診察室から 2月17日 インフルエンザは「バカの壁?」3/4

「安くて便利、良心的というキャッチは、多くの皆様方にとっては魅力的なようですが、多くの消費者にとっては落とし穴であることが多く私は常に警戒しています。」これは、1月29日のコラムの冒頭に書いた文です。

 

かし、なぜ、このようにインフルエンザが流行するのかについての確かな情報は得られていません。多くは仮説の域を脱していないようです。そもそもインフルエンザは、どのようにして人から人へと感染していくのでしょうか。

 

インフルエンザは、安くて便利を志向し、公共心が乏しく、自己中心的、目先の損得勘定に走りがちで、なおかつ無知に加えて傲慢な大衆が増加するほど流行する感染症です。

 

 

Q5.ワクチンは万全な予防対策か?

ワクチンには予防効果があります。このワクチンを打っても、インフルにかかることはあります。しかし、重症化を防ぐことがより大切です。

 

日本全体では、毎年多くの人がインフルエンザに関連した原因で亡くなっています。そのような重症化を防ぐために、ワクチン接種は積極的にすすめています。しかし、「打ったから、かからない」と、その効果を過信して、日常での感染予防対策を忘れないで励行することも大切です。

 

 

Q6.インフル迅速検査キットがないとインフルの治療はできないか?

インフルの診断は問診および臨床症状・徴候と診察のみで診断可能です。このような問い合わせが殺到する背景は、経験ある臨床医の技術に対する世間様の信頼が著しく低いことの表れだと思います。

 

当院では、インフル迅速検査キットを採用しておりません。

 

その理由は、検査の感度が不十分で、インフル患者でも陰性の結果を出してしまうと、保険診療で抗インフル薬を処方できなくなるからです。それは、当院のホームページにも掲載していますが、相変わらず電話での問い合わせが多くで難儀いたしております。

 

インフルの流行のピーク時にワクチンの接種を希望される方と同様に、無知な方々が多く、結論を決めつけていて、専門的な立場からの説明に耳を傾けようともされないので仕方がありません。医師である私よりも窓口を担当している職員が、とても残念に感じている現状です。

 

患者さんがインフルの迅速検査を希望したら、無条件に引き受けてしまう無責任な医師が大半を占めています。愚かで頑固でパワフル・傲慢な患者を説得することは骨の折れることであるにせよ、プロフェッショナルの一人として実に嘆かわしいご時世です。このようなことで、患者(顧客)満足度をあげ、収益増加をはかることは医師の職業倫理に反することです。

 

 

今回のまとめ:

「第三のバカの壁」は、無知・傲慢のバカの壁、ということでした。賢い人ほど謙虚で柔和、愚かな人ほど強情で傲慢、この責任は、一般人や医療従事者よりも、国民教育の在り方にこそあります。