不安などについてのメッセージや、逆に、ご自分が励行している健康法や、生き甲斐論など、どのようなテーマでも歓迎します。

 

 

投稿先は、suikido@gmail.com です。

 

なるべく、多くの皆様のご参加をお待ちしております。

 

収載については可能な限り反映させていただくつもりですが、公益性その他の観点から、当方で検討の後、1週間程で、掲載日程を通知させていただきます。

 

皆様の投稿をお待ちいたしております。

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

 

糖尿病治療の目標と指針

 

Q2-1 

糖尿病の治療の目標は?

 

【要点】

糖尿病治療の目標は、

 

① 高血糖に起因する代謝異常を改善すること、に加え

 

② 糖尿病に特徴的な合併症、および糖尿病に併発し易い合併症の発症、 増悪を防ぐこと、さらには

 

③ 健康人と変わらない生活の質(quality of life: QOL)を保つこと、

 

④最終的には、健康人と変わらない寿命を全うすることにあります。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

言うは易く、行うは難し。それは、糖尿病治療の目標達成も例外ではありません。この難題を解決するにあたっては、まず、その理由を分析することが大切だと思います。

 

治療目標①:高血糖に起因する代謝異常を改善すること

高血糖に起因する代謝異常は、その程度が軽度であれば、ほとんど自覚症状として気づかれることはありません。気づきがなければ、認識がかわらないので、生活習慣態度や健康行動に向けての行動変容は期待できません。

 

糖尿病はインスリン作用の不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝性疾患であるため、インスリンの作用不足に気づくための工夫が必要であるということになります。気づかないために、長期間放置されることがあります。

 

そうなると、治療目標 ② 糖尿病に特徴的な合併症、および糖尿病に併発し易い合併症の発症、増悪を防ぐこと、を達成することは困難になってしまいます。代謝障害が軽度でも長く続けば特徴的な慢性合併症(網膜症、腎症、神経障害)を発症するリスクが高くなるからです。

 

さらに、糖尿病では全身の動脈硬化症が促進され、これが心筋梗塞、脳梗塞、下肢の閉塞性動脈硬化症の原因となります。また、細菌感染に対する抵抗力の低下をもたらします。

 

この状態になると、治療目標 ③ 健康人と変わらない生活の質(quality of life: QOL)を保つこと、は望むべくもありません。

 

また、血糖値が著しく高くなる代謝状態では口渇、多飲、多尿、体重減少がみられるようになります。さらに急速に進行すると、急性合併症として意識障害や昏睡に陥り、効果的な治療が行われなければ死に至ることもあります。

 

治療目標 ④ 健康人と変わらない寿命を全うすること、

この目標を達成するためには、早期に治療目標①:高血糖に起因する代謝異常を改善すること、この目標を達成することが大前提であるということがわかるはずです。

 

気づきにくい病状に気づくためには、自覚症状のみを唯一の健康尺度にしている多くの人々の意識を変革する大胆な手立てが必要です。

 

とはいっても、それは必ずしも難しいことではなく、定期的な住民健診や職場健診を積極的に活用し、健診の結果に基づいて、適切な対応をすることだけでも十分な解決策であると思います。

 

診療所の飯嶋先生は時間をかけて、とても丁寧に診察をしてくださいました。

 

どこのお医者にかかっても、診察はせいぜい5分くらいというのが常でした。

 

 

ですから、かれこれ1時間近くも診てくださったのにまず驚きました。

 

診察の結果は、≪線維筋痛症の疑いが大きい≫ とのこと。

 

治らないと訴える大変な人たちの手記をインターネット上でたくさん読んでいたので、

 

病名が分かったという安堵はほんの少し。

 

あとはもう、<これから先どうしていいかわからない>気分に満たされました。

 

 

すぐに始めたのは鎮痛剤ノイロトロピンの注射

 

これは身体の痛みを和らげてくれました。

 

 

あとは≪漢方薬で腸を整えましょう≫とのお話。

 

それと鍼治療

 

 

およそ現代的とは思えないような

 

統合医療を受けることになりました。ところがこれがとてもよかったのです。

 

 

 

「安くて便利、良心的というキャッチは、多くの皆様方にとっては魅力的なようですが、多くの消費者にとっては落とし穴であることが多く私は常に警戒しています。」これは、1月29日のコラムの冒頭に書いた文です。

 

かし、なぜ、このようにインフルエンザが流行するのかについての確かな情報は得られていません。多くは仮説の域を脱していないようです。そもそもインフルエンザは、どのようにして人から人へと感染していくのでしょうか。

 

インフルエンザは、安くて便利を志向し、公共心が乏しく、自己中心的、目先の損得勘定に走りがちで、なおかつ無知に加えて傲慢な大衆が増加するほど流行する感染症です。

 

 

Q5.ワクチンは万全な予防対策か?

