ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。
骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。
それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。
Q5
「炭酸飲料や酢を飲むと骨が溶ける」と聞きましたが本当ですか
A
炭酸飲料の飲用が直接骨に影響を及ぼすことはありません。しかし、1日に多量の炭酸飲料等を飲んでいると、糖分のとりすぎのほか、肝心な1日3度の食事がおろそかになりがちです。
また、毎日酢を飲んだとしても、骨は溶けません。食材としての酢は酸性で、料理などで、魚の骨を軟らかくするために酢を利用することはありますが、体の中ではカルシウムの吸収を助ける作用があります。食物に含まれるカルシウムは、胃に入ると胃液(胃酸)によって溶けて、吸収しやすい状態になりますが、酢は胃酸の分泌を促す効果もあり、カルシウムの吸収に効果的に働いていると考えられます。
【杉並国際クリニックからのコメント】
炭酸飲料や酢を飲んで溶けるのは骨ではなく歯です。
歯や骨はリン酸カルシウムやリン酸マグネシウムが主な成分となっています。これらは酸に溶ける性質を持っており、酸を含んだ液体に長時間つけておくと溶け出すのは当然の現象なのです。コカ・コーラをはじめ清涼飲料水にも酸味料が含まれていますが、人間の骨に直接触れたりはしません。ですから、骨が直接溶けることはありません。
しかし、歯は炭酸飲料が直接口腔内で触れます。歯の表面のエナメル質はヒドロキシアパタイトという物質で、主成分はリン酸カルシウムです。pH5.5以下の酸性環境では脱灰といって、溶けてリン酸イオンやカルシウムイオンが漏れ出します。
たとえば、コーラのpHは2.2なので、歯を溶かすことになります。胃酸のpHが1〜2にたいし、レモン2.1、コーラ2.2、栄養ドリンク2.5、グレープフルーツ3.2、スポーツドリンク3.5、ヨーグルト4.1、ビール4.3、缶コーヒー6.2等々です。pH(ペーハー)とは酸性の強さを示し、この値が小さいほど強力な酸であり、7に近いほど中性であることを示しています。
コーラを飲んで歯が脱灰している時に歯磨きすると不可逆的に歯が削れてしまいます。だからコーラなどのpHの低いものを飲んだら30分以上は間をあけた方が良いという説があるようです。時間をあけるとなぜ良いのかという根拠は、時間が経過すると口腔内のpHが5.5以上に戻るので、度溶けたリン酸イオンやカルシウムイオンが再びエナメル質に取り込まれて再石灰化が起こり元の状態に戻るからです。
コーラだけでなく普通に食事をするとエナメル質の脱灰が起こるから食後すぐには歯磨きをしないほうが良い、もしくは水でよくすすいでから歯磨きしましょうということになりそうです。