最近、ワクチン接種を希望される方が増えてきました。それに伴い、いくつかの質問をお受けします。

 

しかし、そのほとんどは厚生労働省のHPで紹介されているQ&Aを読んでいただければ解決します。

 

今回は、高円寺南診療所にてそれを簡略化し、重要部分に下線を施したものをご紹介します。なお、麻しん、はすべてはしかに書き改めました。

 

 

Q&A

Q.1 

なぜ、平成19・20年に10代から20代の人を中心に流行したのですか?

 

A.1 

10代から20代の人たちの中には、今まで一度もはしかの予防接種を受けていない人がいます。

 

そもそも予防接種は、一度で十分な免疫が獲得できるとは限りません。

 

はしかワクチンを一回接種しても、数%程度の人には十分な免疫がつかないことが知られています。そのような人達が蓄積していたものと考えられています。  

 

幼少時にワクチンを1回のみ接種していた当時の10代から20代の人は免疫が強化されておらず、時間の経過とともに免疫が徐々に弱まって来ている人がいたことも原因の一つと考えられています。

 

 

Q.2 

妊娠しているのですが、はしかの流行が心配です。どうしたらよいでしょうか?

 

A.2 

妊娠中にはしかにかかると流産や早産を起こす可能性があります。

 

妊娠前であれば未接種・未罹患の場合、ワクチン接種を受けることを積極的に検討すべきです。

 

ただし既に妊娠しているのであればワクチン接種を受けることができません

 

その場合ははしか流行時には外出を避け、人込みに近づかないようにするなどの注意が必要です。

 

また、はしか流行時に、同居者にはしかにかかる可能性の高い方(例えばはしかワクチンの2回接種を完了していない者で、医療従事者や教育関係者などはしかウイルスに曝される可能性が高い者など)がおられる場合はワクチン接種等の対応について、かかりつけの医師にご相談ください

 

 

Q.3 

外国ではしかになると大変なのですか?

 

A.3 

特にはしかの発生がない、あるいは非常に少ない国・地域では、滞在中にはしかを発症すると、感染の拡大防止のため、発症した本人の移動制限だけでなく、同行者の移動も厳しく制限されることがあります。

 

 

Q.4 

海外渡航に際して、はしかについて注意すべきことはありますか?

 

A.4 

依然として多数の患者の報告があるのは、主にアジア及びアフリカ諸国です。

 

中でも、中国、インド、モンゴル、パキスタン、ナイジェリアなどからの報告数が特に多いです。  

 

日本を含めたほとんどの先進国では、はしか対策としてはしかを含むワクチン(主にMMR【はしか・ムンプス・風しん】ワクチン)の2回接種法がとられています。

 

こうした対策の結果、世界各国でははしか排除を達成する国が増加しています。

 

しかし、はしかにかかった(検査で診断された)ことがない方が海外渡航される時には、あらかじめはしかの予防接種歴を確認し、はしかの予防接種を2回受けていない場合、または接種既往が不明の場合には予防接種を受けることをおすすめしています。

 

 

木村英一さんより、水戸の高校吹奏学部の教え子に自律訓練法、イキイキ体操を行い、その結果をレポートとして頂きました。

 

今回はその第2回目です

 

2018年3月25日~17日の合宿での感想です。

 

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<フルート>

この体操をやったら楽器に息をいれやすくなったし、

指が回るようになりました。これからもやりたいと思います。(3年生)

 

運動をしたおかげて、おとが出やすくなりました!

