最新の臨床医学 11月1日(木)関節リウマチについてQ&A

ここで掲載する内容は、アステラス製薬提供の患者さん・ご家族の皆さまなるほど病気ガイドから引用したものです。

 

関節リウマチについてわかりやすい解説をしています。

 

HPで確認することができます。

 

関節リウマチは、免疫の異常により関節の腫れや痛みを生じ、それが続くと関節の変形をきたす病気です。

 

関節リウマチを治療することで、炎症や痛みを最小限に抑え、毎日の生活を快適にすることができます。

 

現在と将来の生活の質を保っていくためにも、病院・診療所を受診し、きちんと治療を受けましょう。

 

監修医:東邦大学医学部医学科 内科学講座膠原病学分野 川合 眞一 先生

 

 

解り易い解説であること、日本リウマチ学会では一般患者向けQ&Aが掲載されていないため、これを採り上げました。

 

ただし、記述内容が古いままで改訂されていないため、それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 

関節リウマチ患者の将来について②

 

Q

関節リウマチは、治らない病気なのですか?

 

一生治療を続けなければならないのですか?

 

A

もともと、関節リウマチの患者さんの10~30%は、自然に症状のない状態(寛解)になると言われていました。それが、治療法の進歩により、寛解になる患者さんがさらに増えてきています。

 

関節リウマチは、以前でも10%から30%の患者さんでは寛解が進んで治ったともいえる状態になると言われていました。しかし、最近では治療法の進歩により、まず薬を使いながら寛解を続けられる方が加わってきました。さらに、薬を止めても寛解が続く患者さんの率も確実に増えてきています。

 

従って、薬を使って寛解の状態が何年も続いていれば、主治医と相談して服薬をやめて様子をみることもできます。ただし、その場合は残念ながら再燃する患者さんもいらっしゃいますので、まずは症状のない状態を続けられるよう、しっかりと治療を続けていくことが大切です。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

 

質問1)

関節リウマチは、治らない病気か?

 

 

これは、“治る”という言葉がどのような意味で使われているかによって答えが違ってきます。

 

まず、関節リウマチは治療によって“治る”という言葉を専門医は滅多に使いません。そのかわりに“寛解”という言葉を頻繁に使います。

 

そして、この“寛解”自体にも複数の種類があります。

 

 

関節リウマチの治療目標は、患者さんの生命予後(寿命の確保)とQOL(生活の質)を含めた長期予後を改善することとされます。

 

とくに関節リウマチに関連する臨床症状がみられず、関節リウマチによる関節破壊などの臓器障害や身体機能障害のリスクがほとんどないと考えられる状態を臨床的寛解とよびます。

 

もしリウマチ専門医が“治った”という言葉を使ったとしたら、それは、その患者さんが少なくとも「機能的寛解」(身体機能の低下のない状態)もしくは、「臨床的寛解」に至っている場合だろうと思われます。

 

その割合は、日常診療でも関節リウマチ患者の約6割が臨床的寛解に到達し、実際に、この臨床的寛解を現実的な目標としています。

 

臨床的寛解のなかでも高感度画像検査で滑膜炎を認めず、X線検査で関節破壊の進行が停止していることの裏付けがあれば、完全寛解(真の寛解)と見なされます。

 

これが、10ないし30%程度は期待できます。さらに抗リウマチ薬を使用しなくても、再発や再燃をせずに済む状態に到達できる場合もあります。これが、10%程度は期待できます。

 

そもそも関節リウマチ治療には4本柱があります。

 

それは患者教育、薬物治療、リハビリテーション、手術療法があります。

 

高円寺南診療所では、早期発見・早期治療例が多数であり、患者教育とリハビリテーション(鍼灸治療、水氣道)に力をいれているためか、およそ25%程度は“治る”といえそうです。

 

 

質問2)

関節リウマチは、一生治療を続けなければならないのか?

 

 

これも“治療”の意味する内容によって違った答えになります。

 

関節リウマチ治療の4本柱のうち、まず手術療法が一生続くというのは、最近では滅多にありません。

 

次に薬物療法ですが、少なくとも10%程度はお薬が不要になります。

 

そこで、残る2つの柱である患者教育、リハビリテーションについては、ある意味で一生続けるべきであると考えます。

 

ある意味、というのは、治療を“養生と鍛錬”という言葉に置き換えた場合です。

 

これは、超高齢社会を迎えた現在、フレイルやロコモ対策は、関節リウマチに限らず、全ての人にとって一生心がけるべき課題ではないでしょうか。

 

つまり、関節リウマチの患者さんが特別ではないということになります。

 

生涯エクササイズとして開発してきた水氣道は、“養生であると同時に鍛錬”であり、患者教育も併せ行っています。ですから、水氣道は関節リウマチのリハビリテーションに適しているばかりでなく、フレイルやロコモ対策にも通じています。

 

なお治療目標の達成には、早期診断と早期治療、短期的目標である臨床的寛解に到達するための疾患活動性の評価とそれによる治療の適正化が重要です。

 

病初期より、定期的に罹患関節および関節リウマチにおける高頻度罹患関節の単純エックス線画像を残し、比較読影により関節破壊の進行を把握しておくことはとても有益です。

 

エックス線検査は、関節リウマチの治療モニタリングに有用ですが、滑膜炎の活動性の乏しい状態である「臨床的寛解」と、それにより達成される身体機能の低下のない状態「機能的寛解」の維持が大きな目標となります。

 

また、単純エックス線上の関節破壊所見の程度が、身体機能の低下をよく反映することが知られています。つまり、単純エックス線上の関節破壊が進まない状態「構造的寛解」を維持することにより「機能的寛解」が維持される可能性が高いということです。

 

なお、近年、超音波検査(関節エコー)は、核磁気共鳴画像(MRI)とともに関節疾患の画像診断のスタンダードになりつつあります。

 

高円寺南診療所においては、この関節エコーがとても重宝しています。

 

関節エコ―のドプラー法は、単純エックス線検査では評価が困難である軟部組織の炎症を評価できるため、関節リウマチに特有な滑膜炎を検出することができるからです。