漢方治療一般に関しては
一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へのHPを検索してみてください。
ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。
ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。
これに対して、慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&Aは比較的上手にまとめられていると思います。
ただし、その記載は概ね一般的ではありますが、慶應義塾大学医学部漢方医学センター受診者を想定して書かれているようです。
そこで、高円寺南診療所の立場から、
<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてご紹介を試みることにしました。
Q
高血圧で漢方薬を飲み始めたので、西洋の降圧剤は止めてもいいですか
A
西洋の薬には、西洋の薬の良さ、効き所があります。漢方薬には、漢方薬の持ち味があります。
いきなり切り替えるのは賢明な方法とは言えません。漢方薬の効果が出始めれば、自然と西洋薬を調整できることもあります。
薬を飲むかどうか?を判断する場合には、かならず薬を出してくれている医師と相談して決めるべきもので、自己判断で中止することをしてはいけません。いきなり血圧が上がってしまうこともありますので、注意してください。
また、アトピー性皮膚炎の治療などでも、漢方で治療効果が出てくれば徐々にステロイド軟膏を減らすことができます。しかし、急に止めるとリバウンドを起こし、今まで悪くなかった個所まで悪化することもあります。うまく併用し、必要がなくなった時点で減量していくことが大切です。あせらずに医師とよく相談し、指示通り服薬してください。
<高円寺南診療所からのメッセージ>
質問者のように、医師に尋ねてくださる患者さんはありがたいです。
たいていは、自己判断で中止してトラブルを生じて来院されます。
この質問欄の回答者は、高血圧でなく、アトピー性皮膚炎の患者さんの例を敢えて参考までに挙げています。
おそらくアトピー性皮膚炎の漢方治療も得意としていらっしゃる先生であると同時に、相当なご苦労を経験されたのではないかと推測できます。
たとえば漢方薬処方により、患者さんが自分勝手にステロイド軟膏やその他の保湿などの基本的なスキンケアを中断させたとしましょう。
すると、リバウンドにより急激に皮膚症状が悪化しても不思議はありません。
しかし、そのような患者さんは、どのように考えるでしょうか。
病態を悪化させた原因が自分にあることが理解できず、「先生に処方してもらった漢方薬が合わなかった」、とか、「漢方の副作用ではないか」などの誤解を受けたことも少なくなかったのではないでしょうか。ご苦労をお察しいたします。
漢方治療の対象が高血圧症であれば、なおさら医師の指導責任と患者さんの自己管理責任は重大です。
回答者の先生は「漢方薬の効果が出始めれば、自然と西洋薬を調整できることもあります。」と書かれています。
全くその通りだと思います。また漢方薬は心身両面に効果を発揮するので、漢方薬により全体的な気分や体調をコントロールしてから、西洋薬の降圧剤を処方すると、少量で良く効くこともあり、副作用を減らすことも期待できます。
しかし、「西洋の薬でなく、漢方で」という患者さんには特に注意を要します。
高円寺南診療所では、患者さんのご要望は尊重しますが、柔軟な判断ができない頑なで頑固な方はお引き受けいたしかねます。
日本の漢方の専門医は、正規の西洋医学を修めた医師であり、両方の医学の利点と欠点を弁えたうえで、より望ましい処方を決定します。
漢方の専門医だということで、あらゆる病気を頑なに漢方薬だけで治そうとする一部の漢方専門医は、たとえ高名であっても真に患者の利益を考えているとは思えません。
<あらゆる病気を整体で治す>、と豪語する一部の非科学的で無知蒙昧な民間療法家と何ら変わるところはありません。
回答者の先生は、最後に「あせらずに医師とよく相談し、指示通り服薬してください。」と締めくくっております。
全くその通りです。そもそも、治療の効果について結果をあせるようなタイプの方は漢方治療に不向きだと思います。なぜなら、慢性疾患の漢方治療は、患者さんに生活指導、特に養生と鍛錬の指導を行いつつなされるべきものだからです。
<副作用の無い漢方薬で気管支喘息や狭心症を治して欲しい>というヘビースモーカーの方に安易に漢方薬を処方しても、ほとんど効果は期待できないことでしょう。
漢方薬はタバコの無い時代に発展し、体系化されてきたことの意味を良く理解していただければ、と思います。
最後に、代表的な高血圧関連の病態に処方されることの多い漢方薬をご紹介します。
高血圧といっても原因は千差万別であり、同じタイプの高血圧であっても、すべての人に効く漢方薬は存在しないことをご理解いただきたいと思います。
少なくとも、証(しょう)といって、患者さんの気質・体質に基づく薬への反応性の予測にしたがって、漢方薬を選択していくことが基本になっています。
高血圧症
実・熱証向け、8大柴胡湯、⒓柴胡加竜骨牡蛎湯、⒖黄連解毒湯、319大柴胡湯去大黄
虚実間・寒熱中等証向け、47釣藤散
虚・寒証向け、30真武湯
高血圧随伴症状(のぼせ、肩こりなど)
実・熱証向け、61桃核承気湯、62防風通聖散、105通導散、113三黄瀉心湯
虚(または中間)・寒(または中等)向け、46七物降下湯、311九味檳榔湯
ARCHIVE
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年9月
- 2023年7月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年9月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月