ワクチンには予防効果があります。このワクチンを打っても、インフルにかかることはあります。しかし、重症化を防ぐことがより大切です。

 

日本全体では、毎年多くの人がインフルエンザに関連した原因で亡くなっています。そのような重症化を防ぐために、ワクチン接種は積極的にすすめています。しかし、「打ったから、かからない」と、その効果を過信して、日常での感染予防対策を忘れないで励行することも大切です。

 

 

Q6.インフル迅速検査キットがないとインフルの治療はできないか?

インフルの診断は問診および臨床症状・徴候と診察のみで診断可能です。このような問い合わせが殺到する背景は、経験ある臨床医の技術に対する世間様の信頼が著しく低いことの表れだと思います。

 

当院では、インフル迅速検査キットを採用しておりません。

 

その理由は、検査の感度が不十分で、インフル患者でも陰性の結果を出してしまうと、保険診療で抗インフル薬を処方できなくなるからです。それは、当院のホームページにも掲載していますが、相変わらず電話での問い合わせが多くで難儀いたしております。

 

インフルの流行のピーク時にワクチンの接種を希望される方と同様に、無知な方々が多く、結論を決めつけていて、専門的な立場からの説明に耳を傾けようともされないので仕方がありません。医師である私よりも窓口を担当している職員が、とても残念に感じている現状です。

 

患者さんがインフルの迅速検査を希望したら、無条件に引き受けてしまう無責任な医師が大半を占めています。愚かで頑固でパワフル・傲慢な患者を説得することは骨の折れることであるにせよ、プロフェッショナルの一人として実に嘆かわしいご時世です。このようなことで、患者(顧客)満足度をあげ、収益増加をはかることは医師の職業倫理に反することです。

 

 

今回のまとめ:

「第三のバカの壁」は、無知・傲慢のバカの壁、ということでした。賢い人ほど謙虚で柔和、愚かな人ほど強情で傲慢、この責任は、一般人や医療従事者よりも、国民教育の在り方にこそあります。

内科Ⅱ(循環器・腎臓・老年医学)

 

日本腎臓病学会のHPには、有益情報が満載されています。

 

そこで今回から、テーマは腎臓内科の慢性腎臓病(CKD)です。

 

「エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2018」を紹介します。

最後に、杉並国際クリニックからのコメントを加えました。

 

 

慢性腎臓病(CKD)とは、何らかの腎障害が3ヶ月以上持続する場合と定義されています。症状が出現することはほとんどないため、永らく見落とされてきた新たな国民病であり、多くの皆様に関わってくる病気です。蛋白尿や腎機能異常(eGFRの測定)により診断されます。

 

少し専門的で難しい部分もあるので、全てを理解する必要はありませんが、CQ2とCQ4は知っておくと良いと思います。私のコメントを読んでください。

 

 

第1章    CKDの診断と意義

 

CQ 1-1 

CKDはどのように診断されるのですか?

 

A

推奨 CKDの定義は以下の通りであり,①,②のいずれか,または両方が3カ月以上持続することで診断します。

 

 

① 尿異常,画像診断,血液,病理で腎障害の存在が明らか,特に0.15 g/gCr以上の蛋白尿(30 mg/ gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要.

 

②糸球体濾過率(GFR)<60 mL/分/1.73 ㎥ 

 

なおGFRは日常診療では血清Cr値,性別,年齢から日本人のGFR推算式を用いて算出します。  

 

eGFRcreat(mL/分/1.73 m2)= 194×血清Cr(mg/dL) -1.094×年齢(歳) -0.287  

女性の場合には×0.739

 

注:酵素法で測定されたCr値(少数点以下2桁表記)を用いる.18歳以上に適用します。

 

 

CQ 1-2 

CKDの重症度はどのように評価するのですか?

 

A

推奨  CKDの重症度は,原疾患(Cause),腎機能(GFR),蛋白尿・アルブミン尿(Albuminuria)に基づく CGA分類で評価します A 1 .

 

CQ 2 

尿蛋白1+以上の健診受診者は医療機関への受診が推奨されるか?

