最新の臨床医学 8月23日(木)関節リウマチについてQ&A

ここで掲載する内容は、アステラス製薬提供の患者さん・ご家族の皆さまなるほど病気ガイドから引用したものです。

 

関節リウマチについてわかりやすい解説をしています。

 

こちらのHPで確認することができます。

 

 

関節リウマチは、免疫の異常により関節の腫れや痛みを生じ、それが続くと関節の変形をきたす病気です。

 

関節リウマチを治療することで、炎症や痛みを最小限に抑え、毎日の生活を快適にすることができます。

 

現在と将来の生活の質を保っていくためにも、病院・診療所を受診し、きちんと治療を受けましょう。

 

監修医:東邦大学医学部医学科 内科学講座膠原病学分野 川合 眞一 先生

 

 

解り易い解説であること、日本リウマチ学会では一般患者向けQ&Aが掲載されていないため、これを採り上げました。

 

ただし、記述内容が古いままで改訂されていないため、それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 

 

関節リウマチの治療薬について①

 

ステロイドを飲めば、関節リウマチは治るのですか?

 

ステロイドは、関節リウマチを完全に治すことはできませんが、炎症を強く抑え、痛み、腫れ、こわばりを改善できる薬です。

 

ステロイドは関節リウマチに使われる薬の中で炎症を抑える作用が最も強く速く効く薬ですが、関節リウマチを完全に治すことはできません。

 

痛み、腫れ、こわばりに非常に効果がありますが、感染症や骨粗しょう症などの副作用もあるため、医師の指示に従って服用することが、とくに大切です。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

ステロイドの初期投与量は経験的に決められています。

 

ステロイドは関節リウマチの長期的治療薬とはなりえないため、高円寺南診療所では治療初期から経口ステロイド薬を処方することは例外的な場合に限っています。

 

しかし、関節リウマチを得意としない整形外科からの紹介例では、高容量ステロイドが既に投与されていて閉口することがしばしばあります。

 

ただし、関節炎に対して非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の効果が得られない場合には、おもに中等量以下、多くは低用量ステロイドが用いられることはあります。

 

内服は高容量では1日3回投与としますが、生理的分泌の日内変動にあわせて朝により多く用います。

 

初期量は通常2~4週間継続します。高疾患活動性の関節リウマチでは、プレドニゾロン換算で1日10mg以下を抗リウマチ薬開始から効果発現までの間併用することがありますが、実際にはステロイドの減量に苦労することがしばしばです。

 

 

それでもステロイドが有用な事例があります。

 

それは妊娠時です。

 

妊娠すると抗リウマチ薬は使えなくなります。その場合にステロイドを用いますが、胎盤移行性がないプレドニゾロンを用いることができます。

 

また、授乳中もプレドニゾロン1日20~30mg以下の投与は可能です。

 

 

関節リウマチの治療薬について②

 

リウマチの薬を飲んでいますが、セイヨウオトギリソウをとらないように、と説明されました。どのくらいの量なら飲んでも大丈夫なのですか?

 

医師や薬剤師に、セイヨウオトギリソウをとらないように言われた時は、一切とらないようにしましょう。

 

関節リウマチの薬に限らず、薬の種類によっては、セイヨウオトギリソウなどの影響で、体の中で薬の濃度が高くなりすぎたり、効果が強く出すぎてしまうことがあります。

 

同じ理由で、グレープフルーツジュースなどもとらないように注意されることがあります。

 

医師や薬剤師から健康食品や食事に注意をされた時は、その指示をしっかり守るようにしましょう。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート,以下「SJW」という)を摂取することにより薬物代謝酵素であるチトクロームP450,特にサブタイプであるCYP3A4及びCYP1A2が誘導されることが知られています。

 

セント・ジョーンズ・ワートと医薬品の相互作用に関する文献報告によれば、関節リウマチの治療薬の中ではシクロスポリン(免疫抑制薬)との相互作用が問題になるようです。

 

シクロスポリンはCYP3A4で代謝を受ける薬物であり,SJW含有食品との併用により血中濃度が低下したとする複数の臨床例が報告されています。

 

いずれの症例においても、移植後、シクロスポリンやアザチオプリン等の免疫抑制薬の投与でコントロールされ、シクロスポリン濃度は安定していたが、市販のSJW含有食品(抽出物300mg含有)を1日3回摂取したところ、摂取開始3週間後にシクロスポリンの血中濃度の低下がみられ、生検の結果、急性拒絶反応が観察されました。

 

両症例とも拒絶反応を疑わせる他の要因は見あたらず、SJW含有食品の摂取を中止したところ、シクロスポリンの血中濃度は回復したという報告です。

 

これらの医薬品とSJW含有食品は併用すべきではないが、医薬品を服用中でSJW含有食品を摂取している場合は、SJW含有食品の急な摂取中止により好ましくない症状があらわれるおそれがあるので十分な注意を払いつつ、SJW含有食品の摂取を中止する必要があります。

 

 

関節リウマチの治療薬について③

 

1ヵ月以上関節リウマチの薬を飲んでいますが、関節痛は良くなりません。

 

薬の効果が出るまで、どれくらい時間がかかるのでしょうか?

 

抗リウマチ薬は、効果が出るまでに時間がかかります。

 

関節リウマチの治療薬のうち、ステロイドや非ステロイド性抗炎症薬は、飲むとすぐに効果が現れますが、抗リウマチ薬は、効果が出るまでに、ふつう数週間から数ヵ月程度の時間がかかります。

 

また、副作用を防ぐために、最初は少ない量が処方されていることも多いため、1ヵ月くらいでは薬の効果を感じられないこともよくあります。

 

また、抗リウマチ薬の種類によっても、患者さんによっても、効果が出るまでの時間は違います。

 

治療薬の効果に満足できない場合や、症状が良くならず不安な場合などは、正直に医師に相談してみるとよいでしょう。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

代表的な抗リウマチ薬であるメトトレキサートによる症状改善は内服開始後1-2ヶ月で出始めることが多く、最大効果発現には4ヶ月かかることもあります。