これからも続けていきたいです!!(3年生)

 

ストレッチした後のほうが、指がまわりやすくなったと思いました。(2年生)

 

肩が軽くなった気がする。

体もあったまっていい!(2年生)

 

指が回るようになった気がします。

暑くなりました。(2年生)

 

 

<オーボエ>

体がほぐれたから、リラックスして吹けるようになったです(2年生)

 

 

<クラリネット>

姿勢がよくなり、肩がひらいて息がとても吹きやすくなりました。

いつもころんでしまう連符も、いつもより拍に合って、とても吹きやすかったです。

息が吹きやすくなったことで楽器に入る息も多くなり太くてしっかりした音がなりました。

楽器を吹く前にしっかりストレッチをしようと思いました(3年生)

 

体操したら姿勢もよくなって、息が入りやすくなり、ちゃんと入ることで指も回しやすくなったと思います。

1日目にやって筋肉痛になったので普段からやってみたいです。(3年生)

 

肩周りの力が抜けていい!(3年生)

 

体操したら体がのびて、軽くなったので吹きやすかったです(3年生)

 

関節がポキポキならなくなって体がのびのびした。(3年生)

 

体操をする前とした後では楽器に入る息の量が全然違ったので、これからも時間があるときは、吹く前に体操をしようと思いました。(3年生)

 

筋肉がほぐれているのが実感できた(2年生)

 

体操をやった後に体が軽くなった。次の日に筋肉痛になった(2年生)

 

肩甲骨を動かす体操が肩こりに効いた気がします。(2年生)

 

体操をやって右ひじが痛くなりました。(3年生)

 

体がほぐれて、リラックスした状態で吹くことができました。

またブレスがとりやすく、深く息を吸いやすくなりました!(2年生9

 

 

<サックス>

軽い体操を朝の楽器を吹く前にやったkとで、目(体)が覚めたし、楽器が気楽に吹けた気がしました。(3年生)

 

体操をすることで、体もほぐれて息が吸いやすくなった(3年生)

 

少し動くだけで体が温まって、良い体ほぐしでした(3年生)

 

体をほぐして演奏しやすくなっただけでなく、気持ちの切りかえもできて良いと思った。(3年生)

 

とても体がほぐれてよかったです。(2年生)

 

爽快感が感じられた。1回の動作で体が軽くなり、楽器が吹きやすかった。(2年生)

 

運動をした後、演奏することで音をのびのびと出すことができた(2年生)

 

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今回はここまでです。

 

 

5月も半ばとなりました。今年は、ことの他、天候の変化が激しく、気温や湿度などが乱高下しています。

 

健康を害する方が少なくないのが懸念されます。

 

 

ところで皆様は、気象医学という医学の専門分野があるものをご存知でしょうか。

 

医学気象学という名称で日本大百科全書(ニッポニカ)で紹介されています。

 

これは人間の健康や病気に及ぼす気象の影響を扱う学問です。

 

これは生気象学の主要な分野の一つです。

 

わが国では、日本生気象学会の他、日本温泉気候物理医学会などが関連学会として活動しています。

 

 

以下は、まず日本生気象学会のHPからの紹介文ですが、サラリと読み流してみてください。

 

「生気象学」は Biometeorology(バイオメテオロロジー)を日本語訳したものであります。

 

生命とその環境を取り扱う大変グローバルな学問分野といえます。  

 

歴史的には、1955年の国際生気象学会第1回大会において

「大気の物理的、化学的環境条件が生体に及ぼす直接、間接の影響を研究する学問が生気象学である。」と定義されております。  

 

1964年にSargent IIとTrompの2人の監修のもとに発行された「A Survey of Human Biometeorology」においては、「Biometeorologyとは生態学(Ecology)の一分野であって、 植物の根の生えている土壌環境より胞子の飛んでいる大気に至るまでの自然環境の他に、 ビルディング、地下道、潜水艇、人工衛星等の人工環境をも含めての環境の物理的、 化学的条件の生体に及ぼす影響を研究する学問である」と定義しております。

 

 

次に、私が所属している日本温泉気候物理医学会をご紹介いたします。

 

私は、この学会が認定する温泉療法専門医の一人です。

 

この学会は、そもそも東京大学の物療内科(物理療法内科、現在はアレルギー・リウマチ内科に改称)が母体となって発展してきた学会です。この学会のHPのトップページには、<温泉・気候・物理医学を通じ、国民の疾病治療、予防、健康保持・増進をはかるとともに、温泉・気候・物理医学とその療法の進歩と発展を目指しております>とあります。