 

A

推奨  健診受診時に尿蛋白1+以上の受診者は-や±の受診者と比べてESKDに至るリスクのみならず, 心血管死や総死亡のリスクも高いことが示されています。医療機関での診療を受けることにより,これらのリスクを軽減できる可能性があるため受診が推奨されます。 

 

 

CQ 3 

65歳以上の健診受診者でeGFR 45未満の場合,医療機関への受診が推奨されますか?

 

A

推奨  65歳以上であってもeGFRが45より低値では,総死亡およびESKDのリスクが上昇することから,eGFR 45未満の場合には腎臓専門医・専門医療機関への受診が推奨されます。 B 1 .

 

 

CQ 4 

特定健康診査(メタボ健診)においてアルブミン尿・蛋白尿検査は推奨されるますか?

 

A

推奨  メタボ健診においてアルブミン尿・蛋白尿陽性者は全死亡, CVD発症,腎機能低下の高リスク群であるため,アルブミン尿・蛋白尿検査を行うよう推奨します .

 

 

 

杉並国際クリニックからのコメント

高円寺南診療所開設の初期から、初診時には尿検査を行ってきました。採尿用の紙コップに尿を採っていただければ、簡単に蛋白尿を調べることができます。

杉並区の健診などにも基本的な検査項目に含まれています。この検査は、半定量法といって、アナログ数値ではなく、

「ー ± + ⧺・・・」

で評価します。

 

なお測定対象は尿蛋白であり、尿アルブミンではありません。アルブミンは蛋白の主要な成分の一つです。

 

CQ-2の回答では<健診受診時に尿蛋白1+以上の受診者は-や±の受診者と比べてESKDに至るリスクのみならず, 心血管死や総死亡のリスクも高いことが示されています。>と説明しているとおり、健診受診時に尿蛋白1+以上であれば、再検査することをお勧めします。

そして、その際には、より厳密な方法で、尿中のタンパク濃度のみならずアルブミン濃度の数値データを得ることが大切です。

 

またCQ-4は、特定健康診査(メタボ健診)におけるアルブミン尿・蛋白尿検査の必要性についてですが、回答では<アルブミン尿・蛋白尿陽性者は全死亡, CVD発症,腎機能低下の高リスク群>であることを説明しています。国民的な広がりを持つのがCKDであり、しかも、初期には症状に乏しいために、見落とされがちなので、特定健康診査(メタボ健診)においてアルブミン尿・蛋白尿検査を実施することは、受診者にとってCKDの早期診断のために価値のあるものだと思います。

日本消化器病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、「患者さんとご家族のためのガイド」が公開されていますので、ご参考になさってください。

 

規定により直ちに転載できませんので、「消化性潰瘍」の概要を紹介し、コメントを加えることにしました。

 

 

Q6 

消化性潰瘍の治療は、どうするのでしょうか?

 

Q6-1

消化性潰瘍は、お薬でなおせるのですか?

 

A6-1 

基本的には内服薬による治療を行います。

胃酸の分泌を抑える薬、胃粘膜の防御機能を高める薬など、

 

 

Q6-2 

消化性潰瘍は、治療をはじめてどのくらいの期間で治せますか?

 

A6-2

通常、薬を始めてから6~8週間で潰瘍は治癒します。

しかし、日常生活全般の改善を図らないと、再発します。

 

Q6-3 

消化性潰瘍は、再発することがあるとのことですが、再発を防ぐにはどのようなことに注意したらよいですか?

 

A6-3

暴飲暴食を避けるなどの食事上の注意や、喫煙やアルコールを控える、ストレス解消に努める、などはよく心がけてください。ヘリコバクター・ピロリ菌に感染していると消化性潰瘍がいったん治っても再発し易いこと、がんの原因になり易いことなどが知られています。

このため、ピロリ菌が見つかった場合には、適切なタイミングで除菌治療を受けることをお勧めします。

 

また、他の病気の治療のために投与される非ステロイド性抗炎症薬やアスピリンなどは、消化性潰瘍の原因になりえます。主治医とともに、なるべく、これらの薬物を減量できるような工夫をはじめましょう。

 

最近はかなり減りましたが、消化性潰瘍の合併症として穿孔(潰瘍が深くなって胃や十二指腸の壁に穴が開いてしまうことで、腹膜炎を発症します)や吐血などがあります。消化性潰瘍の再発防止はとても大切です。