最新の臨床医学 2月25日(月)内科Ⅰ(消化器・肝臓)

日本消化器病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、「患者さんとご家族のためのガイド」が公開されていますので、ご参考になさってください。

 

規定により直ちに転載できませんので、「消化性潰瘍」の概要を紹介し、コメントを加えることにしました。

 

 

Q7 

ピロリ菌の除菌治療は、どうするのでしょうか?

 

Q7-1

ピロリ菌の除菌治療は、どんなお薬を使うのですか?

 

A7-1

最初の治療は、胃酸分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬またはカルシウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)と2種類の抗生物質(アモキシシリン、クラリスロマイシン)を7日間内服します。これらの3種類の薬がパックになった製剤があり、内服を忘れないために便利です。

 

ただし、除菌の成功率は70~90%程度で、失敗の理由としては、①きちんと薬を服用できていなかった場合、②抗生物質が効かない場合(近年では、クラリスロマイシンが効かない耐性菌が増えていることが懸念されています。)

 

なお、除菌治療がある程度成功したように自覚できる場合であっても、ピロリ菌が残っていると、いずれ潰瘍が再発するおそれがあります。そのため、除菌の成否を確認することが重要です。もっとも正確な除菌判定法は尿素呼気試験ですが、プロトンポンプ阻害薬の影響を受けるために、この方法での除菌判定は、プロトンポンプ阻害薬の内服終了から4週間以降に行います。

 

杉並国際クリニック(高円寺南診療所改め)では、ピロリ菌感染の診断には、プロトンポンプ阻害薬の影響を受けず、検査法も煩雑ではない血中抗体検査でピロリ菌除菌後の評価を行っています。検査の結果、1回目の治療で除菌できない場合は、お薬を少し変更して二次除菌を行います。

 

Q7-2

ピロリ菌の二次除菌とは、どんな治療ですか?

 

A7-2 

1回目の除菌が成功しなかった場合に、お薬を替えて行う2回目の除菌療法を二次除菌と呼びます。二次除菌は、プロトンポンプ阻害薬またはP-CAB・アモキシシリン・メトロニダゾールを7日間服用します。

 

二次除菌の際に気をつけるべきこととして、メトロニダゾールの服用時はお酒を飲むことが禁じられています。

 

二次除菌の成功率は約90%であるため、2回の除菌により約97%の人は除菌に成功します。

 

 

Q7-3

二次除菌に失敗した後にも治療できるのですか?

 

A7-3 

二次除菌に失敗しても三次除菌を行うことはできます。しかし、三次除菌は保険診療では行えないため、自費での治療となります。除菌治療による副作用の多くは軽い軟便程度ですが、薬疹や重い下痢が見られた場合は、速やかに主治医に相談するようにしましょう。一度、除菌が成功すれば、ピロリ菌の再感染はまれであり、除菌後にピロリ菌が再陽性となるのは、年間0~2%程度とされています。