最新の臨床医学 1月9日(水)内科Ⅲ(糖尿病・内分泌・血液・神経)

Q1-2 高血糖をどのように判定するか?

 

【要点】

  • 空腹時血糖値、75gOGTT2時間値の組み合わせにより、正常、境界型、糖尿病型のいずれかを判定する。

 

  • 空腹時血糖100~109mg/dLの場合、正常域の中で正常高値とする。

 

  • 糖尿病疑い、境界型、空腹時血糖が正常高値、HbA1c5.6%以上の患者や、

肥満や脂質異常症の患者、家族歴が濃厚な患者に対しては、積極的にOGTTの施行を検討する。

 

  • POCT(point of care testing)機器によるHbA1cの測定値は、現時点で診断に用いないものとする。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

このガイドラインは、理論的には参考すべきですが、実際的ではありません。

 

空腹時血糖値の測定だけならまだしも、75gOGTT2時間値の測定などは、なかなか日常的に行えるものではないからです。

 

そもそも75gOGTTとは、75gのブドウ糖を摂取して血糖値等を検査する負荷試験です。実施のためには患者さんがルールを順守してくださることが前提ですが、それがなかなか難しいのです。その理由は以下の手順を読んでいただければわかると思います。下線部は脱落しやすいルールです。

 

実施の手順として

①糖質を150g以上含む食事を3日以上摂取、

②10~14時間の絶食、

③採血して血糖値(空腹時血糖値)を測定する

④早朝空腹時に75gブドウ糖を含む250~350mLの溶液を5分以内で服用、

⑤服用後30~60分おきに採血して血糖値を測定する。検査中は禁煙とする。

 

あなたは、これらをすべてクリアできる自信がありますか。

これができるような方は、糖尿病タイプの方には少ないと思います。

 

なおガイドラインは

<空腹時と2時間値の測定は必須で、臨床の場では途中時点の血糖値や尿糖も調べるのが望ましい。>

<可能であれば空腹時と30分後のインスリン値を測定して、初期インスリン反応を調べる。>

としていますが、患者さんに以上のような負担を掛けておいて、それを調べないのは理不尽な話です。

 

しかし、実際にそこまで検査すると保険請求で却下され、医療機関にとっても大きな痛手となります。