最新の臨床医学 11月29日(木)骨粗鬆症についてQ&A

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。

 

最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。

 

骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 

Q

80歳の人の骨折が治ったという話しを聞きましたが、高齢者でも骨量は回復するのでしょうか

 

A

骨折の場合、折れた部分に新しい骨がつくられることで治ります。

 

80歳になってもその働きは変わりませんが、高齢の方は、古い骨を壊す作用(破骨吸収)が、新しい骨をつくる作用(造骨)を上回ってしまうため、骨粗鬆症になってしまうことが多いのです。

 

しかし、骨吸収を抑える薬や、骨の形成を促進する薬を使えば骨量は増えますし、カルシウムを充分にとり、適度な運動をすることも重要です。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

質問に対するまっすぐな回答は、高齢者でも条件次第で骨量を増やすことができる、ということです。

 

それに対して、回答者は、

<骨折の場合、折れた部分に新しい骨がつくられることで治ります。>というコメントから始めることによって、人は生涯にわたって、骨折治癒能力を持つことを示唆しています。

 

それは80歳の高齢者でも骨折は治癒することは例外的な現象ではないということです。

 

そして、回答者は、まず骨折治癒のメカニズムから説明することによって、骨量増加との関係性に言及しています。

 

つまり、<骨折の場合、折れた部分に新しい骨がつくられることで治ります。>と解説しているように、骨折の治癒は新しい骨を作ること(造骨)によって行われるというメカニズムを説明し、そのうえで、高齢者特有の問題点を指摘しています。

 

<高齢の方は、古い骨を壊す作用(破骨吸収)が、新しい骨をつくる作用(造骨)を上回ってしまう>ということです。

 

こうした高齢者の骨代謝の生理的メカニズムを知ることによって、具体的な対策のための2つの根拠が得られます。

 

それは

①骨吸収を抑えること、

②骨の形成を促進すること、

です。

 

<骨吸収を抑える薬や、骨の形成を促進する薬を使えば骨量は増えます>

ここで、一点気になることは、回答者の治療戦略の優先順位です。

 

まず、薬ありき、つまり、薬物療法を主体におく価値観です。

 

<カルシウムを充分にとり、適度な運動をすることも・・・>という表現には、食事療法や運動療法が補助的あるいは副次的な位置づけであることが伺われます。

 

たしかに高齢者、特に高齢女性は、加齢に伴う骨量現象が男性より顕著です。しかし、男性高齢者を含めて、薬物を使用する必要があるかどうかは、個人差があるため、一般論として薬物療法を最初に置くことには疑問を感じます。

 

このような価値観を、多くの医師が持っているため、薬物療法至上主義、という正規の医学教育による洗脳を受けがちであることは、残念なことです。

 

<カルシウムを充分にとり、適度な運動をすることも重要です。>

一番大切なことは、生活のリズムを整えることです。

 

高齢者の多くは、早寝早起き型になる傾向がありますが、これは骨代謝のためには望ましいことです。

 

しかし、実際には、高齢になっても現役で生産的な活動に従事している人が増えてきたという望ましい傾向がある反面、夜型で夜更かしや朝寝坊のため運動不足の方が増えていることが問題になります。

 

望ましい生活のリズムに近づけていくことなしには、薬物療法はおろか、食事療法や運動療法も十分には奏功しません。

 

また、<カルシウムを充分にとり、適度な運動をする>ことの具体的な指導は、生活リズムの是正に次いで需要な事項です。

 

しかし、この大切な事項に対して、わが国の専門医や一般の保険医のほとんどが、主食や主菜はおろか、副菜ですらない、付け合わせのような記載に終始してしまうことは、非常に残念なことです。

 

あたかも食事は栄養士任せ、運動は理学療法士任せ、医師の主たる業務の埒外である、という雰囲気が医療界に漂っていることは紛れもない現実で、とても残念なことです。

 

高円寺南診療所で、なぜ水氣道が誕生し、現在も発展を続けている理由がここにあります。