 

 

そもそも気象の変化による病気として代表的なのは、熱中症(高温障害)や喘息(ぜんそく)、リウマチ、花粉症、皮膚癌(がん)などがあります。

 

その他にも神経痛や片頭痛などの疼痛性疾患、それからうつ病などメンタルの病気もあります。

 

東大の物療内科(アレルギー・リウマチ科)と温泉・気候・物理医学との繋がりは、そのまま、高円寺南診療所の専門領域にも関連していることがご理解いただけると思います。

 

 

今週の週末は、第83回日本温泉気候物理医学会があるため、鹿児島に出張となります。

 

2000年以来、地道な活動を続けている水氣道®も、温泉医学・気象/気候医学・鍼灸などの物理医学と密接なつながりを確認しながら発展してきました。

 

鹿児島から、学会の報告をする予定です。

 

 

 

参考文献: 『日本生気象学会『生気象学の事典』(1992・朝倉書店)

 

吉野正敏・福岡義隆著『医学気象予報――バイオウェザー・病気と天気の不思議な関係』(2002・角川書店) 

 

村山貢司著『病は気象から』(2003・実業之日本社) 

 

福岡義隆著『健康と気象』(2008・成山堂書店) 

 

神山恵三著『生気象学入門 気象と人間』精選復刻(紀伊國屋新書) 

 

加賀美雅弘著『気象で読む身体』(講談社現代新書)』

新着情報(コラム)のカレンダーです

 

最新の臨床医学

木:関節リウマチについてのQ&A

     ↓

  骨粗しょう症についてのQ&A

 

金:アレルギーの病気につてのQ&A

 

土:漢方治療についてのQ&A

 

日:心療内科についてのQ&A

 

 

他には

月:Nogucciの懺悔録

 

火:診察室から

 

水:水氣道へのご招待

 

土:鍼灸コラム

重要なトピックですので、先月中にご報告できなかった日本内科学会での私の受講メモをご紹介します。

 

これまでは、急性腎不全という括りで扱われてきた病態が、2000年以降に新たに急性腎障害(acute kidney injury:AKI)と呼ばれるようになって久しいのですが、一般の皆様には、まだ馴染みのない名称ではないかと思います。

 

いずれにせよ、両者とも急激に腎機能が低下する腎障害の病態を指すものであって、迅速かつ適切な対応を要する臨床上の重要な課題です。

 

 

第115回 日本内科学会総会 第3日 ―平成30 年4 月15 日()― 講演会場(京都市勧業館(みやこめっせ)第3 展示場)より

 

教育講演18.14 時00 分~14 時20 分(20 分) 座長 東北大学 伊藤貞嘉 

急性腎障害の新たな診断と治療…………東京大学 土井 研 先生

 

まず、急性腎障害(AKI)とは、単に急性腎不全からの名称変更ではありません。

 

両者には、発症に至る臨床的背景が異なります。

 

急性腎障害とは、敗血症や多臓器不全に急激な腎障害が合併するようなケースで生じる病態です。

 

これは、生命予後を著しく悪化させる病態であるため、腎臓専門医のみならず循環器専門医や集中治療医が注目するに至って成立した疾患概念です。

 

 

つまり、急性腎障害(AKI)は、従来の急性腎不全以上に早期診断・早期治療介入を要する病態であって、それによって予後改善を図る必要があるとの認識の上に、国際的に統一された診断基準(KDIGO2012)が示され広く使われるようになりました。

 

 

AKIの診断基準では、従来の指標よりも早期に腎障害を検出できるAKIバイオマーカーが示されています。本邦では以下の2種類が保険収載されています。

 

尿L-FABP(liver-type fatty acid binding protein),

 

NGAL(neutrophil gelatinase-associated lipocalin)

 

しかしながら、これらがAKIの治療成績向上に繋がるかどうかは未知数です。

 

 

