最新の臨床医学 2月1日(金)アレルギーの病気についてQ&A

アレルギー

 

 

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会の

ホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

 

最後に杉並国際クリニックからのメッセージを加えています。

 

 

Q4 

重症薬疹とは?

 

A

重症薬疹とは、生命に関わる重篤な薬疹をさし、その代表としてスティーブンス-ジョンソン症候群(SJS)、中毒性表皮壊死症(TEN)、薬剤性過敏症症候群(DIHS)があります。いずれも高熱や肝障害などの多臓器障害を伴うことが多く、SJSやTENでは、眼や口唇・口腔粘膜の炎症と皮膚の紅斑、水疱が特徴的です。SJSは、粘膜症状、特に眼瞼結膜の充血、めやに、唇や口腔粘膜のただれ、出血が目立ちます。

 

TENは、SJSより皮膚症状が著しく、体の広い範囲に紅斑や水疱がみられ、皮膚の表面(表皮)が壊死をおこしているために、赤くなった皮膚を擦るだけで剥けてしまいます。SJSやTENでは後遺症として失明などの視力障害などの眼の障害や呼吸器障害がみられることがあります。

 

重症薬疹では、軽症の場合と異なり、原因薬物を中止しても悪化してしまう傾向があり、緊急入院が必要です。(実際の症例については、厚生労働省 重篤副作用疾患対応マニュアル 参照)

 

 

杉並国際クリニックからのメッセ―ジ

厚生労働省 重篤副作用疾患対応マニュアル を参照してみると、重症薬疹は重大な副作用(有害反応)の症状リストでは、感覚器の中に分類されています。たしかに皮膚は、表在感覚(温冷覚、痛覚、触覚、圧覚)などの受容体をもつ感覚器なのです。

 

それでは、感覚器に生じる重大な副作用をリストしてみます。

 

角膜混濁、急性汎発性発疹性膿胞症、スティ-ブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)、中毒性表皮壊死症(中毒性表皮壊死融解症)、手足症候群、網膜・視覚障害、緑内障

 

これらの中で、重症薬疹に相当するのは、急性汎発性発疹性膿胞症、スティ-ブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)、中毒性表皮壊死症(中毒性表皮壊死融解症)ということになります。

 

急性汎発性発疹性膿胞症の症状は、皮膚の広い範囲で発赤、発赤した皮膚上に白い小膿胞、などの皮疹の他に、高熱(38℃以上)、全身倦怠感、食欲不振などの症状が持続・急激に悪化します。

 

スティ-ブンス・ジョンソン症候群(SJS:皮膚粘膜眼症候群)の症状は、皮膚の広い範囲で発赤、唇や陰部のただれ、などの皮疹や粘膜疹の他に、眼の充血、目やに、眼瞼(まぶた)の腫れ、などの眼症状、喉の痛み、排尿・排便時の痛み、高熱(38℃以上)などの症状が持続・急激に悪化します。

 

中毒性表皮壊死症(TEN:中毒性表皮壊死融解症)の症状は、皮膚の広い範囲で発赤、眼の充血、唇のただれ、喉の痛み、高熱(38℃以上)などの症状が持続・急激に悪化します。

 

なお、薬剤性過敏症症候群(DIHS)は、重大な副作用(有害反応)の症状のリストでは全身症状に分類されています。DIHSの症状は、皮膚の広い範囲で発赤、喉の痛み、高熱(38℃以上)、食欲不振、全身倦怠感などの症状の他に、リンパ節の腫れなどの症状が持続・急激に悪化します。

 

以上、4種の重症薬疹の症状を比較してみると、皮膚の広い範囲で発赤、高熱(38℃以上)などの症状が持続・急激に悪化するというのが共通していることがわかります。

 

そのうえで、急性汎発性発疹性膿胞症であれば、赤した皮膚上に白い小膿胞といった特徴的な皮疹、 スティ-ブンス・ジョンソン症候群(SJS)であれば、皮疹の他に粘膜症状,唇や陰部のただれ、喉の痛み、排尿・排便時の痛み、などの粘膜症状、眼の充血、目やに、眼瞼(まぶた)の腫れ、などの眼症状の出現、薬剤性過敏症症候群(DIHS)であれば、リンパ節の腫れが特徴的な症状です。

 

ただし、中毒性表皮壊死症(TEN)の症状はスティ-ブンス・ジョンソン症候群(SJS)の症状と重なる部分が多いです。したがって、両者を臨床的に鑑別するためには目やに、眼瞼(まぶた)の腫れの他に、排尿・排便時の痛み、などの症状の有無を確認し、それらがみられればSJSを疑うことになるでしょう。