ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。
骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。
最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。
しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。
骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。
それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。
Q
母乳で子育てをすると骨粗鬆症になりやすいのですか?
先日、骨粗鬆症と診断されました。
出産後に母乳を長く与えていたのが原因でしょうか
A
出産後に母乳を長期間与えていても、骨粗鬆症にはなりません。母乳をよく与えた方が、むしろ骨粗鬆症になりにくいとの考えが一般的です。
最近の研究では、妊娠期にはカルシウムの吸収・利用が良くなることや、授乳期にカルシウムを多く摂取してもいったん骨量は減少しますが、授乳終了後約6ヵ月で元に戻ることが分かりました。
そのため、「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では妊婦・授乳婦のカルシウム付加量がなくなり、「目安量(700mg/日)を目指して摂取することが勧められる」「妊娠中毒症等の胎盤機能低下がある場合は積極的なカルシウム摂取が必要である」としています。
平成18年の「国民健康・栄養調査」によると20-39歳の女性のカルシウム摂取量は476mg/日しかありません。18-49歳女性のカルシウム摂取目標量は600mg/日ですので、明らかに摂取量が不足しています。
妊娠・授乳中には700mg/日のカルシウム摂取が勧められていますので、妊娠・授乳を機会に十分なカルシウムをとるよう心がけましょう。ちなみにカルシウムの上限量は2300mg/日ですので、通常の食事で上回ることはありません。
【高円寺南診療所からのコメント】
この質問者には、感謝です。全くの盲点でした。乳児にとって母乳栄養のメリットが大きいことは理解していましたが、母体の側の健康については十分に理解していなかったからです。
このような質問に対して、
「母乳育児が終ったら急激に骨が強くなることがわかっており、さらに母乳育児は骨粗鬆症を防ぐという報告もあります。(順天堂大学医学部付属静岡病院2011年夏号より)」という回答があります。
ああ、そうなんですか。というくらいあっさりしていて結論は解り易いのですが、今一つメカニズムがわかりにくいです。
そこで、新潟市民病院患者総合支援センター(スワンプラザ)長/産科部長 倉林工 先生の以下のレポートを引用して妊娠後骨粗鬆症(post-pregnancy osteoporosis)について触れておきたいと思います。
特集 女性のライフサイクルと骨・カルシウム代謝 Seminar
妊娠後骨粗鬆症の病態・診断・治療
ただ妊娠後骨粗鬆症は,原因が不明で稀な病態です。逆の見方をするならば、ほとんどの女性は妊娠に直接的に起因する骨粗鬆症は起こらないことを意味します。授乳開始前にすでに骨粗鬆症になっているケースはまれなので、授乳のみが原因で骨粗鬆症になることがあるのか、ということが課題になります。
妊娠後骨粗鬆症は初産婦に多く,妊娠後期や産褥の授乳中に発症します。脊椎骨折による持続する激しい痛みと行動制限を伴うことが多いようです。その診断には,骨折がなければdual energy X-ray absorptiometry(DXA)による腰椎や大腿骨頸部の骨密度(BMD)測定が最も有用な方法です。骨折の診断には、古典的な椎体X線像が多くの場合使用されるが,magnetic resonance(MR)は妊娠中も安全に使用可能で,椎体骨折や骨髄浮腫の診断にも有用です。
骨吸収は妊娠後期と授乳期に亢進するが,産褥期の授乳中止後に骨形成が亢進し,骨構造もほとんど回復します。
薬物療法の有用性が確立せず,また妊娠や断乳後に骨量や骨強度が回復するため,現時点では妊娠後骨粗鬆症に対して薬物療法が必要かどうか不明です。
いずれにせよ、産褥期の授乳中止後に骨形成が亢進し,骨構造もほとんど回復するということが質問に対する回答のポイントだと思います。
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