AKIに対する治療は、特異的に有効な治療法は存在しないため、循環維持と腎毒性物質の回避といった保存的治療が主体ですが、早期介入が不可欠であるという認識が持たれています。

 

さて、それでは高円寺南診療所における日常診療に関してはどうか、という課題を少しばかり検討してみます。

 

まず、AKIが問題になるのは超高齢者です。

 

しかも、その超高齢者に対して侵襲的な治療が試みられている状況がAKIの背景となります。

 

つまり、具体的なケースとしては、ICUにおいて積極的な治療をしているような臨床状況であるため、高円寺南診療所における日常診療との隔たりは大きいです。

 

逆に言えば、日常の診療での適切な健康管理により、高齢者の敗血症や多臓器不全に代表されるような病態に陥るリスクを減らしていくことこそが高円寺南診療所の医療指針といえるのであって、今後はAKIの予防に一層の注意を払っていかなければならないでしょう。

 

 

高円寺南診療所では

 

〇起床・就寝など日常生活リズムの確立をはじめ、養生と鍛錬のバランス、すなわち、食事、運動、休養およびストレス・コントロール、予防接種などをはじめ、腎臓その他の諸臓器を強化する非薬物療法を優先している方針からも、すでにAKI予防に叶う診療体系を確立しています。

 

 

〇また、薬物療法における処方ピラミッドとしては、食事内容の見直しとともに、ミネラル類⇒ビタミン類⇒漢方薬という優先順位に従い、インフラを確立してから、必要に応じてなるべく腎毒性の少ない安全な一般薬剤を慎重に処方しています。

 

このような処方指針が、AKIの予防に貢献していることは、最近の知見から徐々に明らかになってきていることを確認することができます。

 

 

〇腎機能の評価に対しては、血清クレアチニンと尿量という従来の指標のみで十分な管理が可能であると考えています。

 

 

〇急性腎障害(AKI)は、超高齢者等に対する侵襲的な治療法の進歩がもたらした病態であるということは今後の医療を考えるうえで、とても大きな示唆を与えているものと思われます。

 

社会福祉士の勉強をしているNogucciです。

 

勉強する時間ですが、夜にテキストを開くと眠くなってしいます。

 

眠くなってしまうのでどうしよう?

 

発想を転換しました。

 

早く寝て、早く起き、5時~6時を毎日の勉強時間にしています。

 

早寝早起きできるし、朝はテキストを開いても眠くならないので、一石二鳥です!

 

ドクトル飯嶋に報告したら、工夫したねと褒めていただきました。

 

 

勉強の進め方について、ドクトル飯嶋から教わった方法を、紹介します。

択一式での勉強方法です。

 

<問題>

社会福祉士及び介護福祉士法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

 

①社会福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に規定されている民間資格である。

 

②社会福祉士及び介護福祉士法には、誠実にその業務を行わなければならないという誠実義務が規定されている。

 

③社会福祉士は、クライエントが指導に従わない場合は、クライエントの秘密をインターネット上に公開してもよい。

 

④社会福祉士の資格を喪失した後は、業務上知り得た秘密を守る必要はない。

 

答えは②です。

 

 

まず、間違いを正しい文にします。

 

①社会福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に規定されている民間資格国家資格である。

 

③社会福祉士は、クライエントが指導に従わない場合は、クライエントの秘密をインターネット上に公開してもよい公開してはいけない

 

④社会福祉士の資格を喪失した後も、業務上知り得た秘密を守る必要はない必要がある

 

 

その後問題文を一つの文章に再構成します。

 

社会福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に規定されている国家資格であり、誠実にその業務を行わなければならないという誠実義務が規定されている。

 

社会福祉士は、クライエントが指導に従わない場合は、クライエントの秘密をインターネット上などで公開してはいけない。という守秘義務がある。

 

また、社会福祉士の資格を喪失した後も、業務上知り得た秘密を守る必要がある

 

 

まとまりました。

 

 

