最新の臨床医学 10月6日(土)漢方治療についてのQ&A

漢方治療一般に関しては

 

一般社団法人 日本東洋医学会一般の方へのHPを検索してみてください。

 

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

これに対して、慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&Aは比較的上手にまとめられていると思います。

 

ただし、その記載は概ね一般的ではありますが、慶應義塾大学医学部漢方医学センター受診者を想定して書かれているようです。

 

そこで、高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてご紹介を試みることにしました。

 

 Q

 友人が漢方薬を飲んで調子が良くなったとのとです。同じ漢方薬を飲みたいのですが?

 

A

よく「友達から漢方薬を勧められた」「親戚の病気が良くなったので漢方薬を飲みたい」という方がおられます。

 

漢方治療は、個人個人の体質を重んじる医学であり、他の人に良かった漢方薬と同じものが本人にもいい、という保証はありません。

 

実際に、親戚に勧められた漢方薬を服用して具合が悪くなったという方もいらっしゃいます。

 

その薬が本人に合っているかどうかは、専門家の判断が必要です。

 

素人判断で他の人の漢方薬をお飲みになるのは、大変に危険です。

 

他人の薬をもらって服用したり、自分の薬を他人に勧めたり、ということは控えてください。

 

そのようなことを避けるためには漢方に詳しい医師・薬剤師と相談の上漢方薬を服用することをお勧め致します。

 

 

<高円寺南診療所からのメッセージ> 

このようなご希望をされる患者さんは、かつてほどではありませんが、今でも時々いらっしゃいます。

 

それがなんと慶應義塾大学医学部漢方医学センターを受診される患者さんの中にもいらっしゃるのだとすれば興味深いです。

 

たしかに「友達から漢方薬を勧められた」から、同じ薬を処方して欲しいというのは論外だと思います。

 

高円寺南診療所でも、慶應の先生方と概ね同じような説明をすることでしょう。

 

ただし「親戚の病気が良くなったので漢方薬を飲みたい」という場合は、ケース・バイ・ケースだと思います。

 

親戚といっても、姻族ではなく、血族の方の病気が漢方で良くなったのだとしたら、それは大いに参考になります。

 

臨床医学においては、西洋医学か東洋医学かを問わず、いまでも家族歴を大切にすべきだと思います。

 

体質や気質は、同性・異性に関わらずよく似るものだからです。

 

患者さんの血族がどのような病気で何歳頃亡くなったか、からはじまり、どのような治療をして、どのような転帰になったか、などを可能な限りで把握しておくことは、病気の診断だけでなく、治療法の選択にも大いに参考になるからです。

 

ただし「その薬が本人に合っているかどうか」は、最終的には、医師の診察による診断に基づいたものでなければ、期待したほどの効果は得られないばかりか、かえって悪化することもあり得ます。

 

漢方薬の多くは、適切に使用すれば患者さんの体調ばかりでなく気分をも同時に改善してくれます。

 

体調や気分のベースとなるのが、その人の体質や気質です。漢方の処方は、西洋医学的な病名に対応するものではなく、個々の患者さんの元来の体質や気質に基づいて、そのときどきの体調や気分を観察しながら「証(しょう)」という総合判断を下します。

 

漢方の処方は、この「証」にしたがって処方されます。