最新の臨床医学 2月24日(日)心療内科についてのQ&A

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

大学病院の心療内科のHPを紹介しております。

 

まずは、東北大学心療内科です。

 

<杉並国際クリニックの立場から>でコメントを加えることにしました。

 

東北大学付属病院のホームページから

 

心療内科のご案内

 

対象疾患と診療内容

 

消化器疾患 (その3)

治療法としても、薬物療法だけでなく、自律訓練法、交流分析法、認知行動療法、絶食療法を行っています。東北大学病院心療内科の機能性消化管障害に関する診療・研究レベルは世界的に高い評価を得ています。

 

機能性消化管障害に似ていますが、明瞭な消化管運動異常を示す疾患群には消化管機能検査が必要です。この消化管運動異常症の代表は、【慢性偽性腸閉塞(CIPO)】や【重症便秘】などの小腸・大腸運動異常、【ガストロパレーシス】などの胃運動障害、【食道アカラシア】や【膠原病による食道運動障害】などの食道運動異常などです(図2)。治療は、食道アカラシアに対しては、バルーンを用いた食道拡張術を施行しています。これらの疾患群の根本には筋層間神経叢変性などがありますので、外科、内科各科、総合病院と連携します。

 

 

<杉並国際クリニックの立場から>

<東北大学病院心療内科の機能性消化管障害に関する診療・研究レベルは世界的に高い評価を得ています。>その通りです。消化器内科や心療内科の指導医・専門医で、これを疑問視する人は皆無だと思います。

 

たしかに、消化管運動異常症としては、【重症便秘】などの小腸・大腸運動異常、【ガストロパレーシス】などの胃運動障害、等が代表的疾患であり、東北大学病院心療内科の得意分野であると思われます。

 

ただし、【慢性偽性腸閉塞(CIPO)】、【食道アカラシア】や【膠原病による食道運動障害】などの食道運動異常は、消化器内科の専門領域ではあっても、心療内科の領域であるとは考えにくいです。

 

ここでは、心療内科が取り組む小腸・大腸運動異常による【重症便秘】について概説することにします。これは、慢性便秘(症)の分類に当てはまらない便秘症です。症状として排便困難感や残便感を訴えるが、大腸通過時間検査や排便造影検査等による精査を行っても異常を認めず、大腸や直腸内に非生理的な便の貯留を認めない状態です。

 

「慢性便秘症診療ガイドライン2017」に準拠して原因、症状ならびに病態から慢性便秘を考える消化器内科医の定義と分類からすれば、真の便秘症ではないこととされてしまう可能性があります。しかしながら、便秘とは、量的にも質的にも生理的排便ができない状態です。したがって、毎日排便があっても、その排便がスムーズでなく不快であれば、便秘であることには変わりがないはずです。

 

排便することに反復的・持続的な思考や衝動を持ってしまう排便強迫性障害(排便強迫神経症)であると考えられます。背景としては、過去に排便に関する辛い経験をしたことがある人に発症することが多いようです。

 

便秘の重症度

便秘の重症度は、過去1週間を振り返って便秘の症状がどうであったかを記録した。便秘の症状については、下記の5段階で評価した。

 

0:なし(便秘の症状が全くない)

 

1:軽度(便秘の症状がほんのわずかある)

 

2:中程度(便秘ではあるが、便秘の症状は強くない)

 

3:重度(便秘が強く排便が困難である、またはトイレに行ってもわずかな

排便感しかない)

 

4:きわめて重度(頑固な便秘、排便がほとんどない、またはトイレに行って

もほとんど排便感がない)