ドクトル飯嶋は、

「この方法なら論述問題への対応にもなるよ。」

とのことです。

 

問題を解くだけだと、すぐに忘れてしまいます。

 

ですので、この方法で理解を深めるように勉強を進めています。

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は中極(ちゅうきょく)です。

 

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場所は、臍から指4本分真下に関元穴をとり、曲骨穴の中間に取ります。

 

 

「尿失禁」「ED」「生理不順」「生理痛」「坐骨神経痛」等に効果があります。

 

 

<参考文献>

 

 

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

抗菌剤の使用については、耐性菌の出現等の問題などが国際化しています。

 

しかし、初期の段階で、躊躇せずに、しかも可能な限り適切に使用しなければならない疾患も数多く残されています。

 

その代表の一つが、肝・胆道感染症、とりわけ急性胆管炎や胆嚢炎です。

 

 

 

肝・胆道感染症に関する治療総論

 

肝・胆道感染症は、主に大腸菌、肺炎球菌、エンテロバクター属、緑膿菌などの他、バクテロイデス属などの単独または複数感染が最も多く、それが臨床上の問題点になっています。

 

上記を念頭にセファゾリン(CEZ)、セフメタゾール(CMZ)、セフォチアム(CTM)、ピペラシリン(PIPC)、タゾバクタム・ピペラシリン(TAZ/PIPC)、スルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)、ラモタキセフ(LMOX)、メロペネム(MEPM)、ドリペネム(DRPM)などの抗菌薬のうちから適切なものを選択して投与することを考慮します。

 

 

軽症例では、ニューキノロン系薬などの経口投与で済むことがほとんどです。

 

重症例では、大腸菌などのグラム陰性菌に有効なアミノグリコシド系薬を併用することがあります。

 

嫌気性菌が疑われる場合には、これに感受性のある薬剤を選択します。

 

なお、効果的な治療のためにはドレナージが必要となりますが、さらに手術の適応も常に考慮しておく必要があります。

 

胆嚢炎や胆管炎の多くは、腸内細菌の上行感染であり、グラム陰性桿菌(大腸菌、クレブジエラ属、緑膿菌)、腸球菌、嫌気性菌(クロストリジウム属、バクテロイデス属)などが原因菌となります。

 

 

 

肝・胆道感染症に関する治療各論

 

1)胆管炎では診断がつき次第、速やかに抗菌薬を投与します。

 

その際は、胆汁移行性が良く、抗菌スペクトラムが広い感受性のある抗菌薬を選択します。

 

ただし、耐性菌の選択に留意し感受性検査を速やかに行います。

 

軽症・中等症例はセフェム系薬、ニューキノロン系薬にクリンダマイシンの併用が推奨されます。

 

重症例では複合筋・耐性菌感染の可能性が高く、幅広い抗菌スペクトラムをもつペニシリン系薬(タゾバクタム・ピペラシリン)やカルバペネム系薬が、代替薬にはセフェム系薬やニューキノロン系薬にクリンダマイシンを加えます。

 

腸球菌に対してバンコマイシンの併用を考慮します。

 

ただし、海外ではメトロニダゾール静注が嫌気性菌に対する第一選択薬です。

 

日本での今後の動向が注目されます。

 

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は、必要な検査ですが、検査の操作により胆道感染症を増悪させてしまうリスクがあります。

 

これはいわば医原性の感染症ですが、それに対する予防抗菌薬としてはセフェム系薬とペニシリン系薬が推奨されています

 

<参照:急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2013(日本胆道学会ほか)>。

 

中等症以上の症例では、胆嚢ドレナージを施行します。

 

 

2)急性胆嚢炎では原則、胆のう摘出術を前提とした初期治療(全身状態の改善)が必要です。

 

絶食・十分な輸液と電解質の補正・鎮痛薬および抗菌薬投与を行いつつ、手術や緊急ドレナージ術の適応を考慮します。

 

抗菌薬の選択はほぼ胆管炎と同様に、重症度に応じて行います。

 

 

参考:Tokyo Guidelines for Acute Cholangitis and Cholecystitis(厚生労働科学研究班、2013

アレルギー・リウマチ科の診療対象は、多くの難病が含まれています。

 

診断は技術ばかりでなく手続きが複雑なものが少なくありません。

 

また、ようやく診断が確定したとしても、治療エビデンスが乏しく、すべての患者さんを満足に導くことが困難なケースが少なくありません。

 

現在のところ標準医療では限界があります。

 

 

そこで、一考すべきは、生活習慣、食事、運動、心理社会的要因や環境整備です。

 

多岐にわたり、関与の程度も個々人によってまちまちであるため、エビデンスレベルは低くならざるを得ないのが残念ですが、臨床とは個性(体質・気質・行動傾向など)を対象とするものであること、エビデンスといってもオールマイティではないことを忘れてはならないと思います。

 

現代の内科学は薬物療法に偏りがちであるのが災いしている疾患群があります。

 

そうした疾患に対しては、非薬物療法を積極的に上手に取り入れて活用するなど個別の工夫も有意義だと思います。

 

実際に、線維筋痛症や関節リウマチを合併した二次性SSの方は、高円寺南診療所では決して珍しくありません。

 

そうした皆様の多くは水氣道®に計画的に参加され、周期的な運動習慣を身に着けることによって病気を克服しつつある姿を目の当たりにするにつけて、複雑な全身病、難病に対する薬物療法の限界と、非薬物療法の併用の意義を改めて実感しているところです。

 

 

それでは、SSに対する標準的な情報を整理してみることにします。

 

シェーグレン症候群(SS)は、涙腺、唾液腺など外分泌腺に対するリンパ球浸潤と自己抗体産生を特徴とする自己免疫疾患です。

 

男女比は1:17.4、平均年齢60.8歳です。わが国では2015年より指定難病となっており、専門医には診療ガイドラインに基づいた正確な診断・重症度判定が求められます。

 

そのSSの網羅的な診療ガイドラインは2017年に公開されました。

 

臨床症状は、乾燥症状を主体とする腺病変と、その他の臓器病変である腺外病変に分けられます。

 

60%を占めるのが他の膠原病を合併しない一次性SSで、

 

40%は関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病を合併する二次性SSです。

 

したがって、何らかの膠原病を診断した際には、SSの合併を考慮してスクリーニングを行うことが望ましいです。

 

また、除外診断として、頭頸部の放射線治療歴、活動性C型肝炎、AIDS、サルコイドーシス、アミロイドーシス、移植片対宿主病(GVHD),IgG4関連疾患、抗コリン薬を内服している場合には、十分な休薬期間をとって検査しなければなりません。

 

 

指定難病とされる重症の基準は疾患活動性の指標であるESSDAI5点以上と規定されています。

 

ただし、ESSDAIに含まれないが重要な臓器病変として、慢性甲状腺炎、原発性胆汁性胆管炎があり、SS診断時にはこれらの検索も行います。

 

 

治療は、診断が確定すればアルゴリズムの流れに従った治療を試みますが、腺外病変は多様であり、かつそれぞれの病変に対する治療のエビデンスは乏しいことが問題です。

 

 

一次性SSは基本的には予後良好とされますが、経過中は腺病変の悪化と新たな腺外病変の出現に注意します。

 

予後に影響する合併症として悪性リンパ腫や、肺高血圧症が挙げられています。

 

悪性リンパ腫の発生予測因子として、耳下腺腫脹、リンパ節腫脹、紫斑、ASSDAI高値、M蛋白血症、低補体血症、クリオグロブリン血症、リウマトイド因子、小唾液腺生検における胚中心様構造などが知られています。

 

高リスク群では慎重に経過観察をする必要があります。

ウイルス感染症のうち感染後長い潜伏期を経て発症し進行性の経過を示すものを言います。

 

変性疾患様の発症の仕方をし、慢性進行性の経過により、死の転帰をとります。

 

亜急性硬化性全脳炎進行性多層性白質脳症プリオン病クロイツフェルト‐ヤコブ病などがあります。

 

今回は、プリオン病、とくにクロイツフェルト-ヤコブ病についてまとめてみます。

 

 

プリオン病とは、プリオン蛋白(PrP)が何らかの原因で異常型プリオン蛋白に変わり、これが脳内に蓄積して発症する予後不良の脳疾患です。

 

プリオン病は、孤発性(約80%)、遺伝性(約15%)、獲得性(約5%)に分類されます。

 

最多の孤発性のものはクロイツフェルト‐ヤコブ病に属し、その発症原因は解明されていません。

 

遺伝性プリオン病は常染色体優性遺伝形式をとり、遺伝子検査によりPrP遺伝子の突然変異を認めます。

 

獲得性プリオン病は、かつて儀式的な食人習慣が原因となるkuru病がありましたが、食人禁止により発病は終息しました。

 

 

医原性クロイツフェルト‐ヤコブ病は硬膜移植、角膜移植、ヒト下垂体由来成長ホルモンなどが発症原因となっていました。

 

特に本邦では、かつて脳外科手術の際に年間約2万件の硬膜移植が行われていました。

 

その際、汚染された輸入ヒト硬膜の使用(乾燥脳硬膜移植)により、日本の罹患率の500倍に当たる症例がクロイツフェルト-ヤコブ病に感染したのではないかと疑われています。

 

現在はヒト由来成分を極力使用しない方向になり、また十分な不活化が行われています。

 

また牛海綿状脳症(BSE)感染牛の摂取による変異型クロイツフェルト‐ヤコブ病が話題になったこともありました。

 

牛海綿状脳症(BSE)は、牛の病気の一つで、BSEプリオンと呼ばれる病原体に牛が感染した場合、牛の脳の組織がスポンジ状になり、異常行動、運動失調などを示し、死亡するとされています。

 

かつて、BSEに感染した牛の脳や脊髄などを原料としたえさ(牛骨粉など)が、他の牛に与えられたことが原因で、英国などを中心に、牛へのBSEの感染が広がり、日本でも平成13年9月以降、平成21年1月までの間に36頭の感染牛が発見されました。

 

 しかし、日本や海外で、牛の脳や脊髄などの組織を家畜のえさに混ぜないといった規制が行われ、厚生労働省では、最新の科学的知見に基づき、国内検査体制、輸入条件といった対策全般の見直しを行っています。

 

 

ここで、プリオン病とクロイツフェルト‐ヤコブ病の関係について整理しておきます。

 

プリオン病は様々な原因と病状をもたらしますが、クロイツフェルト‐ヤコブ病は、脳の海綿状変性を特徴とし、亜急性進行性認知症や多彩な神経症状を呈する疾患です。

 

クロイツフェルト-ヤコブ病は感染症法の5類感染症であり、届け出が必要です。

 

他への感染予防のため、隔離の必要はないものの、患者の臓器、血液、脳脊髄液の取り扱いは注意を要します。

 

60歳以上での発症が約75%であり、男女差はなく、罹患率は100万人に1人で、日本では100人程度と推計されます。

 

認知症、小脳症状、視覚異常で発症し、急速に進行します。

 

検査は、遺伝子検査(遺伝性プリオン病ではPrP遺伝子異常)、髄液検査(異常型PrP蛋白、14-3-3蛋白や総タウ蛋白の上昇)、脳波検査(周期性同期性放電:PSD 1回/秒)、MRI検査(DWI拡散強調画像で、基底核や皮質の高信号域、大脳の進行性萎縮)などです。

 

ただし、治療は対症療法のみであるため、経過は進行性であり、大半は1~2年で死亡します。

 

 

私は初期研修した30年ほど前の虎の門病院の脳神経外科でも、輸入ヒト硬膜(乾燥脳硬膜移植)を使用していたことを記憶しています。

 

患者さんのその後の経過が気になるところです。